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文学賞受賞作
世界は幻なんかじゃない
世界は幻なんかじゃない
角川書店
price : ¥840
release : 2001/09

やや企画倒れなインタビュー

辻氏が、1976年ソ連からアメリカに亡命するためにミグ25という当時の最新鋭戦闘機にて函館空港に強制着陸した「ベレンコ」氏へのインタビューを行うためにオーランドからロスまでサンセットリミテッド号というアメリカ横断鉄道に乗って旅をするフォト・エッセイ。

ベレンコ氏へのインタビューは、真相に迫っておらず、やや、企画倒れな感がある。

ちなみに、辻氏は、当時函館西高校に在学中であり、ミグ25を目撃したらしい。私は同じ函館で小学生であったため、ミグ25が函館空港に着陸したのは記憶があるが、「ベレンコ」氏の名前もそれが亡命であったことも覚えていない。
黒い樹海 (講談社文庫 ま 1-3)
黒い樹海 (講談社文庫 ま 1-3)
講談社
price : ¥750
release : 1973/06

波の塔より前の作品

1958年作品、樹海という題名からてっきり「波の塔」のラスト、富士の樹海を引き継ぐように書き始められた作品かとおもっていたら、波の塔は1959年から連載が始まっており、本書の樹海という言葉が次作「波の塔」のアイデアとなったと思われる、

清張の現代を舞台にした小説に顕著な「観光」の要素、最初のヒット作「点と線」がすでにそうだったように、は彼が活躍を始めた時期が日本が戦後の復興を一通り果たし景気回復に並行して始まった国内観光ブームと期を一にしていたことを忘れてはいけないとおもう、清張の晩年には後進作家達が競うように旅行と旅情を題材にしたミステリー小説を花開かせたわけである、

死刑長寿
死刑長寿
文藝春秋
price : ¥1,600
release : 2004/12

わたしの京都
わたしの京都
講談社
price : ¥1,020
release : 1989/07

温泉へ行こう
温泉へ行こう
新潮社
price : ¥1,050
release : 1985/12

『温泉ブーム』前の温泉の話

 2006年の現時点で、温泉がブームになっている。
 その温泉ブームの基本は、「温泉」の効能や、旅館の食事などに限られている。
 この山口さんの本は、「温泉」も重要なテーマであるが、そこにいらるまでの旧国鉄、JRの車窓風景やばすなどの「不便な」交通機関での地元の人々の生活である。
 そう考えると、この本は、今の時代にはあっていないことは明らかで、残念である。
 しかし、かつて日本にこういう世界があったという「記念碑」としての価値は失われないのではないか?


夜よ鼠たちのために―連城三紀彦傑作推理コレクション
夜よ鼠たちのために―連城三紀彦傑作推理コレクション
角川春樹事務所
price : ¥900
release : 1998/11

切れ味抜群の短編集

ミステリーの短編集だが普通のミステリーだとは思っちゃいけない。そのほとんどの作品が叙述トリックを用いた作品になっている。どんなに騙されまいと思って読んでみても結局騙されてしまうこの快感。連城マジック全快といった作品ばかりが並ぶ。こんな贅沢な短編集は無いといっても過言ではない。天才連城の放つ傑作短編集。これを読まなきゃミステリーは語れない。
雑賀六字の城
雑賀六字の城
文藝春秋
price : ¥399
release : 1987/07

爽快と悲壮

主従関係が利害や力関係によるものなら、形成が変われば、自分のスタンスを変更できる。しかし、己が信じるもののために尽くしている場合、そうはいかない。鉄砲を携え傭兵集団として戦国の世に名を馳せた雑賀衆は、南蛮渡来の新兵器を他国に先がけて導入したことに見られるように元来形成を読むことに長けた人々である。天下の形成は織田家に振れていることを、敏感に感じ取っていたに違いない。しかし、あくまで信じるものに尽くし続けた彼らの生き様は爽快ではあるが、同時に悲壮でもある。だが、一点の曇りもない生き方というのは、こういう生き方なのかもしれない。
ピエールとリュース
ピエールとリュース
みすず書房
price : ¥1,680
release : 2006/05

神の火
神の火
新潮社
price : ¥1,733
release : 1991/08

永遠のマイベスト

始めて読んだのが中学一年のとき、東と西と北があるのにどうして南がないんだ!と思ったのを思い出します。
冷戦を知らない、ましてや原子炉の構造もそれを取り巻く情報の国際的な奪い合いも知るはずのないお馬鹿な子供でも夢中になって読みました。

専門用語がごろごろ出てくるし、長いし、重いし、理解できない部分のほうが多いくらいなのに、面白くてたまらない。
小説を読む醍醐味を教えてくれる作品だと思います。
何度読み返したか分かりませんが、そのたびに自分の人生のふがいなさにため息が出ます。
出てくる人皆格好良いこと!

「時代」を旅する
「時代」を旅する
文藝春秋
price : ¥1,427
release : 1997/01

諸葛孔明と三国志―マンガ中国の歴史〈2〉
諸葛孔明と三国志―マンガ中国の歴史〈2〉
中央公論新社
price : ¥680
release : 2006/05

NHKシルクロード〈第11巻〉騎馬・隊商の道 (新コンパクト・シリーズ)
NHKシルクロード〈第11巻〉騎馬・隊商の道 (新コンパクト・シリーズ)
日本放送出版協会
price : ¥735
release : 1989/02

厳粛な綱渡り―全エッセイ集 (1965年)
厳粛な綱渡り―全エッセイ集 (1965年)
文芸春秋新社
price : ¥オープンプライス
release : 1965/00

果てもない道中記〈下〉
果てもない道中記〈下〉
講談社
price : ¥1,470
release : 2002/07

小説・吉野秀雄先生
小説・吉野秀雄先生
文芸春秋
price : ¥252
release : 1977/01

投げ銛千吉廻船帖 (文春文庫)
投げ銛千吉廻船帖 (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥460
release : 1997/08

海の男をえがかせたら、白石先生が一番!

