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著者別
日本人とアイデンティティ―心理療法家の着想
日本人とアイデンティティ―心理療法家の着想
講談社
price : ¥1,050
release : 1995/01

読後、サブタイトルの『心理療法家の着想』の方が、タイトルにふさわしく感じた

河合氏の著作は、大きく分けると論文物と、語り言葉物と、対話物に分けられるかと思う。本書は語り言葉物でとっつき易い。また話題が豊富でテーマも縦横無尽に取り上げられている。最後の「夢多き人生を生きる」では心が和む。
マリアの気紛れ書き
マリアの気紛れ書き
筑摩書房
price : ¥816
release : 1995/12

面白い

森茉莉の文章を読んでいると、元気が出る。
父譲りの男性的な骨格に、うねうねと女性的な文章。
森茉莉の性格がよく出ており、微細な観察眼でも屈託がない。
屈託だらけと言えばそうかも知れないが、そんなこともないだろう。

三島への手紙も掲載されており、非常に面白く読める。

2061年宇宙の旅
2061年宇宙の旅
早川書房
price : ¥714
release : 1995/03

ハレー彗星とエウロパの表面はどうなっているかの仮説

宇宙の旅シリーズの第3弾です。本来ならシリーズ第3弾は『20,001年宇宙の旅』というタイトルの完結編になる予定でした。ところが、執筆準備をしていた1986年にハレー彗星の地球への接近というイベントがあった為に、クラークはハレー彗星についての作品を書きたいと思い立ち、完結編の前にこの作品が登場したとのことです。2061年というのはハレー彗星が次に地球に接近する年です。この為、クラークの興味はハレー彗星の表面がどのようになっているかの仮説を展開することに向いており、シリーズ本来の本筋からはちょっと外れている感じもします。

それでも、中盤からは木星の衛星エウロパを探査していた宇宙船が難破してしまい、ハレー彗星の探査をしていた別の宇宙船が急遽救出に向かうことになるというやや強引なストーリー展開によって、前作で謎とされたエウロパへと舞台が移ります。しかし、完璧に謎解きはされず、第4弾『3001年終局への旅』へと興味をつなぐエンディングとなっています。
其の逝く処を知らず (集英社文庫)
其の逝く処を知らず (集英社文庫)
集英社
price : ¥940
release : 2004/07

日本人として恥ずかしい

P514の最終行。
この無骨なロマンス、読んでみてください。
ただただ、呆れました。

里見なる人物。
如何観ても、人類史上空前の犯罪者。
麻薬王の何処が、無骨なロマンスなのか。
人類としての良識を疑う。
日本人として恥ずかしい。
大人の友情
大人の友情
朝日新聞社
price : ¥1,260
release : 2005/02

ちょっと一風代わった河合センセ

河合センセの本では、多くのクライアントが抱える悩みに応えてきた経験から見えてくる社会の病理みたいなものに対して、河合センセの見方・視点から対処の方法を述べ、あとは読者に自分なりに考えてもらうという構成のものが多いと思います。

今回はテーマが「友情」で、特に社会の病理的な部分に対して一言!といった趣はなく、私にとってはいつもと違う展開だなぁ、といった感じがしました。と言っても軽妙な河合センセの文章はいつもどおりで、とても読みやすくなっています。
「男女間の友情」や「友情と死」等等いろんな視点から「友情」を語っていること、河合センセの経験から語られていることも読みやすく理解しやすい要因だと思います。

そういう構成なので、この中ではいろいろな友情が語られます。命がけの「友情」が語られたりもしています。一方で「友達が先に逝くとつらいが、その友人が向こうで待っていてくれると思うと、死ぬのは怖いけど暖かい気持ちになる」ということが書かれていたりします。
日本古来からあるご先祖様であるとか、誰かが自分を見ているという感覚も大切だと思いましたが、死に対しても友情、友達といったものを通して、そういう風に考えられるって良いなぁ、と素直に思いました。

