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ロマンス
D列車で行こう
D列車で行こう
早川書房
price : ¥469
release : 1991/11

クリスマスツリー
クリスマスツリー
ハーレクイン
price : ¥536
release : 1999/12

ぼくたちの家出 (偕成社おたのしみクラブ)
ぼくたちの家出 (偕成社おたのしみクラブ)
偕成社
price : ¥1,050
release : 1999/07

ニュートンズ・ウェイク
ニュートンズ・ウェイク
早川書房
price : ¥966
release : 2006/08

ポップなノリ

 近頃話題の英国ニュー・スペースオペラの一角を担う本著、らしい。
 全般的にタッチが軽い。ポップなノリを目指したのだろうか。たしかに様々なガジェットの奔流には目がくらむが、くらまされすぎて話がよく分からないよ。一気読み出来なかったせいもあるが…。
 一箇所、謎のソフトウェアが人類起源だという事が分かった理由として、「マイクロソフトのパッチが適用されていたのさ」ってくだりには、笑ったが。
ミドロジアンの心臓―ディーンズ姉妹の生涯 (上)
ミドロジアンの心臓―ディーンズ姉妹の生涯 (上)
岩波書店
price : ¥578
release : 1956/10

スカーレット〈3〉
スカーレット〈3〉
新潮社
price : ¥780
release : 1994/12

うーん・・・

マーガレットミッチェルが、怒り狂って墓から甦ってくるのではないかという内容です。
「風と共に去りぬ」は確かに壮大なロマンスと言えない事も無かったですが、きちんとした歴史的背景や、人物の心理描写、性格の書き分け等が非常に優れていました。

こちらの『スカーレット』ですが、あの名作が、単なるハーレクインロマンスになっています。しかもアルコール中毒からの立ち直りだの、説教臭いハーレクインです。 レットも、意味も無く、作品中を出たり入ったりします。
元々の『風と共に…』に入れ込んでる人は、読まないほうが良いでしょう。

獲物の眼
獲物の眼
早川書房
price : ¥714
release : 1996/02

まさに一級のサイコサスペンス

ルーカス・ダヴェンポート・シリーズ第3弾。
とは言え、前二作を読んでなくってもぜんぜん構わないです(ま、でもこれを読むとさっそく読んでないものを探して読みにかかるでしょうけどね!)。
私自身、手に入るところから読んでいるんで、順序はムチャクチャです。
でも、楽しめているから、ぜんぜん問題ないですね、順番は。

ストーリ自身は、何かの謎を解くと言う推理小説めいたものではなく、最初から犯人はすっかり分かっています。それをどうルーカスが解いて行くのか、なんて言うと、コロンボ刑事物を思いうかべるかも知れません。
確かに構成はそうかも知れないけど、大きく違うのは一つは主人公自身の男性的魅力と弱さ。
本作ではまさに別れかけの崖っぷちにいる恋人と娘との関係が、かっこよくって(刑事物には珍しく)お金持ちの主人公ルーカスの弱さと言うか、まさに人間味をつけ人間描写に厚みを増しています。
もう一つコロンボシリーズと違うのは、やはり犯罪そのものの猟奇性と言うか病めるアメリカ、と言うところか。サイコマーダーともシリアルキラーとも言われるかなり人間心理の恐ろしい部分を赤裸々にした事件の特徴だと思う。
主人公自身が悩める家庭と言うか人間関係を持ちながら、しかし一方でとても素敵でスマートな魅力を持つ人物で、そして特徴的な事件を追う。有難いことに敵役がこれまた特級に悪い。
と言うことで、まさに一級のサスペンスです。
雪の女王
雪の女王
世界文化社
price : ¥1,575
release : 2005/03

名探偵ポワロの華麗なる生涯
名探偵ポワロの華麗なる生涯
晶文社
price : ¥3,360
release : 1998/05

架空人物の「伝記」

実在しない人間なのに「伝記」を書かれる探偵は、まずシャーロック・ホームズとこの人しかいないだろう(ミス・マープルにも伝記に近いものはあるが)。
ポワロの詳細な伝記。謎の多い彼の生い立ち、そしてホームズほどには研究者も多くないことからして、「正直これほどの分量が書かれるとは思っていなかったが、読んでみて大変楽しかった。

彼が実在したと考えたほうが世界は面白い。

ジョルジュ・サンドからの手紙―スペイン・マヨルカ島、ショパンとの旅と生活
ジョルジュ・サンドからの手紙―スペイン・マヨルカ島、ショパンとの旅と生活
藤原書店
price : ¥3,045
release : 1996/03

うーん、今ひとつ

ショパンが愛したジョルジュ・サンドはいったいどんな人だったんだろうと思い、購入した。「ショパンの生涯」を読み終え、さっそくサンドの書簡を読んでみた。途中でやめてしまう。どうしてだろう。なぜかこの本で編集されている彼女の書簡は私の求めていたイメージと遠い感じがする。やはり、ショパンの世界を知るには「ショパンの生涯」で十分だな。ジョルジュの文学性に興味のある人なら、案外おもしろいかもね。いつかこの本にもどる日を期待しつつ。
トラィアル&エラー
トラィアル&エラー
東京創元社
price : ¥630
release : 1972/01