江戸の長屋に住む雇われ船頭、千吉。自分の心の傷を見つめながら生きる中、
長屋に住む人々と係わり、人生を生きていく。
せっかくの幸せな生活も、海に生きるものとして、置いて去っていく。
人は生きてきた過去の重みを背負って、歩き続けなければいけない。
それは誰に言われたのでもなく、自分自身が選んだ道。
最後の「江戸芝居」は秀逸な作品でした。できれば続編を書いて
欲しいくらいの主人公でした。でも、著者としてはこの主人公で
言いたいことは全て書き尽くしたのでしょう。
果てもない道中記〈上〉
果てもない道中記〈上〉
講談社
price : ¥1,470
release : 2002/06

美の存在と発見 (1969年)
美の存在と発見 (1969年)
毎日新聞社
price : ¥399
release : 1969/00

半次捕物控―泣く子と小三郎
半次捕物控―泣く子と小三郎
講談社
price : ¥1,890
release : 2006/03

麦屋町昼下がり
麦屋町昼下がり
文藝春秋
price : ¥1,350
release : 1989/03

珠玉の4作。特に「榎屋敷宵・・」のお内儀剣士は最高!

私の好きな「これぞ武士、これぞ時代劇!」という短編4作。

■「麦屋町昼下がり」
でたー!久々に“秘剣”もの(ヨッ!寅ッ!待ってましたー!)。
―「不敗の剣」―
天賦の剣才も、この“秘剣”さえあれば・・・・・
え?呑んじゃって大丈夫? 

■「三ノ丸広場下城どき」
そうだ、殺っちゃえ、殺っちゃえ!
いくら身分が違えども、
「お主、何たるものぞ。それがしの剣を受けてみよ!」

■「山姥橋夜五ツ」
武士として、これは辛いでしょう? いくら妻が潔白でも・・。
「武士の一文」をチラッと思い出しました。
最後の3行はほんのちょっとの藤原流お色気、安心、安心。

■「榎屋敷宵の春月」:
久々の女剣士もの、しかもお内儀。
女性で、剣が強くて、しかも人妻(350石のお偉い旦那は気弱)。
しかも刺客を遣っ付けちゃうんだから気分爽快。
旦那をにらめつけて戦いに行っちゃう所がすごい!
ここまで強い内儀キャラは、藤原作品で読んだことがない。
青が散る (1982年)
青が散る (1982年)
文芸春秋
price : ¥1
release : 1982/10

化粧
化粧
作品社
price : ¥1,890
release : 1994/04

ホメロスを楽しむために
ホメロスを楽しむために
新潮社
price : ¥1,575
release : 1997/04

教養もつくうえ、シンプルに楽しめる本

シンプルかつスパイスのきいた本。
時々著者のエピソードや、解釈なども読み取れてとても楽しい。時間を忘れ、一日で読みきってしまいました。こういう類の本は教科書的になりがちですが、気取らず、古典に愛のあるツッコミをいれる、阿刀田スパイスがふんだんに効いています。
ギリシア神話の基礎知識があればさらに分かりやすいと思います。是非それは「ギリシア神話を知っていますか。」で。 こういうダイジェスト版で、大体のあらすじを知ると、古典を読むのも簡単になると思います。
美しい言い回しなどは、やはり原本をよむのがいいんでしょうが。。
その後の美術鑑賞が、ぐんと楽しくなること間違いなしです☆☆☆
つかこうへい戯曲シナリオ作品集〈4〉
つかこうへい戯曲シナリオ作品集〈4〉
白水社
price : ¥3,873
release : 1996/11

自動起床装置 (新風舎文庫)
自動起床装置 (新風舎文庫)
新風舎
price : ¥691
release : 2005/02

われわれの知らない時空間の記述

眠るという行為は、ある意味非常にネガティブな部分であろう。何も生産することはなく、ただ時間を浪費する。たしかに、必要以上の眠りはそうであるが、必要な眠りには次の生産への準備という重要な役目がある。その眠りに関する記述、われわれが普段接することのない時空間の記述が非常に力強く、美しい。覚醒時と睡眠時の呼吸、早朝の音の色合い、それらはわれわれが普段意識しないことばかりだ。仮眠室に来る人間は、暗がりのため顔が見えない。そのため、仮眠室の外では昼間すれ違ってもわからない。声により推測し、顔をみてびっくりするなど、あたり前のことにはっとさせられる。眠りという生理現象を周辺をも巻き込んで文学にしてしまった著者に脱帽。おすすめです。
妖盗S79号
妖盗S79号
文藝春秋
price : ¥530
release : 1990/06

友だちの出来事
友だちの出来事
新潮社
price : ¥1,529
release : 1994/01

おめでとう
おめでとう
新潮社
price : ¥1,365
release : 2000/11

うまいなあ

 文章うまいなあ。とぼけた味わいのある文章とか、一見硬いようでいてよくよく読むととぼけていたたいるする文章とか、江国香織みたいなべっとりした文章みたいだけど実やとぼけていたりと、なかなか曲者。
 どれもおもしろいけれど、やっぱりこの人はファンタジーを書いてこそ、でしょう。てゆうか、表題作がいいです。哀愁漂う文章と、ですます調と普通の?している系の文章の切り替えがあんまり見事なんでびっくりしちまいますよ。広い意味での恋愛小説、みたいな感じだけれど、もちろんそれだけじゃんくて、著者の確かな実力を感じる一品。
化城の昭和史―二・二六事件への道と日蓮主義者〈下〉
化城の昭和史―二・二六事件への道と日蓮主義者〈下〉
毎日新聞社
price : ¥1,365
release : 1988/02