いつもの河合センセどおり、読んだ後は自分で考え、そしてどのように考えていくか、ということですね。
すごくほのぼのとした気持ちにさせてくれる一冊だと思います。

少年カフカ
少年カフカ
新潮社
price : ¥998
release : 2003/06/11

ひまつぶしにはちょっと。。

ひまつぶしにと思って読むと、結構内容が深くて考えさせられる。

むしろ、何か悩み事があってでも適当に相談する人がいないときに読んでみると、
救われる感があるかも。

でも、来たメールすべて読んで選んでいるのかな。
それって相当すごい。
回り灯篭
回り灯篭
筑摩書房
price : ¥1,470
release : 2006/12

研ぎ澄まされた奥ゆかしい文体に作家の人柄を懐かしむ

吉村昭の最後のエッセイ集。多くが過去の作品に関係する話で、取材秘話であったり後日譚だったりするが、どれも気品があって潔い。「高潔」と一言で表すのがもったいないのだ。彼の愛読者はどの話も一度すれちがったような懐かしさと軽い意外性、あるいは滲み出るユーモアを感じるだろう。名人の話芸を聴く楽しみにもどこか似ていて、「ガングリオン」などつい思い出し笑いをする。甘露を味わいながら読み切るのを引き延ばしたくなる気持ちだ。最後の城山三郎との対談は同年齢でもあり、お互い枯淡の味が出ていて清談とも言うべき大人の会話を久々に楽しんだ。
夏の朝の成層圏
夏の朝の成層圏
中央公論社
price : ¥620
release : 1990/05

彼岸への漂流

池沢夏樹のデビュー作。マグロ漁船から海に転落した主人公が孤島に漂着し、文明と切り離された自然の中で、「生」そのものが手段から目的へと転化されてゆくことに僥倖を見出す。細密な描写と叙情的な語り口によって読み手を豊穣な世界へと誘う。都市文明の宿痾を背負った大物俳優マイロン、身体の神秘に違和感を抱くミランダ、自然の代弁者である精霊たち。主人公「ヤシ」は彼らを鏡とし、自らの文明人としての意識を相対化してゆく。南国の風物描写に加えて、「ヤシ」の心の揺らぎがしなやかに活写されており見事だ。
日本人の内と外―対談
日本人の内と外―対談
中央公論新社
price : ¥560
release : 2001/04

「巨人」同士の歓談を楽しもう

 元阪大教授でありかつ劇作家である山崎正和は、「自分が安心して
対談できる相手は丸谷才一と司馬遼太郎だけ」と語っているが、丸谷とは
百回を超える対談を誇っている一方で、司馬との対談はそれほど多くはなく、
その数少ない一つが本書である。丸谷との対談ではあらゆるジャンルに
関する縦横無尽の知識が飛び交うのに対し、ここで語られているのは
比較的抽象的な事柄である。だが、その内容の一つ一つが(丸谷との
対談にも増して)日本文化の深層部分を的確についており、
博覧強記の関西人(関係ないかもしれないが)同士楽しんでいるのが
よくわかる点で興味深いと同時に恐るべき本である。
優駿〈下〉
優駿〈下〉
新潮社
price : ¥580
release : 1989/11

機微に飛んだ作家だと思った

この作品は馬を忠実に描くのではなくその間にあるサラブレッドの歴史なんかが途中に書いてあってとてもタメになる作品だなと思いました。
著者は決して競馬好きではなかったようなので余計に変に肩のこった文章だったと思います。
わざわざ社台ファームの牧場主から色々緻密な取材を重ねたと言う事でレースシーンなんかは結構迫力ある描写だなと思いました。
最後の日本ダービーに置けるシーンはなかなか面白かったのでこの評価です。
華和家の四姉妹 3 (3)
華和家の四姉妹 3 (3)
講談社
price : ¥540
release : 2007/07/23

最後のひと葉
最後のひと葉
岩波書店
price : ¥672
release : 2001/06

短いが、深い

「オー・ヘンリーの話は短編で読みやすく、中身が濃い」と、父が言ったとおりであった。その傑作中の傑作を選りすぐったことだけあって面白い。一つ一つの作品に人生の深さが感じられる。ぼくにとってオー・ヘンリー短編集はこれが一冊目だが、その一冊目にこの本を選んで良かったと思う。図書館などで読み終わった人でもついつい手元に置きたくなる一冊。一気にオー・ヘンリーの名作を一冊で知りたい人、「短編小説の王」を知りたい人にはお薦め。
散歩のとき何か食べたくなって
散歩のとき何か食べたくなって
新潮社
price : ¥540
release : 1981/10