恐怖の鏡
恐怖の鏡
早川書房
price : ¥336
release : 1982/05

他に類を見ない長編SF

1961年にドイツで初巻が発売された週刊ペースの長編SFの日本語訳です。 複数の作家によるリレー小説という形式で40年以上も破綻する事無く続いている小説は、他に類を見ません。 各々の作家の個性を生かしながら物語全体の流れを破綻させないようにするため、あらすじを作るプロット 作家チームを置き、そこで作られるプロットを基に各々の作家が肉付けをし、物語を完成させる方式を採用 したのが功を奏しているのでしょう。 原書のドイツ語版は現在2000巻(日本語版の1000巻に相当する)を突破し、なおも続いています。 残念ながら日本語版は翻訳が追いつかず、今日現在で326巻(ドイツ語版の652巻)までしか翻訳されていません。 とは言え、300巻を超えているのは相当な物量で、初めての方には「全部読むのはつらい。」と思われる人も多いかと思います。 でも大丈夫、ストーリーの流れが25巻あるいは50巻単位で一纏まりになっていて途中からでも読み始められる工夫がされているからです。(この一纏まりはサイクルと呼ばれています) 例えば、1?25巻は「第三勢力サイクル」、26?50巻は「アルコン帝国サイクル」など、サイクル単位でストーリーが一段落するので、興味のある方は途中からでも読んでみてはいかがでしょう。 翻訳体制に関して当初は、故・松谷健二氏ひとりで翻訳されていましたが、現在では数名のスタッフによる翻訳で月に1巻(ドイツ語版の2巻分)が発売されるようになりました。 最初の頃の巻は約40年前に執筆されたものなので現在の感覚からすると古くさい感があるかもしれませんが、それはそれでまた一興ではないでしょうか。 恒星間航行をする宇宙船の通信用スクリーンが、スイッチを入れてから明るくなるまで時間がかかる場面などを見ると、その当時の実際のテレビもそんな感じだったんだなぁと、執筆された当時の生活感をかいま見る事が出来たりします。 長く続いている小説だけに、いろいろな楽しみ方があると思いますので変な垣根を作らずに気軽に読んでみてはいかがでしょう。

ただ、私にとって残念な事は、「日本語版が私の生きている間には完結しないだろう。」と言う事です。
O・ヘンリー名作集―After twenty years and other stories 【講談社英語文庫】
O・ヘンリー名作集―After twenty years and other stories 【講談社英語文庫】
講談社インターナショナル
price : ¥651
release : 1999/04

ネアラ1 記憶をなくした少女と光の竜
ネアラ1 記憶をなくした少女と光の竜
エンターブレイン
price : ¥1,995
release : 2005/10/28

記憶をなくした少女が少しずつ記憶を取り戻して行くと同時に・・・・

ネアラは記憶をなくし、ドラゴンに襲われる所を助けてもらった人たちと記憶を取り戻す旅をする。そして、旅の途中であった人たちを仲間にして旅をして行く。
旅の途中でネアラ達は何度も敵に襲われる。そこには敵のあるネラアを使った企みがあった。仲間の裏切り、そしてしてはいけない恋。ネアラの最初の旅が始まる。
闇へ降りゆく―ストレンジ・ハイウェイズ〈2〉
闇へ降りゆく―ストレンジ・ハイウェイズ〈2〉
扶桑社
price : ¥700
release : 2000/01

読みやすいけれど・・・

 「フン族のアッチラ女王」は,精神乗っ取りを図るエイリアンとの戦いの定番もの。愛の力を前面に押し出す作風は,素直でよろしいが,どうですかねえ。タイトルナンバーは,心の闇へと降りゆく階段を描く。もっと突っ込んだ展開になってもよいのだが,抑え目にしているのは恐怖の余韻の効果を狙ったのか・・・。「オリーの手」は,世を忍ぶ超能力者と自殺未遂の若い女との出会いと別れを綴った作品。まとまりのよさと,テーマにありがちな空々しさが気にならない点で本集では一番の作品だと思う。かわって,「ひったくり」は,スリの男が神も仏もない目にあう話。グロテスクに徹している姿勢は好感をもてる。喉首がざわつく気味悪さは特筆もの。
 残念ながら,全体としては,やや物足りないかな。
すねた娘
すねた娘
東京創元社
price : ¥452
release : 2000/00

ペリー・メイスンシリーズの魅力

昔はベストセラーだった、メイスンシリーズ、今では知らない人もいるかもしれないので、その魅力を紹介します。 魅力的な主人公  行動派探偵といわれるように、彼はうじうじ悩んだり、気障なせりふを吐いたりしないで、とにかく行動します。  弱い庶民を助けるためには、非合法スレスレのトリックを駆使しても、権力と闘う、頼もしい弁護士です。

魅力的な脇役  メイスンと絶妙のコンビの美しい秘書、デラ・ストリート  ステーキを食べているメイスンに「俺はいつもハンバーガーさ」と愚痴をいいながらも、メイスンの無茶な注文もガッツで引受ける、職人探偵、ドレイク。 スリル溢れる法廷シーン  決定的な証拠を提出して、ニヤリと笑う敵役検事、追い詰められたメイスンはどうなるのか。

 そんな不安をよそに、わずかな手がかりから、最後には手品のように無罪を勝ち取る、その爽快感。 これはお約束とはいえ、気持ちいいですね。 本書もこうした魅力がいっぱいです。読んだ事のない人は是非ご一読を。 ワンアウト3塁で三振する四番打者と違って、最低でも外野フライでランナーを帰す、そんな読者を裏切らないのがメイスンシリーズです。

妖魔の戯れ
妖魔の戯れ
早川書房
price : ¥550
release : 1990/07

たましいの戯れ

妖魔王アズュラーンの娘としてそして地上の女王として悪道を尽くし、狂気の王チャズと愛し合い、不死身である身を死の王、叔父ならぬ叔父ウールムに託す…それが「熱夢の女王」でのアズュリアズの数多き物語の主たるものです。が、当然、人外の筆でも語りきれないのが夜の娘とと狂気そのものとの恋物語、そしてアズュリアズとして死んでのちもたましいは滅びません。チャズとは人々のならいである生まれ変わりを通じ、変化しながら永遠に戯れる、そんな自由な2つのたましいとして美しく生き続けます。この本は短編集の形であるため、読みやすいです。
同い年の家庭教師 (竹書房文庫)
同い年の家庭教師 (竹書房文庫)
竹書房
price : ¥650
release : 2006/02

望郷の宇宙帝国
望郷の宇宙帝国
早川書房
price : ¥336
release : 1975/02

ネットフォース
ネットフォース
角川書店
price : ¥980
release : 1999/09

安っぽさが目立つ作品

NETFORCEというタイトルにひかれて購入したが、内容はまったくIT関係に踏み込まず、只それを物語りの進行上の一つの道具に使ったに過ぎない。所々でヴァーチャルリアリティの世界が展開するが、これはスターウォーズ・エピソード1におけるスピード競争のように、勢いだけでまったく想像力を刺激されなかった。著者はそのように、現実の世界と虚構の世界を平行させて展開させた点を面白みとして提示しているのかもしれないが、インターネットがこれだけ普及した現在からして見ればこのような表現は陳腐としか感じられない。ネットの発達により距離感の変化が起こるのは当然として、世界各国で同時にさまざまなことが起こるのは面白かったが、あまりにも舞台を広げすぎ、一つ一つの場面の描写が?!??くなったような気がした。
赤い宇宙の対決
赤い宇宙の対決
早川書房
price : ¥378
release : 1977/12