風紋
風紋
双葉社
price : ¥2,548
release : 1994/10

天智帝をめぐる七人
天智帝をめぐる七人
文藝春秋
price : ¥1,550
release : 1994/05

日本を変えた、最初の人物

題の通り、大化改新を行なってそれまでの政治を一新した天智帝をめぐる7人のエピソードを通して、大化改新の頃から壬申の乱までを描く。

軽皇子、有馬皇子、額田王、常陸郎女、鏡王、中臣鎌足、鵜野皇女のそれぞれエピソードにはそれぞれの思惑や天智帝に対する気持などが描かれ、違った角度で時代を見れると思います。

私的には軽皇子のエピソードを描いた風鐸が気に入ってますが、それ以外のものも面白いのでとてもお勧めです。

寂聴ほとけ径私の好きな寺 2 (2) (光文社文庫 せ 3-5)
寂聴ほとけ径私の好きな寺 2 (2) (光文社文庫 せ 3-5)
光文社
price : ¥720
release : 2007/06

合牢者 (1977年)
合牢者 (1977年)
文芸春秋
price : ¥294
release : 1977/11

ジャン・クリストフ〈下〉 (1966年)
ジャン・クリストフ〈下〉 (1966年)
旺文社
price : ¥263
release : 1966/00

男装の麗人
男装の麗人
恒文社21
price : ¥1,995
release : 2002/07

魔都上海を舞台にした大活劇

旧大日本帝国が20世紀前半最も活気あり、中国に租界を持っていた頃。舞台は上海。金さえだせば手に入らぬものは何も無いと言われ、世界中の欲望と快楽が渦巻く魔都・上海で、スーパーヒーロー(ヒロイン)川島芳子が清王朝の血筋を引く粛清王の第14代王女として、そして天性の妖艶な美貌と類まれな明晰な頭脳をもって活躍する大活劇。父梢風作のオリジナルリメイク版。
薬指の標本
薬指の標本
新潮社
price : ¥1,325
release : 1994/10

標本の中

標本、それは何のためのものなのでしょう。
展示も販売もしていない、
依頼主が自分が預けたものの標本を「見る」ために
再び訪れることもない、製作者のコレクションでもない。

身の回りからそのものの存在を隔離してしまう作業、
それは、忘れたいから、というわけではない。
主人公は言います。
「標本にするってことはつまり、
いつまでも自分の中に閉じ込めるってこと。」

自分の“外”に閉じ込める、
そのことが“内”に閉じ込める作用になる。

「標本室の内側にいる限り、すべてが解放されているんです。」
この物語の中では、標本箱の中では、
存在と喪失、自由と拘束、内側と外側、被害者と加害者、
そういったものが矛盾しています。
視線と触覚が同じ比重をもっている、という著者の特徴も見られます。

そして体の部分を一つずつ失っていく主人公の体験は
残酷で、官能的でもあります。
読み進めていくと、
標本箱の中を覗いているのか、標本箱の中から覗いているのか、
不思議な陶酔感に溺れてしまいそうです。

ですから、例えば、雨の日。
雨の檻で“外”に出られなくなった日に、
家の“中”で読むことをお薦めします。

ニホン語日記
ニホン語日記
文藝春秋
price : ¥459
release : 1996/07

夜の声
夜の声
新潮社
price : ¥378
release : 1980/02

衝撃

今の世の中を反省したくなります。町で騒音を発し、夜はネオンがきら

めき、自分達の為に環境を破壊していく人間を、激しい批判を加え表現

します。また、美しいものを美しいと思い、悲しい時は泣き、純粋な恋

をするという人間本来の心を取り戻そうと呼びかける作品でもありま

す。読後に、人の愚かさと美しさとを感じさせてくれる衝撃作です。
少女監禁―「支配と服従」の密室で、いったい何が起きたのか
少女監禁―「支配と服従」の密室で、いったい何が起きたのか
青春出版社
price : ¥1,575
release : 2003/09

安易な解釈を排したクールな分析は好感が持てる

小倉と新潟の少女監禁事件と北九州の一家連続殺人事件について公判などの資料を基にその経緯や状況をまとめたノンフィクション。これらの事件については、あやしげな心理学者や精神医学者がみてきたような分析をしているが、佐木氏はほかの著作と同様に安易な解釈や文明批評を廃し現象をみつめることに全力を尽くしており好感が持てる。しかし彼の他の著作に比べて取材が不十分な部分もあるように思われる。少し出版を急ぎすぎた感もある。今後の引き続いた取材を期待する。
へらへらぼっちゃん
へらへらぼっちゃん
講談社
price : ¥1,680
release : 1998/01

INUの町田町蔵が町田康でへらへらぼっちゃん

芥川賞作家にして パンク歌手であられる 町田康大先生のエッセイ集のタイトルです
彼の独特の語感です 「へらへらぼっちゃん」
そして このエッセイが面白い 面白すぎ!!
面白杉って屋久杉みたい!!
ホンンと〜に面白い
あの恐い 恐ろしい 凶暴そうな 実際恐い あの町田康大先生も 中身は人の子なんだ
しかも 普通に「遠藤ミチロウ(大先生)」とお友達で・・・
・・・うらやましい
三つの墓標―小説・坂本弁護士一家殺害事件
三つの墓標―小説・坂本弁護士一家殺害事件
小学館
price : ¥1,680
release : 2002/03

ヴェテラン (文春文庫)
ヴェテラン (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥459
release : 1996/06