似たような話

 1977年に平凡社から出た単行本の文庫化。
 『食卓の情景』に次ぐ、著者の二冊目の食べ物エッセイ。『食卓の情景』は未読なのだが、三冊目の『むかしの味』と重複する内容が多いのが気になった。おそらく、三分の一はかぶっているのではないか。
 たぶん、気に入った店に通いつめるタイプの人物なのだろう。そして、店の主人やウェイターと関係を築いていくのが好きなのだろう。ただし、その関係はベタベタせず、必要以上に親密なものにはならない。そして、その距離感の中で描かれる人間が魅力的なのである。
 どんな文章であれ、人間を描くことの上手い作家なのだと感じた。
精進百撰
精進百撰
岩波書店
price : ¥945
release : 2001/01

養生のための料理

著者は70歳のときに心筋梗塞を患い、39日間の集中治療室での治療と約3年間の病院生活を送って生還できたが、3分の2の心臓は壊死してしまった。退院後、胃の中に直径5センチの悪性腫瘍が見つかり、内視鏡での切除手術も2回行なった。
そういう著者が残った心臓を大事に、栄養もバランスの良い食事を摂って生きようと、田園生活を長野県佐久郡北御牧村で始めることになった。北御牧での生活は斜面を上り下りせねばならぬので適度な運動となり、時にやってくる異国の娘らと中学時代に覚えた英語を使って会話してボケ防止の頭の体操をし、畑仕事もし、竹紙を一緒に漉いて、草の煮汁で絵を描いて年に1、2度展覧会をやって楽しむ生活が続けられた。著者はこうして85歳まで生きた。

北御牧村に生活を移し、畑をつくって野菜を育てながら、とれた野菜で精進料理を自ら作って食してきたわけだが、その料理内容をまとめたのがこの本である。元々著者は若いとき寺で小僧として修行し、禅宗の調理を上の人から教わっていた。作り方は大まかで、あくまで素材の味を大事にする。写真がきれいで食欲をそそる。
心筋梗塞の再発を防ぐにはコレステロールと中性脂肪を低く抑え、また血圧を低くコントロールしなければならない。これらの料理の作り方には塩分制限についてはあまり強調されていないが、食事の量そのものが少なければ、つまり粗食であれば、あまり気にしなくていいということだろう。ダイエットにも効果的。
日本共産党の研究 (2)
日本共産党の研究 (2)
講談社
price : ¥620
release : 1983/01

『立花氏、骨太で本気』

(「第一巻」からの続き)
 本書の考察主題は、「戦前における活動の検証と理解を基に、執筆当時(1976-77)までを積み重ね、概観すること」である。しかし、共産党の特徴の多くが、「戦前に依存している」という著者の判断から、構成の主軸は、戦前の歴史となっている。そしてその中で、適宜解説を行い、執筆当時における関連や伏在を示す、という方針である。だから、一直線的な論証というよりはむしろ、樹状図的と言った方が良いかもしれない。因みに、対象とした年代は、ロシア革命(1917)辺りから、1937年位まで――主軸としてだが――である。地域情勢も、この活動の場合重要である。勿論中心は日本であるが、その次は旧ソビエト――本部、もしくはヘッド・クォーターがあったのだから――である。中国については、詳しくは触れていない。
 本書は、過去においてラディカルな活動を行った集団の歴史を知る、ということに加えて、さまざまな知見を与えてくれる。これらが本書の美点である。
 二つほど示すと、現代日本とも符合するインテリ層の「アキレス腱」の共通性や、一つの動機に、集め・集まる人々に宿る「日本的ユニークさ」などである。小生は組織集団に関心があって本書を手にしたが、得るところ多かった。
 このように、多層的受容を可能にするのは、双方の側からの綿密な調査(参考文献・インタビューはおよそ1400点を超える!)と、第一巻で示した方法の故だろう。
 これらがあいまって、非常に刺激的、かつ緻密で「説得的」な本書が生まれたと思われる。
大いに推薦
(因みに小生は、“カール”より“闘莉王”、“レーニン”より“浪人”モノが好みです)
芥川龍之介全集〈4〉
芥川龍之介全集〈4〉
筑摩書房
price : ¥840
release : 1987/01