他に類を見ない長編SF

1961年にドイツで初巻が発売された週刊ペースの長編SFの日本語訳です。 複数の作家によるリレー小説という形式で40年以上も破綻する事無く続いている小説は、他に類を見ません。 各々の作家の個性を生かしながら物語全体の流れを破綻させないようにするため、あらすじを作るプロット 作家チームを置き、そこで作られるプロットを基に各々の作家が肉付けをし、物語を完成させる方式を採用 したのが功を奏しているのでしょう。 原書のドイツ語版は現在2000巻(日本語版の1000巻に相当する)を突破し、なおも続いています。 残念ながら日本語版は翻訳が追いつかず、今日現在で326巻(ドイツ語版の652巻)までしか翻訳されていません。 とは言え、300巻を超えているのは相当な物量で、初めての方には「全部読むのはつらい。」と思われる人も多いかと思います。 でも大丈夫、ストーリーの流れが25巻あるいは50巻単位で一纏まりになっていて途中からでも読み始められる工夫がされているからです。(この一纏まりはサイクルと呼ばれています) 例えば、1?25巻は「第三勢力サイクル」、26?50巻は「アルコン帝国サイクル」など、サイクル単位でストーリーが一段落するので、興味のある方は途中からでも読んでみてはいかがでしょう。 翻訳体制に関して当初は、故・松谷健二氏ひとりで翻訳されていましたが、現在では数名のスタッフによる翻訳で月に1巻(ドイツ語版の2巻分)が発売されるようになりました。 最初の頃の巻は約40年前に執筆されたものなので現在の感覚からすると古くさい感があるかもしれませんが、それはそれでまた一興ではないでしょうか。 恒星間航行をする宇宙船の通信用スクリーンが、スイッチを入れてから明るくなるまで時間がかかる場面などを見ると、その当時の実際のテレビもそんな感じだったんだなぁと、執筆された当時の生活感をかいま見る事が出来たりします。 長く続いている小説だけに、いろいろな楽しみ方があると思いますので変な垣根を作らずに気軽に読んでみてはいかがでしょう。

ただ、私にとって残念な事は、「日本語版が私の生きている間には完結しないだろう。」と言う事です。
兄の殺人者 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)
兄の殺人者 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)
社会思想社
price : ¥652
release : 1994/01

気持ちよく読めるミステリ

主人公は若い事務弁護士。やはり弁護士である兄から、夜中に呼び出しの電話がかかって来る。しぶしぶ出向くと、兄は殺されていた! 調べていくと、兄には思わぬ "別の顔" があった事がわかっていき…。

推理物としては大した事はない。トリックも犯人も、比較的容易に見当がつくだろう。だが、あっと驚かされる事はなくとも、謎がカッチリと組み立てられていて気持ちよい。また、読み物としても結構おもしろい。テンポが速く、ドラマチックな展開で、退屈しない。とにかく楽しく読める。

A-1の破壊工作者
A-1の破壊工作者
早川書房
price : ¥357
release : 1980/08

パパ・ヘミングウェイ〈下〉
パパ・ヘミングウェイ〈下〉
早川書房
price : ¥469
release : 1989/08

「久遠の女性」と「偉大な正午」―『ファウスト』と『ツァラトゥストラ』
「久遠の女性」と「偉大な正午」―『ファウスト』と『ツァラトゥストラ』
東洋出版
price : ¥5,097
release : 1992/00

罪なジェラシー
罪なジェラシー
ハーレクイン
price : ¥672
release : 1998/09

日光浴者の日記
日光浴者の日記
早川書房
price : ¥591
release : 1977/10

スリリングさが絶品!

ペリー・メイスン・シリーズの1955年の第47作。
突飛な冒頭、スリリングな展開、痛快な逆転劇…と三拍子そろった、典型的なメイスン物。とてもおもしろかった。
素っ裸で日光浴をしていたら服を盗まれた、と見知らぬ若い女からSOSの電話がかかってくる…という突飛な冒頭で、否応なしに惹き付けられる。そして殺人事件が発生、タイミング的に犯人はメイスンか依頼人のいずれか…という抜き差しならぬピンチに追い込まれ、宿敵の検事バーガーは笑いが止まらない。最後に笑うのはメイスンだとはもちろんわかっているが、息詰まるような緊迫感が絶品。
五人目のブルネット
五人目のブルネット
早川書房
price : ¥591
release : 1978/12

クリスチィ短編全集 5 (5) (創元推理文庫 105-5)
クリスチィ短編全集 5 (5) (創元推理文庫 105-5)
東京創元社
price : ¥663
release : 1967/08

車椅子に乗った女
車椅子に乗った女
早川書房
price : ¥509
release : 1980/12

看板に偽りなし、シリーズ後期の傑作

ペリー・メイスン・シリーズの1961年の第64作。
ミス・アメリア・コーニングは、会社の大株主で事実上の所有者。普段は南米に住み、半盲でスミレ色のレンズの眼鏡をかけ、歩行も不自由で車椅子に乗っている。そんなコーニング女史が、監査のためはるばるロサンジェルスにやって来た−それも入れ違いに2人も!