圧倒的な筆力に脱帽

この本に収録されている「秋の憂鬱」を初出の『Number』で読んだとき、それまでの高橋慶彦選手のイメージが一変しました。もともとジャイアンツ・ファンだったということもあって、あのふてぶてしそうな態度がものすごく嫌いだったのですが(笑)、見方が180度変わってしまったのです。それが海老沢さんの文章との衝撃の出会いだったので、それはもうひれ伏さざるを得ない、という状態でした。スポーツ・ノンフィクションは好きな分野なので、山際淳司さんの作品もよく読みますが、私の中では、山際さんが陽で海老沢さんが月、という印象です。どちらも明るくてやさしい部分はあるけれど、現れ方が違う、というか。海老沢さんの文章は、緻密で、ある意味痛いほどですが、その分重厚で、読むにつれて観客としての立場をまったく離れ、選手の追体験をしている感覚に陥ります。スポーツに少しでも関心があれば、もちろん面白いと思いますが、まったく知らない分野でも、新しい世界を見ることができて、興味深く読めると思います。
宮崎勤裁判〈中〉
宮崎勤裁判〈中〉
朝日新聞社
price : ¥1,890
release : 1997/09

藤沢周平句集
藤沢周平句集
文藝春秋
price : ¥1,500
release : 1999/03

蹴り損の棘もうけ
蹴り損の棘もうけ
白水社
price : ¥2,730
release : 2003/10

ガンバルモンカ (角川mini文庫)
ガンバルモンカ (角川mini文庫)
角川書店
price : ¥210
release : 1998/05

大江卓―叛骨の人 (人物文庫)
大江卓―叛骨の人 (人物文庫)
学陽書房
price : ¥693
release : 1998/10

旅人の木 (集英社文庫)
旅人の木 (集英社文庫)
集英社
price : ¥350
release : 1995/06

うーん、わかるような気がする。

ユウジの弟の現実感のない日々、よくわかるような気がする。
何をやっても、どこにいっても「なんとなーく」なんだよね。
生きることとは何か、現実とは何か、人って何なんだ?
とても人間的な作品だと私は思います。
個人的には「冷静と情熱」の100倍くらいは学ぶことがあると思う。
ハリス・バーディックの謎
ハリス・バーディックの謎
河出書房新社
price : ¥1,580
release : 1990/11

答えの無い モノクロ

 クリス・ヴァン・オールズバーグの絵本の中でも 1番好きなのが この作品である。

 14枚の絵が 脈略も無く 並んでいるだけだ。各々に短い一文がついている。しかし 何の説明にもなっていない。

 陳腐な言い方をすると 一種のロールシャッハテストなのかもしれない。絵の解釈は 読み手である僕らに 完全に任されている。巻末に答えがついているわけでもない。

 僕らは 時として 答えが無いことに 漠然とした不安を持つことがある。自分がいくら想像力をかきたてて 何かを これらの絵から「取り出した」にせよ それが「正解」なのかどうかがわからないと 落ち着かなくなる。
 但し そんな「正解探し病」から 卒業することも大事なのだと 僕はたまに思う。答えがないものは この世の中には いくらでもあるし 強引に「答え」を作り上げることに起因する悲喜劇は枚挙の暇がない。

 そんな僕らに 本書は 時として挑戦的である。モノクロだけで 作り上げた極彩色の絵本が 僕らに 「答えの無さに耐えろ」 と語りかけてきている。
 
カイのおもちゃ箱
カイのおもちゃ箱
集英社
price : ¥650
release : 1994/03

初めて読んだ

辻仁成の作品です。
長編を読むのも初めてだったんで、苦しいかなと思いましたが、意外にもすいすいと楽しんで読めました。
ちょっと他の作品とは趣が異なっています。サスペンスに近いものがあります。
パッサジオ (文春文庫)
パッサジオ (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥410
release : 1998/11

お手軽本

 辻さんは好きではないのに、つい読んでしまう。それは、すらすら読めるから。暇つぶしにはもってこいなんですよね。でも、いつも、なんかいらいらしちゃうんです。だったら読まなきゃいいんですよね、はい、そうなんですが。

 この本も、やっぱりそんなイライラを感じさせてしまう本でした。まず、辻さんて、細かい部分がいい加減だと思います。「バンドブームに乗じてプロダクションの社長が寄せ集めて作ったグループだ」と書きながら、本の後ろの方では、「ライブでスカウトされ、3年間売れない期間を過ごし云々」となってて、細かいところが気になる私は釈然としない部分も。『愛をください』の時にも、「それはカレンダー的におかしいじゃろう!?』と突っ込みを入れたくなりましたし…。作家の中には、昔の新聞で、天気まで調べて作品に書くという人もいるそうです。そこまでは要求しませんが、もう少し何とかならないかなあと思います。

 それから、登場人物の美里。何なんだ、この人物の書き込みの甘さ。彼女が、婚約者から主人公へと心変わりする経緯が全く分からない。男性に都合のいい女という印象がぬぐえない。辻さんの女性認識なんてこんなもんなのかもしれないなあ。

 辻さんがこんなに人気があるのは、私と同じように読みやすいから、つい手にとっちゃうという人が多いからなのかな。もしそうだとしたら、ディティールに凝って書いてたら辻さんのその「良さ」がなくなっちゃうから、彼はやっぱりこのままでいいのかな。う〜ん、やっぱり手に取った時点で、もう辻さんに文句は言えないのかも。

 まあ、なので、お手軽に本を読みたいという人にはお勧めの一冊です。

オープンハウス
オープンハウス
集英社
price : ¥420
release : 1998/03

辻氏の新たな一面が見られる作品

短編3部作(その内の2編は、続きもの)です。
最初の続きものの2編は、カード破産して気の強い女性の居候となった「トモノリ」が主人公。物語を通じて、トモノリの育った家庭環境などが明らかになっていく。
最後の1編は、無口でうじうじした男「ユキタケ」と3年の結婚生活の後に別れた、「ユイコ」が主人公。物語を通じて「ユキタケ」の意外な一面などが明らかになっていく。

どちらも、辻氏ならではのリアルな性描写などの泥臭さや青臭さが無く、辻氏の新たな一面が見られる作品でした。
愛はプライドより強く (幻冬舎文庫)
愛はプライドより強く (幻冬舎文庫)
幻冬舎
price : ¥560
release : 1998/04