短編「藪の中」の名が成語扱い

『広辞苑』が次のように成語扱いしている。

【藪の中】(芥川龍之介の同名の小説から)関係者の言うことが食い違っていて、真相が分からないこと。

 私見によれば、これは芥川の意表を突いた小説構成で、

 (1)創作ノート開陳法
 (2)裁判証言羅列法

とでも言うべきものをうまく利用していると思う。すなわち、

 (1)三通りの筋書きをそのまま提示
 (2)七人の食い違う証言を並べただけで、裁判をしないで、読者任せ。

 このような投げやり手法で成功して名作の地歩を確立している(雅)
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (11)
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (11)
講談社
price : ¥550
release : 2001/08

天下無双を知る。

遂に武蔵は石舟斎と対峙した。病床に伏せる石舟斎に怯える武蔵。それはまさに胤栄に出会った時と同じ感覚だった。
胤栄が海なら、石舟斎は山。彼らの世界は無限。それに対し、父・無二斎は天下無双を名乗るために海や山を彷徨う世界の狭い人であったと知る。万人を恐れてただ闇雲に自分の力を誇示する人。自分の子供にさえ恐れを感じるちっぽけな人。
「天下無双とは?」
と武蔵に問われ、石舟斎は答える。
「天下無双とはただの言葉」
胤栄は胤栄、石舟斎は石舟斎、武蔵は武蔵。
武蔵は城太郎とおつうを柳生に託し、ただ一人、修行の旅に出る。しかし城太郎とおつうは柳生家を後にし、武蔵の後を追う。
毒猿―新宿鮫〈2〉
毒猿―新宿鮫〈2〉
光文社
price : ¥700
release : 1998/08

「鮫」を脇においても

違和感を感じなかった。
台湾の刑事・郭、ホステス・奈美、殺し屋・毒猿と、サブキャラたちが丁寧に描かれているからだろう。鮫島を脇においても違和感を感じず、逆にとても良かった。
前作では新宿を揺るがす警官射殺事件、次はなんと海の向こうからやってきた殺し屋の話。それを追う郭、毒猿を想う奈美。二度言うが人物描写がとてもうまいと思う。それに国際的な話を交えた緊迫感のある展開。前作を凌ぐ(前作を「大傑作」とおいてだが)面白さだ。「新宿鮫」の本当の面白さというのは本作から始まっていると思う(前作も充分いいが)。

読み終わって思うだろう。この作品は傑作だ!(岡本太郎風)

しかし、「アクションがすごい」と聞いたが、それほどでもないような・・・、まあその点で☆-1。
かの子撩乱
かの子撩乱
講談社
price : ¥940
release : 2000/00

連日夢に・・

この本を読んでいる間、連日夢にかのこが出てきました。強烈な個性の岡本かのこの半生をじっくりと読みました。ひとつの事を極めるとは、異常と隣合わせと思いました。普通からは何も生まれない・・繊細な神経と自己愛、非常識の中に生きるかのこの中の常識にも驚くばかり。そして並外れた才能がかのこにはあり又息子太郎も・・愛を語るには、あまりにも滑稽な外見のかのこ。しかし、「人間は外見が9割」などとは言わせない・・魅力の持ち主なのか?岡本かのこの本も魅惑的です。瀬戸内さんの本は、いつも読み応え満点です。
京都発見〈4〉丹後の鬼・カモの神
京都発見〈4〉丹後の鬼・カモの神
新潮社
price : ¥2,625
release : 2002/08