2人のコーニング女史をめぐる騒ぎが、とてもおもしろかった。片方は偽物なのだが、どちらも威風堂々とした豪傑おばさんで、どちらが本物でも全然おかしくない。偽物はアカデミー賞ものだと思った。殺人事件が起こるのは、物語の半分以上を過ぎてからだが、そんな事も全く気にならない。内容紹介に”シリーズ後期を代表する”とあるが、看板に偽りなしの傑作。お薦め。

運のいい敗北者
運のいい敗北者
早川書房
price : ¥399
release : 1985/04

メイスンのしびれるカッコ良さ

前にも書いたが、ペリー・メイスンは、初期の作品では"天使と悪魔の混血"だったが、後期では優等生になってしまった。だが、優等生のメイスンも決して悪くはない。とにかく、無条件にカッコ良いのだ。本書でも、長くなるから詳細は省くが、きっぱりと小切手を破り捨てるシーンが、しびれるほどカッコ良い。

また初期の作品では、真犯人を罠にかけたり、当局にお先棒を担がせる奇策が魅力だが、後期の作品では、ギリギリまで追いつめられた末の、ドラマチックな逆転劇が魅力。本書の逆転劇は特にドラマチック、と言うよりも天地がひっくり返るような、思いもかけない真相の暴露が圧巻。

本書で目立つ欠点は、「運のいい敗北者」というタイトルの意味が、最後まで読んでも全然わからない事。メイスン物は、いかに変なタイトルでも、読んでも意味がわからない事は普通ないのだが。

怯えるタイピスト
怯えるタイピスト
早川書房
price : ¥509
release : 1979/10

驚くべき結末だが

ペリー・メイスン・シリーズの1956年の第49作。
本書の結末は、シリーズで最も意外なものである。しかし、残念ながら "最も意外な" が、必ずしも "すばらしい" とは限らない。なぜなら、この驚くべき結末を導き出すために、話を作り過ぎているというか、トリックが乱用されているような気がするからだ。たとえトリックが不自然でも、用いたのがメイスンか真犯人ならまだ良い。だが、トリックを用いたのは、作者のガードナーのように思える。あまりいただけない。ポケミスの解説を読んで、これは大変な話だぞ…と期待をふくらませていただけに、ちょっとガッカリした。
氷のような手
氷のような手
早川書房
price : ¥509
release : 1983/01

法廷ミステリーの佳作

ペリイ・メイスンが競馬の払戻金を代わりに受け取ってきて欲しい、というある女性の依頼を受ける。無事にその依頼を果たしたメイスンだったが、その女性の部屋で死体が発見される。状況証拠は彼女に不利なものばかり。さて、どうするか?というストーリーなのだが、法廷でのメイスンと検事の駆け引きは面白い。後手後手にまわりながらもじっくりと検事の先を読むメイスンには感心させられる。法廷での駆け引きは優れているが、事件そのものが単純なのがやや難点。
天の涯に生くるとも
天の涯に生くるとも
講談社
price : ¥877
release : 1989/11

エステマニア
エステマニア
幻冬舎
price : ¥520
release : 1998/06

エステの怖さを知りました

エステに通っていたときに読みました。

経験者だからこそわかるエステの裏側が描かれていて、読んでいてちょっと怖くなるぐらいです。

また、エステにハマっていった女心も丁寧に描かれているので同じ女性として共感できる部分が多かったです。

殺人者の烙印
殺人者の烙印
東京創元社
price : ¥1,029
release : 1986/06

いつもながらのユニークな発想

妄想癖の作家シドニー。その妻アリシア。二人は夫婦仲が悪い。シドニーは空想の中でアリシアを何度も殺していた。そんな中、シドニーは妻に見立てた布に包んだ物を森に埋めるところを隣人に見られてしまう。折りしもアリシアは失踪してしまう。シドニーには「殺人者の烙印」が押されてしまう...。

この後はいつものハイスミス節で、周囲の疑惑に心理的に追い詰められるシドニーの姿がタップリ描かれ、後半は逆に真の容疑者を見つめるシドニーの姿が皮肉混じりに描かれる。いつもながらのアイデアの妙と心理描写の巧みさには驚かされる。ユニークな発想と人間模様が味わえるサスペンス小説の傑作。
海底の魔術師 (少年探偵・江戸川乱歩)
海底の魔術師 (少年探偵・江戸川乱歩)
ポプラ社
price : ¥1,029
release : 1998/12

とさかのついた化け物の恐怖

海底の魔術師の風貌が詳細に記されており、想像すると鳥肌が立ちそうだった。明智探偵の推理が冴えている。迫力を感じるお薦めの一冊です。
秘密スイッチX
秘密スイッチX
早川書房
price : ¥378
release : 1974/02

漢詩に遊ぶ―読んで楽しい七五訳 (集英社文庫)
漢詩に遊ぶ―読んで楽しい七五訳 (集英社文庫)
集英社
price : ¥500
release : 2006/07

ブラックウォーター湾の殺人
ブラックウォーター湾の殺人
早川書房
price : ¥840
release : 1998/09

フェルマータ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
フェルマータ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
白水社
price : ¥1,155
release : 1998/08

イマジネーション良好

同じ著者の『もしもし』や『中二階』に比べて、何となく評判がよくないようだが、自分にはいいと思えた(実用性あり)。
それにしても、欧米人とこういう嗜好で感性が一致するとは思わなかったなあ。
岸本佐知子さんの訳は見事。
ヒュプノの恐怖ふたたび
ヒュプノの恐怖ふたたび
早川書房
price : ¥378
release : 1976/07

姿なき攻撃
姿なき攻撃
早川書房
price : ¥357
release : 1976/09

ウェンズ氏の切り札
ウェンズ氏の切り札
社会思想社
price : ¥693
release : 1993/05

ステーマンの再評価を!

「ウェンズ氏の切り札」と「ゼロ」、二つの長編(量的には中編かな)が収録されています。
殺人事件の容疑者全員に確かなアリバイがなく、丹念に一人一人調べていくうちにアッと驚く結末をむかえる「ウェンズ氏の切り札」、占い師からの予言を受ける神秘的な場面で幕を開け、警察を悩ませた密室殺人事件の謎を意外な人物が解決する「ゼロ」。

どちらもよく出来た本格ミステリで、探偵作家ステーマンの力量が十分にうかがえる一冊です。

過去からの旅人
過去からの旅人
ハーレクイン
price : ¥704
release : 2003/02

タイムトラベルものがお好きな方に

 タイムトラベルものがお好きな方にはお勧めの作品です。ハッピーエンドなのはもちろんなのですが、ただのロマンスものではありません。ちゃんとアクション的要素も含まれていて、楽しく読むことができます。

 ただ、内容に信憑性を持たせるためだと思うのですが、化学関係、また軍事関係の専門用語がたくさん出てくる所に少し抵抗を感じる人もいらっしゃるかもしれません。だから、万人受けするわけではないと思います。でも、ロマンスをふんだんに取り入れた、ミリタリーアクション(軍事ものースパイものを含む)がお好きな方がいらっしゃれば、この作品をぜひ、読んでいただきたい。