プライドもって生きてます

この本の解説をめくってみると、辻が解説者に語った言葉が載っていた。 「ミリオンよりも大切なものがある、プライドだ」 きっとこれに続く言葉を300ページで表したものがこの本なのだろう。 「プライドよりも大切なものは?」それがそのままこの本のタイトルになっている。

物語は、ある小説家志望の男と商業的成功を至上とするある敏腕音楽

ディレクターという婚約者同士を中心に駆け足で進んでゆく。自分の行き方 を信じるがゆえに譲れないものがある、その譲れないもののためにか二人の 間は徐々に薄くなってゆく。譲れないもの。生き方に対する信念。プライド。

プライドってなんだろうかと思う。日本語で書くと誇り。

この作品にも様々なプライドが現れる。音楽業界でセールスを追及して生きるナナのプライド。同じく業界で芸術、本物を追求して生きるアラキのプライド。女に養われたままでは結婚できないナオトのプライド。私のプライドはなんだろう。自分にミリオンセラー、つまり商業的成功よりも大切なプライドがあるだろか。そんなことを考えつつ、透明感あふれ、テンポのいい辻の世界に浸っていけた。

とても読みやすい本ですよ。

宮崎勤裁判〈下〉
宮崎勤裁判〈下〉
朝日新聞社
price : ¥1,890
release : 1997/09

司馬遼太郎が考えたこと〈10〉エッセイ 1979.4~1981.6
司馬遼太郎が考えたこと〈10〉エッセイ 1979.4~1981.6
新潮社
price : ¥700
release : 2005/08

司馬曼荼羅を綴ったエッセイ集。

 これは、1979年から2年半の司馬さんの思い出を綴った書です。この頃は、「菜の花の沖」や「ひとびとの跫音」を執筆、単行本としては「胡蝶の夢」「項羽と劉邦」を出版された時期でした。
 中国残留孤児団が初来日した時期ですから、司馬さんにとってはシルクロードなどの中国の旅を通して、日本と中国の関係に深く憧憬を持たれていたのかもしれません。
 「天山の麓の緑のなかで」「イリ十日記―天山北路の諸民族たち」「複合された古代世界の舞台(「長城とシルクロードと」)」では、西域への紀行から歴史と民族の特徴などを克明に記されています。小説家として歴史を創造される絵巻物は、そこに史実があったような感じを受けます。 とりわけ、殷・周時代から、劉邦に始まる漢帝国と隆盛時代の武帝時代の匈奴に対する殺戮の時代。その後、王朝の衰退に至る遊牧民族の歴史は、たいへんおもしろいものです。
 「高野山管見」では、最澄と空海を対象に、顕密一如と密教の真髄を語っておられます。
 「司馬曼荼羅」と題する陳舜臣氏のあとがき的な記事が、この書を書いた頃の司馬さんの活動と心情を語っているような気がします。
千年旅人 (集英社文庫)
千年旅人 (集英社文庫)
集英社
price : ¥460
release : 2002/11

響く物語

とにかく、印象に残ります。手旗信号を送り続ける少女、自殺を考えるのは人間だけであり日々の生活から逃げようとする、その他の動物達はあすのことのみを考え、前進するだけ。そんなことを考えながら日々の何となく虚無感を抱いている主人公も印象的でした。
東郷茂徳―日本を危機から救った外相
東郷茂徳―日本を危機から救った外相
学陽書房
price : ¥819
release : 2000/07

香乱記〈上巻〉
香乱記〈上巻〉
毎日新聞社
price : ¥1,680
release : 2004/01

天命とは。

 天命とは。人が人として生きるとは。
 宮城谷氏は、様々な人間の生き様を通し問いかける。
 田横、秦末の斉人。「王になる予言」の下、歴史の表舞台に現れる。兄二人に続いて斉王となり斉国の独立のため戦う。
 この時期、中国の人口は半減したといわれる。それほどの激闘の中で損害を受けたのは兵士だけではない。田畑は荒らされ、収穫物を略奪され、子弟を亡くした民の嘆きはいかばかりであったろう。そうした民を慰撫し、ともに生きようとしたのが田横であった。しかし、そうした努力も劉邦に欺かれることで、無に帰してしまう。
 だが、本当にそう言い切れるのか。結果はどうあれ、田横が民の心に残したものがあったに違いない。確かに、歴史上の勝者は劉邦であるが、上に立つものとしての器量、人間としての魅力はどうだったであろうか。はたして民から慕われ、民の支持を受けることがあったであろうか。私の知る限り、宮城谷氏は劉邦を長編の主人公に描いていないはずである。
クラウディ (集英社文庫)
クラウディ (集英社文庫)
集英社
price : ¥420
release : 1993/03

初期の辻作品

可能性を信じて東京に逃げるように出てきた、けれど30歳手前の自分には何があるのだろうか。平凡でかつ、生きる喜びもわからない。焦りや不安から逃げ出したいけれど、どうしたら逃げられるのか。何かが自分を捕らえる。

この主題は、サラリーマンなら、何となく共感できて胸にくるものがある。辻仁成にも普段の生活になんらかの苛立ち忸怩たる思いがあったのだろう。展開も、ソ連からの亡命者と自らのエピソードとの絡ませ方等に秀逸な印象を受けた。

しかし如何せん、文章が気取りすぎているように思う。「東京という街は囲いのない動物園」「(動物達は)文明の犠牲者達」等々・・・。共感はできるかもしれないけれど、言い古された気さえする狙いすぎた文章に、饒舌すぎる感は否めない。
少し言いすぎだとは思うが、安っぽささえ感じてしまう。