【商品詳細】

著者の新たなライフワークとも言うべきシリーズ第4弾。京都の古跡をめぐり、伝承や歴史を克明かつ大胆に再検証するスタイルは今回も健在である。本巻では、今に残る伝承をあまた蔵する丹後半島、京の社寺の中でもひときわ由緒ある下鴨・上加茂神社、「やすらい祭」「布団御輿」などの奇祭を訪ねる。当然といえばそれまでだが、取りあげる土地や社寺には自ら足を運び、宮司や研究者への取材も欠かさない。著者自身、京都在住とはいえ、執筆時すでに古希を過ぎていることを思えば、その活力は驚嘆に値しよう。 あえて京都を離れた丹後半島の旅で、著者は「山椒大夫」をはじめとするさまざまな伝承の背景に迫る。山椒大夫といえば、誰しも森鴎外の小説を思い浮かべるが、その原点たる説教節に立ち戻り、近代文学がそぎ落とした豊かな世界を再現してみせるのだ。ほかにも、大江山の鬼は酒呑童子だけでなく、全部で3種類が存在したこと、浦嶋太郎伝説が変遷してゆく過程など、誰もが知っている物語のなりたちが解き明かされてゆくさまは、きわめてスリリングである。また、伊勢神宮と並んで皇室の尊崇をあつめた加茂の神についても数十ページを費やして叙述しており、京都を考えるうえでの新しい視点を得ることができるだろう。写真や注釈も充実しているので、ガイドブックとしても楽しめる文化論という、贅沢なつくりになっている。 だが、それだけでは本書の魅力について述べきったことにはならない。該博な知識や豊富な資料といった学問的裏づけに満ちた旅であるのはもちろんだが、そこは劇作にも手を染める著者のこと、風雨をおして酒呑童子が住んでいたという洞穴に向かったり、上加茂神社の奉納相撲で斎王と力士の恋を想像してみたりと、ふと奔放に筆のそれる場面が、またおもしろい。こうした想像力こそが、余人の思い及ばぬ日本学を築き上げさせたのだろう。著者はこのシリーズにきわめて意欲的であるようだ。今後も古都を極める旅が永く続くよう、祈らずにはいられない。(大滝浩太郎)

残虐記
残虐記
新潮社
price : ¥1,470
release : 2004/02/27

大地 (2)
大地 (2)
新潮社
price : ¥580
release : 1954/03

10月はたそがれの国
10月はたそがれの国
東京創元社
price : ¥987
release : 1965/12

街道をゆく〈30〉愛蘭土紀行 1
街道をゆく〈30〉愛蘭土紀行 1
朝日新聞
price : ¥557
release : 1993/06

小林秀雄全作品〈25〉人間の建設
小林秀雄全作品〈25〉人間の建設
新潮社
price : ¥1,785
release : 2004/10

ジゴロ
ジゴロ
集英社
price : ¥460
release : 2006/05

運命の足音
運命の足音
幻冬舎
price : ¥500
release : 2003/07

鬼平犯科帳〈18〉
鬼平犯科帳〈18〉
文藝春秋
price : ¥500
release : 2000/11

甲賀忍法帖
甲賀忍法帖
角川書店
price : ¥620
release : 2002/12

ちびまる子ちゃん (15)
ちびまる子ちゃん (15)
集英社
price : ¥410
release : 2003/02/14

不思議の国のアリス
不思議の国のアリス
新潮社
price : ¥500
release : 1994/03

すてきな朗読

Alice's Adventures in Wonderland (Classic Literature With Classical Music. Junior Classics),出版社: Naxos Audio Books; Abridged版 (1997/07),ASIN: 9626341378 は,CD 2枚組み合計で,2時間22分の朗読CDです。朗読は,女優の Fiona Shaw。効果音が少し入っていますが,ほとんど朗読のみです。
録音の音が小さめですので,再生するときは大きくする必要があります。
CDに小冊子が入っていますが,目次と挿絵,カタログ程度の内容です。

〓東綺譚
〓東綺譚
新潮社
price : ¥340
release : 1951/12

良かったです

最近“ぼく東”エリアに縁ができて読みました。
永井荷風を読むのは初めてでしたが、情緒にあふれ、ステキな作品だと思いました。
東京の下町好きの方にはぜひ読んでほしいです。
一日一書
一日一書
二玄社
price : ¥1,890
release : 2002/05

書を感じながらすごす

365日、それぞれ違った書をみながら一年をすごす。人間の手から生まれた文字はその人の感情や性格を映し出すものなのかもしれません。パソコンが普及したことや活字ばなれが進み忘れがちな書くという行為を改めて再確認することができました。
おかしな二人―岡嶋二人盛衰記
おかしな二人―岡嶋二人盛衰記
講談社
price : ¥940
release : 1996/12