 じゃあ、なぜ★4つですかって?それは、もちろん、続きが気になる終わり方をしていて、「少し読みたりなく感じたから」です。これは、次作品への期待ということでご容赦いただきたいですね。

水滸伝―完訳 (5) (岩波文庫)
水滸伝―完訳 (5) (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥693
release : 1999/02

ニンニク農園の12ヵ月
ニンニク農園の12ヵ月
晶文社
price : ¥2,957
release : 1995/03

津軽
津軽
未知谷
price : ¥2,100
release : 2006/06

黄色いドゥカと彼女の手 (角川文庫)
黄色いドゥカと彼女の手 (角川文庫)
角川書店
price : ¥567
release : 1991/09

バイクをモチーフにした掌編集

サリンジャーの「ライ麦畑」を意識したような文体のティーンエイジャーの話。エッセイのような話。静かな私小説のような話。ひたひたと忍び寄るホラーテイストの話。不思議な読後感を残す話。バイクが文中のどこかに必ず出てくるというお約束を除けば、いろんなジャンルのいろんな内容の話が多岐に綴られていて楽しめます。沢田としき氏のイラストが原田宗典の文章にぴったりとマッチングしています。最後に私事ですが、13年前に買って埃にまみれていた本書を今ごろになってようやく読みました。「時々、風と話す」(角川文庫)もセットで買った記憶があるのですが、とうとう本棚から見つけ出すことはできませんでした。
ぼくの伯父さんの休暇
ぼくの伯父さんの休暇
アノニマスタジオ
price : ¥1,575
release : 2004/09

心が温かくなる本

映画にもなった「ぼくの伯父さんの休暇」の小説版です。
子供のような振る舞いで、周囲を混乱させる伯父さんが、本当に微笑ましく、
忘れかけていた気持ちを思い出させてくれて、読む度にほのぼのする本です。
おしゃれな絵がたくさん入っていて、それも楽しめます。
おまつりの日に (ターシャ・テューダークラシックコレクション)
おまつりの日に (ターシャ・テューダークラシックコレクション)
メディアファクトリー
price : ¥1,260
release : 2002/11

ガチョウと牛の品評会

 この作品は、今回の復刻版で初めて知った。
 ターシャの初期の作品らしく、まだ、挿画が安定していない。いまや大学生になっている長女や長男に子供の頃見せられなかったのは残念だ。
 PPMが普及させた「Dona Dona」のような牛の品評会は、牛肉やガチョウを食べることが当たり前のアメリカでは、違和感なく受け入れられたであろうけど、農耕民族の日本で、果たしてどこまで受け入れられたかは、今となっては疑問である。

 しかし、ターシャの描く世界では、そうした悲惨さはない。というか、感じさせない。

 ターシャは、ベジタリアンではないし、牛肉もガチョウの肉も食べるであろう。それを、不必要な動物愛護主義とか、弱肉強食とか、人間による動植物の管理と感じさせないところが、すばらしい。

 ターシャの「日本限定編集版」に感激して涙を流す暇があったら、まずは、この残酷な現実を受け入れるターシャの「自然の姿」を感じなくてはならないだろう。

 この作品は、そういう様々な観点から、素敵な絵本であると思う。
おはなし ちびまる子ちゃん〈10〉
おはなし ちびまる子ちゃん〈10〉
集英社
price : ¥800
release : 2000/04

インモラル・アンリアル―現代タイ文学 ウィン・リョウワーリン短編集
インモラル・アンリアル―現代タイ文学 ウィン・リョウワーリン短編集
国際言語文化振興財団
price : ¥2,625
release : 2002/07

死にゆく太陽の惑星
死にゆく太陽の惑星
早川書房
price : ¥357
release : 1973/07

大宇宙を継ぐ者
大宇宙を継ぐ者
早川書房
price : ¥399
release : 1971/07

超巨大スペースオペラの始まりの書

今現在も続くスペースオペラです。
だいぶ昔に書かれているのに関わらず、
ワクワク、ハラハラさせられる展開。
月への不時着により、人以外の知的生命体の存在を知らされたローダン。
そして、それを支える仲間との駆け引きが素晴らしいです。

何よりもローダンがカッコイイ。
どんなに窮地でも冷静に物事を判断できる彼はすごいなと思いました。
300巻以上あっても苦じゃない!と言う人にはお勧めかと思います。
宇宙商人スプリンガー
宇宙商人スプリンガー
早川書房
price : ¥378
release : 1974/07

吸血女の恋 (現代教養文庫)
吸血女の恋 (現代教養文庫)
社会思想社
price : ¥489
release : 1992/05

野生の風
野生の風
集英社
price : ¥1,325
release : 1995/03

壮大なアフリカを舞台とした、奥深い二人の世界

アフリカ大陸というとても大きな舞台で、二人の男女の心の奥深いところを描いていて、まさに村山ワールドの真骨頂とでもいうべき作品であったと思う。
だけど、なんてせつないのだろう。
エンディングに向けて読み進むに従って胸が締め付けられるようにきりきりとなり、涙をこらえることが大変だった。
恋愛している時に誰もが感じる押されきれない感情の高ぶりと、実際的な問題、そして男としての生きかたをとても考えさせられる。
僕なら一体どんな選択をするだろう。飛鳥と二人で、それこそ世界の果てまで逃げるのか、それとも一馬と同じ選択をするのだろうか。
男と女で全く違った読み方をする小説かもしれない。女性はどんなふうに感じるのか、僕自身もとても興味があります。
特に今恋愛中のかた、一読の価値ありです。
模倣における逸脱―現代探偵小説論
模倣における逸脱―現代探偵小説論
彩流社
price : ¥2,548
release : 1996/07

ジュラシック・パーク〈上〉
ジュラシック・パーク〈上〉
早川書房
price : ¥1,529
release : 1991/06

映画にはない魅力

『ジュラシックパーク』といえば、映画が特殊効果で話題だったこともあり、原作はどうかと思いましたが、他の方のレビューをみて購入しました。

これで作者の作品を初期、中期、最新作と読みましたが、作者のスゴイところは科学は万能ではないこと、人間は自然の前では無力であることがテーマとして常に一貫しており、その線に沿って実にバラエティ豊かな物語を数多く生み出しているところでしょう。