ある英国人作家の偽りと沈黙
ある英国人作家の偽りと沈黙
草思社
price : ¥2,548
release : 1995/04

人はそれでもそこにいる

 恋であれ何であれ、誰か人について考えるとき、自分がその人について考えることと、他人がその人について考えることと、その人自身が自分について考えることは、たいていの場合はみんな食い違う。人は自分の目でしか人を見ることができない。この小説に出てくる人たちもみんな、認識のズレに頭を悩ませ、ときには不安になり、ときにはそんなもんだと開き直りながら、なんとか人間関係をやりくりしていく。作者がそんな迷える登場人物、そしてその関係に向ける眼は繊細でとても優しい。認識なんていうのは主観でしかない、なんていうポントモダンチックな観念論には決して陥らずに、それでも人間は確かにそこにいて生きていることを柔らかく描き出す。翻訳も読みやすいです。1920年代、1930年代のイギリス文壇についての話題もたくさんあって、英文学が好きな人にはとくにおすすめです。
パッサジオ (文春文庫)
パッサジオ (文春文庫)
文藝春秋
price : ¥410
release : 1998/11

お手軽本

 辻さんは好きではないのに、つい読んでしまう。それは、すらすら読めるから。暇つぶしにはもってこいなんですよね。でも、いつも、なんかいらいらしちゃうんです。だったら読まなきゃいいんですよね、はい、そうなんですが。

 この本も、やっぱりそんなイライラを感じさせてしまう本でした。まず、辻さんて、細かい部分がいい加減だと思います。「バンドブームに乗じてプロダクションの社長が寄せ集めて作ったグループだ」と書きながら、本の後ろの方では、「ライブでスカウトされ、3年間売れない期間を過ごし云々」となってて、細かいところが気になる私は釈然としない部分も。『愛をください』の時にも、「それはカレンダー的におかしいじゃろう!?』と突っ込みを入れたくなりましたし…。作家の中には、昔の新聞で、天気まで調べて作品に書くという人もいるそうです。そこまでは要求しませんが、もう少し何とかならないかなあと思います。

 それから、登場人物の美里。何なんだ、この人物の書き込みの甘さ。彼女が、婚約者から主人公へと心変わりする経緯が全く分からない。男性に都合のいい女という印象がぬぐえない。辻さんの女性認識なんてこんなもんなのかもしれないなあ。

 辻さんがこんなに人気があるのは、私と同じように読みやすいから、つい手にとっちゃうという人が多いからなのかな。もしそうだとしたら、ディティールに凝って書いてたら辻さんのその「良さ」がなくなっちゃうから、彼はやっぱりこのままでいいのかな。う〜ん、やっぱり手に取った時点で、もう辻さんに文句は言えないのかも。

 まあ、なので、お手軽に本を読みたいという人にはお勧めの一冊です。

オープンハウス
オープンハウス
集英社
price : ¥420
release : 1998/03

辻氏の新たな一面が見られる作品

短編3部作(その内の2編は、続きもの)です。
最初の続きものの2編は、カード破産して気の強い女性の居候となった「トモノリ」が主人公。物語を通じて、トモノリの育った家庭環境などが明らかになっていく。
最後の1編は、無口でうじうじした男「ユキタケ」と3年の結婚生活の後に別れた、「ユイコ」が主人公。物語を通じて「ユキタケ」の意外な一面などが明らかになっていく。

どちらも、辻氏ならではのリアルな性描写などの泥臭さや青臭さが無く、辻氏の新たな一面が見られる作品でした。
愛はプライドより強く (幻冬舎文庫)
愛はプライドより強く (幻冬舎文庫)
幻冬舎
price : ¥560
release : 1998/04

プライドもって生きてます

この本の解説をめくってみると、辻が解説者に語った言葉が載っていた。 「ミリオンよりも大切なものがある、プライドだ」 きっとこれに続く言葉を300ページで表したものがこの本なのだろう。 「プライドよりも大切なものは?」それがそのままこの本のタイトルになっている。

物語は、ある小説家志望の男と商業的成功を至上とするある敏腕音楽

ディレクターという婚約者同士を中心に駆け足で進んでゆく。自分の行き方 を信じるがゆえに譲れないものがある、その譲れないもののためにか二人の 間は徐々に薄くなってゆく。譲れないもの。生き方に対する信念。プライド。

プライドってなんだろうかと思う。日本語で書くと誇り。

この作品にも様々なプライドが現れる。音楽業界でセールスを追及して生きるナナのプライド。同じく業界で芸術、本物を追求して生きるアラキのプライド。女に養われたままでは結婚できないナオトのプライド。私のプライドはなんだろう。自分にミリオンセラー、つまり商業的成功よりも大切なプライドがあるだろか。そんなことを考えつつ、透明感あふれ、テンポのいい辻の世界に浸っていけた。

とても読みやすい本ですよ。

宮崎勤裁判〈下〉
宮崎勤裁判〈下〉
朝日新聞社
price : ¥1,890
release : 1997/09

司馬遼太郎が考えたこと〈10〉エッセイ 1979.4~1981.6
司馬遼太郎が考えたこと〈10〉エッセイ 1979.4~1981.6
新潮社
price : ¥700
release : 2005/08

司馬曼荼羅を綴ったエッセイ集。

 これは、1979年から2年半の司馬さんの思い出を綴った書です。この頃は、「菜の花の沖」や「ひとびとの跫音」を執筆、単行本としては「胡蝶の夢」「項羽と劉邦」を出版された時期でした。
 中国残留孤児団が初来日した時期ですから、司馬さんにとってはシルクロードなどの中国の旅を通して、日本と中国の関係に深く憧憬を持たれていたのかもしれません。
 「天山の麓の緑のなかで」「イリ十日記―天山北路の諸民族たち」「複合された古代世界の舞台(「長城とシルクロードと」)」では、西域への紀行から歴史と民族の特徴などを克明に記されています。小説家として歴史を創造される絵巻物は、そこに史実があったような感じを受けます。 とりわけ、殷・周時代から、劉邦に始まる漢帝国と隆盛時代の武帝時代の匈奴に対する殺戮の時代。その後、王朝の衰退に至る遊牧民族の歴史は、たいへんおもしろいものです。
 「高野山管見」では、最澄と空海を対象に、顕密一如と密教の真髄を語っておられます。
 「司馬曼荼羅」と題する陳舜臣氏のあとがき的な記事が、この書を書いた頃の司馬さんの活動と心情を語っているような気がします。
千年旅人 (集英社文庫)
千年旅人 (集英社文庫)
集英社
price : ¥460
release : 2002/11