恋愛小説のような「二人」の物語

岡嶋二人・・・「おかしな二人」をもじってできた、井上夢人と徳山諄一のコンビ名(ペンネーム)。誕生から消滅まで、13年間の岡嶋二人物語。ノンフィクション的エッセイ。

文学青年でもなんでもない二人が、ただ一攫千金を夢見て、江戸川乱歩賞を狙う。
ずぶの素人が、全くのゼロから「読める小説」「おもしろい小説」をモノにしていくまでの過程は、小説作法としても読め、すごく興味深い。

また、二人が互いを補完しあい、刺激しあい、助けあうさまは、作品だけでなく二人の絆のようなものも、同時に作り上げていくように思えて、愛らしく微笑ましい。読みながらにこにこしてしまう。

だからよけいに、消滅にいたる「衰」の部は、悲しくやるせない。解説に大沢在昌氏も書いてあるが、本当に恋愛小説のようだと思った。

二人の人間が出会い、結びつき、別れる。そこに恋愛感情はなくても、深いところで関わり合いつながった関係は、恋愛に似た(もしかしたらそれ以上の)強い感情を生むものになるんだろう。

ラストの別れのシーンは、ちょっと放心してしまうくらい、せつない感動があった。
カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫)
カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫)
早川書房
price : ¥945
release : 2002/11

限りなく繊細

最初に買ったのはもう20年以上前(18歳の頃)の単行本でした。野坂昭如が翻訳しているのを見て、「きっとへんてこりんな小説なんだろう」と期待しました。読んでみるともちろんへんてこりんだったのですが、洒脱な言葉遣いとむき出しの感受性に満ちていて、素敵な小説だなぁと思いました。特に、マリリン・モンローを描いた「美しい子供」は秀逸で、今思えばカポーティだからこそ、肉感から切り離されたマリリンを(つまり男でも女でもない視線で)あんなにも可愛らしく書けたのだろうと感じます。
明治百話 (上)
明治百話 (上)
岩波書店
price : ¥693
release : 1996/07

百年前のお隣さんは・・・

昭和初期に生きたライター・篠田鉱造が、当時辛うじて存命していた明治時代の担い手達に取材を行い、徹底して実話主義を貫いて生まれたのが本書。ここには歴史の表舞台に出てくる事のない、様々な明治時代の風景が活き活きと語られている。
まずは、最後の公儀首斬役人の述懐。なにしろ、万物の霊長の首を斬るわけですから・・・と秘伝の呼吸を説明し、高橋お伝を斬った話と、本人の語り口調そのままに物語は続く。
その他に、当時初めて出来た区役所に勤務した公務員の回顧談や、浅草周辺の花屋敷、水茶屋での粋人の様、薬袋「金袋円」の中にまれに入れられている金の観音像ほしさに皆が買い求めた話、年老いた吉原芸者が語る、当時は皆自毛結い裸足でお座敷を勤めたという粋な思い出話、銭の雨を降ァすお大尽の話、日清戦争時に名物の石鹸を作って大儲けした男の述懐などが多数収録されている。
各章4、5ページ完結なので、通勤時間や寝る前の5、10分を潰したい時等にちょうど良い。
もちろん、史実としての価値もあるのでお好きな人にはこたえられないと思う。
二重人格
二重人格
岩波書店
price : ¥693
release : 1981/01