映画を楽しめた人は深堀り出来るでしょうし、たかが恐竜映画と思って楽しめなかった人には新たな発見があると思います。

余談ですが、本作発表はバブルは崩壊したもののまだ熱の冷めやらない1990年であり、ジュラシックパーク建設への投資家は日本人であるという設定でリアリティーを出しています。余勢を駆って(?)作者は本作の次に『ライジングサン』を発表します。
まぬけのウィルソンとかの異形の双生児?マーク・トウェインコレクション (1)
まぬけのウィルソンとかの異形の双生児?マーク・トウェインコレクション (1)
彩流社
price : ¥2,548
release : 1994/11

ミステリーズ!Vol.10
ミステリーズ!Vol.10
東京創元社
price : ¥1,260
release : 2005/04/09

まほうのスープ
まほうのスープ
岩波書店
price : ¥1,785
release : 1991/06

コミカルなおとぎ話の絵本

山の左右に隣り合った二つの王国はライバル同士。それぞれ後継ぎの王子と王女が誕生する。どちらの国も魔女を怒らせ、へんてこな魔法をかけられてしまった。魔法をとくには、相手国にあるアイテムを手に入れなくてはならない。戦争の危機だ。

おとぎ話のかたちとミスマッチな挿絵がとてもコミカルな絵本です。中でもキッチュな魔女は最高。

ファンタジーの大家エンデの作品ですが、身構えず、軽〜い気持ちで読めますよ。魔法をとくための方法は、やっぱりエンデらしいかも。

インド式マリッジブルー
インド式マリッジブルー
東京創元社
price : ¥1,995
release : 2005/05/30

16歳の少年のマリッジブルー

マリッジブルーに陥っているのは、16歳の少年。彼は13歳のとき、父親から17歳になったら結婚させると宣言されました。それがパンジャブ人だから。少年・マニーの二人の兄、二人の姉も父親の思うとおりの、パンジャブ人と若くして結婚しています。

一家はイギリスに住むインド系。父親は工場労働者。兄たちも高校を卒業すると単純労働についています。

けれど、マニーはリヴァプールFCのトップ・ストライカーになって、イギリスで初めてのアジア人ポップ・スターになって、ベストセラー作家にもなって、スーパーモデルとデートして、アカデミー賞を取る夢があります。

パンジャブ方式を貫く一家と、自立したがっている少年マニーのジェネレーション・ギャップの戦いの小説です。

さらに父親たちはひどい人種差別者。民族の恋愛や結婚に、絡み合う人種の問題。トラディショナルな考えとドメスティック・バイオレンス。

一方、10代のマニーが直面する恋愛、セックス、ポップカルチャー。さらに友人の若くしての妊娠。

小説の中盤、一家でインドに里帰りするのですが、その情景が鮮やか。インドの喧騒、田舎ののどかさを描きながら、モノがなくても生きていけることをマニーに教えてくれます。そしてここの問題はカースト制。

さまざまな問題をアップテンポに盛り込み、マニーの気持ちを素直に表現した、とってもノリのいい小説。翻訳者の力量に感謝。

大いなる体系―聖書と文学
大いなる体系―聖書と文学
法政大学出版局
price : ¥5,040
release : 1995/11

森へようこそ (ピュアフル文庫)
森へようこそ (ピュアフル文庫)
ジャイブ
price : ¥567
release : 2006/11

余白の愛
余白の愛
福武書店
price : ¥561
release : 1993/11

知的な男について

難聴の主人公が聴く耳鳴りは、とある記憶を呼び覚ます。
速記者はそれを綴っていった。

元来、理解し、確認しながら読むタイプなのだが、この物語は、しない方がいいと決めていた。

だからいつのまにか速記者が、主人公に対して丁寧語を使わなくなったとか、ホテルとなった古い洋館で食べたメニューとか、ジャスミンの間で寝たきりだった青年の描写とか、気になったけど、読み返さなかった。

ぼんやりとあやふやのまま、読むのがいいのだと感じた。

どうでもいいけど、小川洋子さんの描く男性というのは、いつも知的で繊細な感じだ。私の想像では細身で色も白い学者タイプ。
そしていつも、な〜んか奥歯にモノがはさまったような物言いをする。
私の周りにはいないタイプなので、逢ってみたい。
でも、実際逢ったら、私ばっかししゃべって、疲れそうだ。

三つの物語
三つの物語
岩波書店
price : ¥469
release : 1940/06

三篇とも逸品

 「素朴な女」は作者が幼い頃フロベール家に入った女中のジュリーをモデルにしているらしい。派手な筋立てとは無縁だが穏やかな余韻にしんみりさせられる。
 「聖ジュリヤン伝」はルーアンの大聖堂のステンドグラスに描かれていたためフロベールが幼少期から親しんでいた聖人の物語。結末はどこまでも神々しい。
 「ヘロデヤ」は新約聖書中の逸話を元にした静かな惨劇。
 どの作品もギリシャ彫刻のように表面的な華美を排し本質的に優雅である。


偽りのカンバス〈下〉
偽りのカンバス〈下〉
扶桑社
price : ¥591
release : 1996/02

バースへの帰還
バースへの帰還
早川書房
price : ¥2,039
release : 1996/07

英国のバースという街の観光も楽しめるかも

最近はそんなに推理小説を読んでいないので、この作品が推理小説としてどれくらい優れているのかはいまいちわかりません。多分上の下ぐらいかな。
ここでは単純にエンターテインメントとして書評をしようかと思います。

自分の過去の誤認捜査を、無理やり再捜査させらせられているんだけど、捜査活動は大好きという困った中年の元刑事のおじさんのお話です。
バースという町の描写も臨場感があり、映画化してもそこそこ面白い作品になりそうです。

ちょっと英国風のユーモアというか、主人公の無駄口がくどいかなぁー?という感じです。まぁこういう無駄口は英国的というより私立探偵ものの伝統かもしれません。

これは3作目だったのですが、別に1作目とかを読まずに読んでも楽しめました。あま?!?深く考えず読み始めたので・・・

問題はこの本と同時にギャビン・ライアルの「スパイの誇り」を読んでしまったことです。
同じ英国に数年違いで生まれたライアルさんとラヴゼイさん。
ジャンルもまぁ似たような感じ。
でも、ストーリーテイリングの差は歴然でした。
結果、「スパイの誇り」はシリーズ全巻を間を置かずに読むことになりました。