響く物語

とにかく、印象に残ります。手旗信号を送り続ける少女、自殺を考えるのは人間だけであり日々の生活から逃げようとする、その他の動物達はあすのことのみを考え、前進するだけ。そんなことを考えながら日々の何となく虚無感を抱いている主人公も印象的でした。
東郷茂徳―日本を危機から救った外相
東郷茂徳―日本を危機から救った外相
学陽書房
price : ¥819
release : 2000/07

香乱記〈上巻〉
香乱記〈上巻〉
毎日新聞社
price : ¥1,680
release : 2004/01

天命とは。

 天命とは。人が人として生きるとは。
 宮城谷氏は、様々な人間の生き様を通し問いかける。
 田横、秦末の斉人。「王になる予言」の下、歴史の表舞台に現れる。兄二人に続いて斉王となり斉国の独立のため戦う。
 この時期、中国の人口は半減したといわれる。それほどの激闘の中で損害を受けたのは兵士だけではない。田畑は荒らされ、収穫物を略奪され、子弟を亡くした民の嘆きはいかばかりであったろう。そうした民を慰撫し、ともに生きようとしたのが田横であった。しかし、そうした努力も劉邦に欺かれることで、無に帰してしまう。
 だが、本当にそう言い切れるのか。結果はどうあれ、田横が民の心に残したものがあったに違いない。確かに、歴史上の勝者は劉邦であるが、上に立つものとしての器量、人間としての魅力はどうだったであろうか。はたして民から慕われ、民の支持を受けることがあったであろうか。私の知る限り、宮城谷氏は劉邦を長編の主人公に描いていないはずである。
クラウディ (集英社文庫)
クラウディ (集英社文庫)
集英社
price : ¥420
release : 1993/03

初期の辻作品

可能性を信じて東京に逃げるように出てきた、けれど30歳手前の自分には何があるのだろうか。平凡でかつ、生きる喜びもわからない。焦りや不安から逃げ出したいけれど、どうしたら逃げられるのか。何かが自分を捕らえる。

この主題は、サラリーマンなら、何となく共感できて胸にくるものがある。辻仁成にも普段の生活になんらかの苛立ち忸怩たる思いがあったのだろう。展開も、ソ連からの亡命者と自らのエピソードとの絡ませ方等に秀逸な印象を受けた。

しかし如何せん、文章が気取りすぎているように思う。「東京という街は囲いのない動物園」「(動物達は)文明の犠牲者達」等々・・・。共感はできるかもしれないけれど、言い古された気さえする狙いすぎた文章に、饒舌すぎる感は否めない。
少し言いすぎだとは思うが、安っぽささえ感じてしまう。

ある英国人作家の偽りと沈黙
ある英国人作家の偽りと沈黙
草思社
price : ¥2,548
release : 1995/04

人はそれでもそこにいる

 恋であれ何であれ、誰か人について考えるとき、自分がその人について考えることと、他人がその人について考えることと、その人自身が自分について考えることは、たいていの場合はみんな食い違う。人は自分の目でしか人を見ることができない。この小説に出てくる人たちもみんな、認識のズレに頭を悩ませ、ときには不安になり、ときにはそんなもんだと開き直りながら、なんとか人間関係をやりくりしていく。作者がそんな迷える登場人物、そしてその関係に向ける眼は繊細でとても優しい。認識なんていうのは主観でしかない、なんていうポントモダンチックな観念論には決して陥らずに、それでも人間は確かにそこにいて生きていることを柔らかく描き出す。翻訳も読みやすいです。1920年代、1930年代のイギリス文壇についての話題もたくさんあって、英文学が好きな人にはとくにおすすめです。
春日局 (人物文庫)
春日局 (人物文庫)
学陽書房
price : ¥693
release : 2001/08

ブッキッシュな世界像
ブッキッシュな世界像
白水社
price : ¥945
release : 1999/08

シーボルトの眼―出島絵師 川原慶賀
シーボルトの眼―出島絵師 川原慶賀
集英社
price : ¥1,890
release : 2004/05

出島絵師の数奇で面白い半生

「シーボルト事件」関係者の子孫として、シーボルトや周辺の人物には興味を持っている。中でも川原慶賀は、シーボルト『日本』には欠かせない、優れた絵師である。見逃せない。
使われている資料がなかなかコア。ねじめ作品を読むのは初めてなのだが、その語り口にもすっかり魅せられた。

若きベテラン出島絵師・慶賀は、シーボルトから、ウソをマコトに見せる絵ではなく、物の本当の姿だけを描く絵を求められる。私の眼になって、全てを描け、と。

何と言っても主人公慶賀がいい。さばけた所と、絵に対する真摯さ、プライド。天下一の絵師・葛飾北斎、その娘で同じく絵師の葛飾応為ら、周辺の人物も魅力的だ。二宮敬作はイメージ通りの好人物。冒頭にしか登場しない高野長英も光っている。
異国情緒溢れる別天地・長崎の描写も生き生きとして楽しい。

色々と良い点はあるが、一番はやはり、慶賀と北斎という配置の妙。北斎は、慶賀とは逆に、「ウソをマコトのように見せる天才」なのだ。

シーボルトは「私の眼になれ」と言い、決して「いい絵師になれ」とは言っていないのだが、慶賀の、シーボルトの眼になってやる!という気持ちと、北斎やその娘に刺激される「絵師の根性」がうまくリンクしている所が、物語として非常に面白い。

実は10数年前に、シーボルトが持ち帰った日本の風俗図の中に、北斎の作品が混ざっていることが判明している。ところがそれはやはり北斎を真の影響を受けた慶賀の絵!?という、内情がわかる向きには新たな謎も提供している・・・かもしれない。

全体に非常に軽やかで爽やか、正しく、日本で唯一外国船が出入りする長崎の港を見下ろす丘に吹いていた風を感じられるような作品。

蛍子―昭和抒情歌50選 (下)
蛍子―昭和抒情歌50選 (下)
ブッキング
price : ¥2,310
release : 2005/05

ガラスの天井 (集英社文庫)
ガラスの天井 (集英社文庫)
集英社
price : ¥380
release : 1997/07

エコーズの歌もいい!!!