地獄じゃどいつもタバコを喫う
地獄じゃどいつもタバコを喫う
角川書店
price : ¥860
release : 2003/05

それでもワシはタバコを喫う

タバコの値上げに頭を痛めていた2003年の晩春、新刊の新聞広告を見てイカすタイトルに惹かれ「面白いはずだ」と直感して即買いした。

痛みに弱い人には決してお薦めしない。心身ともに痛いのだ、これ(ワシはそのテが大好物なんだけどね)。
殺しの手口の描写が巧くて次々と頭の中に絵面が浮かぶ。こんな殺され方したくない! と誰もが思うに違いない。
登場人物中で愛を信じていないのが全て女というあたりもニヤリとさせられた(愛を信じなくなった所以がややステレオタイプではあるが…)。
しかし、どんづまりの人間の生きざまをどこまでも残酷に描きつつも、主人公には感情移入ができない。そして、その突き離し方も心地よい。
『The 泣き笑い』とでもいった趣きがある。
この著者、元スタンダップコメディアンだそうだ……激しく納得(優れたコメディアンって、往々にして冷徹だったりするよね)。
本作が『まぐれ傑作』か否かを確かめるためにも、新刊が待ち遠しい作家の1人である。

余談ではあるが、ロマンティストでいながら暴力の怖さを表現できて、舞台はL.A.といえば…これはもう、ぜひともラジカセ番長タランティーノに映画化してもらいたい。

そして2003年の初夏、増税に備えてワシはタバコ5カートンをまとめ買いした。

さゆり〈上〉
さゆり〈上〉
文藝春秋
price : ¥1,600
release : 1999/11

【商品詳細】

「ゲイシャ」…アーサー・ゴールデンの処女作によると、この言葉が意味するのは日本を知らない西洋人がうかつにもイメージする「売春婦」ではなく、「職人」または「芸術家」であるという。ゴールデンは、芸者の一生をフィクションの形で再現するために厳しくも長い努力を重ねた。その長さ厳しさは、唄に楽器に踊り、洒脱(しゃだつ)な会話、美しいライバル芸者たちとの奸知(悪知恵)に長けたやりとり、富裕なパトロンたちへの巧みな誘惑といった技術を会得するために芸者が重ねる試練に、肩を並べこそすれひけはとらないものだった。著者はハーバード大学とコロンビア大学に学び、日本美術と日本史を専攻、英語学で修士号を取得、その後東京で、著名な実業家が芸者に生ませた私生児という男性と出会う。この出会いがきっかけで、ゴールデンは、主に財力に富む著名人を魅了し続けてきた芸者ミネコ・イワサキを取材し、芸者文化の微に入り細にわたる実情調査に10年間もの歳月を費やすことになったわけだ。 集大成であるこの小説は、チャールズ・ディケンズの、社会を俯瞰(ふかん)する広大なキャンパス(そして偶然が呼んだ愛…)のダイナミズムと、ジェーン・オースティンの、男女の秘めごとに絡む巧妙な策略の気配を仔細(しさい)にうつす筆致の両方を併せもつ数少ない作品となった。読者は芸者の一生を丸ごと体験することになる。…1920年、漁村での孤児として育った少女時代から、10代の前例のない高額な水揚げという栄光、そして押しも押されぬ権力者であったパトロンに先立たれた後の、老境における追憶へ…と。読み進めば芸者というものが、西洋でいう売春婦というよりも「トロフィー・ワイフ」に近いことがわかってくる。また、オースティンが描いたように、完全に娼婦に身を堕とし、そして早くに命を絶つことが、抑圧された不可解な求愛システムに対応するための女たちの選択だったことも見えてくる。その飾らない優雅な散文体で、ゴールデンは我々を芸者のいる茶屋へといざなう。たった一言の警句や、着物からあらわになった(あるいは微かにのぞく)肌や、クモのように残忍な芸者からたてられたうわさによって、芸者としての将来が輝きもし、崖っぷちから落とされもするような社会構造のなかで、彼女がたおやかにしたたかに自らの人生のために戦うさまの一部始終を、同じ部屋に腰掛けて見聞きすることになる。 ゴールデンのプロットは美しく紡がれているものの、欠点も隠せない。真実であるはずのロマンスの舞台は立体感に乏しく、ヒロインがその一生を賭けたはずの愛も象徴的で、本質がえぐられているとは言いがたいのである。また、彼女の敵役の芸者はよく描かれているものの、彼女の動機のない悪意の理由(すなわち、芸者なら誰もがおかれている苦境)もさらに深く描かれていれば、もっとしっとりと浮き彫りできたことだろう。しかしながらゴールデンは、フィクションの3冠を獲得することに成功している。鮮やかな過去の舞台において、リアルな生身の女性主人公を創出し、真実の東洋的メタファーのなかで自らの思いを表現することにより、日本文化のある一面を見事に捉えるという偉業をまんまとやってのけている。

あしながおじさん芸者版

とてもアメリカ人男性が書いたものとは思えないです。
非常によく調査されている上,素晴らしい筆致。
サユリの故郷であるヨロイドの貧しく灰色がかった風景や
祇園のきらびやかな情景が
違和感なく頭の中に浮かび上がります。
サユリの人生についてもとても細かく描かれており,
最後まで飽きることがありませんでした。
というわけで,★5つです。
ただ,物足りなさもありました。
サユリを含めて,人の気持ちの描写がややきめ細かさに欠けるし,
サユリの性格が日本人女性にしては,ちょっとドラスティックな感じがしました。
ノブから愛情を注がれながらも徹底的に避けようとするのは,
要するに,その醜い容貌に生理的嫌悪を覚えているのでしょうか?
ノブを避けるため,時に手段を選ばない態度には,少し引いてしまいます。
どうしても会長が好き,というのも,はるか昔のハンカチのエピソードにばかり寄りかかっていて,その後の会長の印象が薄く,
なぜそんなにサユリが愛情を持続しているのか伝わりにくいです。
読み終わってみれば,足長おじさん?とも思うのですが,
この点についても,えええ?そうだったの? という唐突さを感じました。
でも,この作品は,
そのような欠点(というほどでもありませんが)を凌駕するほど
外面描写が精緻であり,波瀾万丈な女性の一代記がお好きな方は絶対楽しめると思います。