まず、エコーズの歌を聴きました。

辻さんがやっていたグループです。

それまで知らなかったのだけど、友達が教えてくれたんです。

辻さんのボーカルに「魅せられちゃいました!」・・・

何だろう、歌そのものがうんと上手というのではないけど、妙に引きつけられてしまって・・・

その後に、本を紹介されて読んだんです。

これがまた、よかった・・・

作者の感性にぐいぐいと引き寄せられたって感じ。

友達はとても影響を受けて、自分の文のタッチが彼に似ているとさえ・・・(^_-)-☆

感性の共有を感じる本です!

沖田総司―六月は真紅の薔薇 (下) (人物文庫)
沖田総司―六月は真紅の薔薇 (下) (人物文庫)
学陽書房
price : ¥693
release : 1997/03

ファン必見

すごく、良かったです。何度も読み返しました。
生と死の狭間での緊迫感、葛藤、純愛、それら全てが心に響きました。
ラストもお恥ずかしながら泣いてしまいました。
文章自体もそれほど難しくなく、すんなり感情移入できてしまったのが、運のつき、だったのでしょう。
年甲斐もなく、号泣です。こういう人物が、現代に居てくれたら……。

そう、感じた作品でもありました。
とにかく、おすすめです。

天授の子
天授の子
新潮社
price : ¥580
release : 1999/05

楊梅(やまもも)の熟れる頃
楊梅(やまもも)の熟れる頃
新潮社
price : ¥420
release : 1986/03

宮尾ファンなら必読!…隠れているのが惜しい名作…

古い発行年度の作品、かつ、短編13編の構成…ということであまりメジャーではない感がありますが、宮尾作品の中では指折りの名作だと思います。

季節おりおりの「土佐」の情景をテーマに、「土佐」の女性の生きざまを描くという、宮尾登美子が得意とするフィールドで遺憾なくその実力を発揮し、ノっている頃の宮尾ワールドを堪能できます。

宮尾ファンで、この本をまだ読まれていない方はぜひご一読を。

すべては愛に始まる
すべては愛に始まる
角川書店
price : ¥1,323
release : 1996/05

時代小説―読切御免〈第4巻〉 (新潮文庫)
時代小説―読切御免〈第4巻〉 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥500
release : 2005/11

東北学〈Vol.2〉特集・巫女のいる風景
東北学〈Vol.2〉特集・巫女のいる風景
東北芸術工科大学東北文化研究センター
price : ¥2,100
release : 2000/04

百助嘘八百物語 (講談社文庫)
百助嘘八百物語 (講談社文庫)
講談社
price : ¥620
release : 2004/03

江戸時代の経済のすごさ

経済については詳しくないので知らなかったが、江戸時代に既に先物取引や信用買いなどが行なわれていたとは。
以前にある超大手の証券会社の元重役から、株の値段を表示する「ローソク足」は日本のものが一番、と聞いた事がある。
確かにニューヨーク証券取引所のチャート図を見ても日本のものより判りずらい。
これだもの、明治維新になってから急激に発展できたわけだ。
それを知らずに日本の発展の秘密を知りたくてやってきた、発展途上国の人間が間違い、
真実を見ないで帰り、失敗するんだと思う。
2百年も前から先物取引や下手したらディリバティブをやっていた国民です。
当時の大阪商人を連れてきたら、素晴らしいトレーダーになっていたろう。すごいものです。
「雪国」あそび
「雪国」あそび
恒文社21
price : ¥1,680
release : 2001/04

筒井康隆の文芸時評 (河出文庫―文芸コレクション)
筒井康隆の文芸時評 (河出文庫―文芸コレクション)
河出書房新社
price : ¥448
release : 1996/05

読み巧者としての作家?もういっちょ

 何故、私が筒井康隆と村上春樹の作品が好きなのか、と考えてみた。
 全くといっていいほど違う方向を向いている作家なのにどうして愛読するのか考えてみた。海外文学との関係を考えてみれば二人ともカフカを愛読していてそういうところが好きなのか、はたまた手口そのものは違うけども日本文学の本流から外れた場所からゲリラ的に作品を読者に提供する所が好きなのか……
 で、この本を読んで結論が出ました。二人とも読み巧者なんですよ。
 私に言わせれば「良き読み手」というわけです。意識的なのか自然にそうなってしまったのか分からないけども、この人たちは文学(というか小説)というのが大好きなんですね。書くだけでなく読むのも好きなんですよ。文壇には唾を吐いているかもしれないけど、文学に対しては極めて真摯で献身的なんですね。そして私はそんな彼らの作品を読むのが大好きなのだ。
 この本は筒井康隆のそんな一面が分かる文芸時評。ちなみに最終回は断筆前における最後の文章の為、必読。解説はジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』を翻訳した奇才英米文学翻訳家の柳瀬尚紀!
イギリス短篇24 (現代の世界文学)
イギリス短篇24 (現代の世界文学)
集英社
price : ¥1,937
release : 1989/11

幕末・長州に吹いた風
幕末・長州に吹いた風
PHP研究所
price : ¥550
release : 1990/12

白道
白道
講談社
price : ¥2,100
release : 1995/09