バードケージ
バードケージ
NHK出版
price : ¥1,680
release : 2004/06/26

お金と幸福について考える機会を与えてくれる

 ある文章教室に参加したとき、「1000万円を1週間で使えと言われたら、どうする」という課題があり、とっさに答えられませんでした。47歳という年齢のせいでしょうか。自分の手の届かない金額のお金の使いかたを考える、空想する、ということは若者の特権なのかもしれませんね。

 本書にも、1億円を3ヵ月で使いきる、というゲームをはじめたものの、使いあぐねている浪人生の主人公が登場します。1000万円でも高額ですが、1億円はその10倍。平均すると1日に100万円を「楽しんで使う」ために何に使ったらいいのか、という課題を通して、幸福とは何か、真の生きがいとは何かを考えさせられる主題です。
 最初はワクワクした高価な買い物も、だんだん楽しくなくなってくることを理解した主人公が見つけたお金の使いかたは何か?……ネタばらしになるので、ここから先は読んでのお楽しみにしておきましょう。

 この作品は『新基礎英語2』『新基礎英語3』に連載されたものです。
 最初の対象読者が中学生ですが、青年にも私のような中年にも訴える内容です。ただ、一ヶ所だけ「中学生向け」を感じる内容がありました。それは、彼女と一緒に出かけた海外旅行先のできごと。ホテルで同じ部屋に泊まりながら、何も起こらないのです。おとな向けの小説だと、ここはふたりが自然に結びつく場面です。中学生には刺激が強いと自主規制したのでしょうか。
 でも、ふたりの間にセックスがあってもなくても、この小説の主題に影響はありません。お金と幸福、という古くからの問いかけについて考える機会を与えてくれる小説でした。

泰緬鉄道 癒される時を求めて
泰緬鉄道 癒される時を求めて
角川書店
price : ¥2,039
release : 1996/08

ドストエフスキーの言葉
ドストエフスキーの言葉
彌生書房
price : ¥1,365
release : 1997/05

ラッキーをつかまえろ―危険を愛する男たち〈9〉 (シルエット・ラブストリーム)
ラッキーをつかまえろ―危険を愛する男たち〈9〉 (シルエット・ラブストリーム)
ハーレクイン
price : ¥704
release : 2001/06

シドが最高です!

彼女がもろ私好みなんです。仕事ができてタフで誠実で、でも女性としての自分に自信がなくて。人前では意地でも泣きそうにない彼女が、理不尽に傷つけられた人達を想ってバスルームでひとり大泣きする、そんな優しい女性なんです。ラッキーには…まったく期待してなかった。いくら100点満点中500点でも以前の言動がひどすぎて。でもぜんぜん違った。むしろ素直で正直にみえた。これもシドと一緒だからかな。電話でのプロポーズの言葉もらしくて良いです。
ダズル〈上〉
ダズル〈上〉
新潮社
price : ¥571
release : 1992/11

バイナル・カスライン 上
バイナル・カスライン 上
河出書房新社
price : ¥3,360
release : 2006/10/07

失われた地平線
失われた地平線
新潮社
price : ¥571
release : 1959/12

手に入れたい「失われた書物」

永遠の理想郷のお話。冒険談でもあります。噂では知っていたし、映画化されたモノクロ映画も観たのですが、なかなか入手できませんでした。長年探し続けて、近所の古本屋でこの本をついに手にしたときには、狂喜しました。期待通りの傑作・異色作でした。絶版になって久しいですね。是非読んで欲しいと思います。 今思い出したけど、「裏窓」という映画で、グレース・ケリーが、この本のペーパーバック判を読んでいるシーンがあったと思います。間違えてたらごめんなさい。

タイム・トラベラー―時間SFコレクション
タイム・トラベラー―時間SFコレクション
新潮社
price : ¥588
release : 1987/01

最高の時間SFアンソロジー

おすすめである。
SFの短篇集やアンソロジーを何十冊と読んだなかで、一位か二位ぐらいによくできたアンソロジーである。
スチャリトクルの「しばし天の祝福を遠ざかり」は時間ループものの最高傑作である。
シルヴァーバーグの「時間層の中の針」はある程度は変更可能な時間という解釈の良作である。
ハーネスの「時間の罠」は時間の怪物系の迫力ある物語である。
この本でしか読めない傑作が三つもあるのである。

だが、時間SFのベストをうたうなら、ハインラインの「時の門」やゼラズニーの「聖なる狂気」を入れて欲しかったである。
入ってないのが残念である。
どっちにしろ、この本はなかなか良い本である。

星新一ショートショートセレクション〈9〉さもないと
星新一ショートショートセレクション〈9〉さもないと
理論社
price : ¥1,260
release : 2003/01

短い話!

短い話がたくさんあります。
どれもこれも面白いのばかり。
面白いので買ってみてはどうでしょうか。
偽りのカンバス〈上〉
偽りのカンバス〈上〉
扶桑社
price : ¥612
release : 1996/02

ぼくとネモ号と彼女たち
ぼくとネモ号と彼女たち
河出書房新社
price : ¥473
release : 2006/01/06

角田作品のキーワードは「旅」

この作品は1997年に刊行された単行本「カップリング・ノー・チューニング」を、文庫化にあわせ改題したものである。
文庫の帯には「青春ロード・ノベル」と書かれてあるが、ここに描かれる青春は一般的な群像ではないと思う。所在無い主人公と倦怠を帯びて描かれる旅は、著者独特の作風である。
誰もが抱く惰性に流される日々への少しの抵抗心を、著者らしい視点と彼女の作品の特徴である「旅」を通して描かれた作品である。
ネイティブ・サンタバーバラ
ネイティブ・サンタバーバラ
文芸社
price : ¥1,365
release : 2000/01

夏の夜のギリシャ神話
夏の夜のギリシャ神話
文研出版
price : ¥1,365
release : 2002/10