自身との葛藤

ある日、主人公ゴリャートキンと外見は瓜二つだが周りからの評価が全く異なる第二のゴリャートキンが登場することにより、主人公が狂い行く顛末を描いた作品である。
しかしゴリャートキンの狂気は新ゴリャートキン登場を契機に始まるのではない。ゴリャートキンは虚栄心が強いが小心であり、自らの挙動や判断にいちいちもっともらしい理由を作り上げては自分を慰めるのであるが、実際にもたらされる自身の挙動や判断の結果はいつも彼の本当に望むところとは異なる。周りに対して以上に自分に対して言い訳がましく、且つそのことを全く内省できないでいる、いわば元々からして分裂的な人物である。
そんなゴリャートキンに対し、新ゴリャートキンは一切の躊躇なく行動的で、次々とゴリャートキンの望む栄達を手にしていく。
極端に対極的な人物を持ち出すことで炙り出されるゴリャートキンの本質は、小心な自分を受け入れることすらできない臆病さにあると言えるだろう。
彼に特徴的なのは自分の弱い側面には気づきながらもそれに対して恐怖に怯えるのみで、それから目をそらし続ける姿である。気づきながらも向かい合うことのできないという臆病さが、結果彼を狂気に駆り立てたのだろうと思われる。
私の遺言
私の遺言
新潮社
price : ¥1,680
release : 2002/10

現代の日本人全てが読むべき本

 佐藤愛子さんは、率直な物言いで知られている作家ですが、嘘で書いていない、真剣に書いているという深い印象を受けざるを得ません。
 日本人がアイヌ民族にどのような仕打ちをしたのか、また、現代日本の様々な問題を予見したかのような深い洞察(日本人全体の波動が落ちている)、霊的なことがらについての、様々な試行錯誤、全てが真実性を感じさせられる内容です。
 是非、非常に無残な犯罪が頻発し、様々な政治の問題が噴出している現代において、日本人一人ひとりが、この本を読んで考えて欲しい本であると思います。
 まず、この本を読んで、日本人一人ひとりが自分の生き方について内省すべききっかけを促してくれる本だと思います。
イタリア紀行 上 (1)
イタリア紀行 上 (1)
岩波書店
price : ¥693
release : 1960/01

goethe

詩聖ゲーテが、ワイマールの政治顧問官、貴族、大臣を捨て、芸術家として人生の再生と新しい自分との出会いのために旅に出た紀行文です。7歳年上の恋人をも捨て、偽名を使い1786年9月41歳で、我もまたアルカディアに、、と足掛け2年のヴェネチア、ローマ、ナポリ、シチリアと巡ります。実は、37歳の時にイタリアに行きルネッサンスの息吹に出会っていたのです。政治家よりも芸術家としてのゲーテが、数々の町の美術、建築、風景に身を置き自分を旅先で考える訳です。1982年83歳で没するまでは殆ど芸術家としての生涯でした。文章自体は、格調が高いですがやはり読み辛いです。
「いき」の構造
「いき」の構造
講談社
price : ¥840
release : 2003/12

つまり「いき」って?

「いき」がどのような構造をもっているか考察した本。
いい本だと思うが、ちょっと分かりにくかった。
注釈がついているにもかかわらず。
もう少し読みやすくならないものか。
理解力がなくてごめんなさい。

早春スケッチブック〈下巻〉 (新風舎文庫)
早春スケッチブック〈下巻〉 (新風舎文庫)
新風舎
price : ¥935
release : 2003/10

今、一番読んで欲しい作品

1983年の1月から3月。岩下志麻、河原崎長一郎、 鶴見辰吾、二階堂千寿、樋口可南子、そして、山崎努という配役でこの『早春スケッチブック』はTVドラマとして放映されました。ある意味、そのメッセージは余りにも強烈過ぎ、全ての人に対して、決して観心地の良い作品では無かったとは思います。その代わり、作品を観た人にとって、これほどの印象を刻み込まれてしまった作品が他にあったでしょうか。今、このシナリオを読み返してみても、その印象は少しも変わっていないように感じました。TVドラマで事実上の主役を務めていた山崎努が、「今まで関わりあった作品の中で今一番観て欲しい作品」と、今回の再版によって加わったあとがきの中で語っています。この言葉、鵜呑みにしてもらってもまるで構わないと思います。
悲しみよこんにちは
悲しみよこんにちは
新潮社
price : ¥460
release : 1955/06

買いです。

盗作問題などで晩節を汚した感もあるサガンのデビュー作です。この作品は小説より先にジーン・セバーグのモノクロ映画を見たせいで、どの場面も読み直すたびに映像がさっと思い浮かびます。映画もいかにもフランス映画といった感じの感傷に覆われていてお勧めです。
笑い
笑い
岩波書店
price : ¥630
release : 1976/01

訳文に難あり(内容で星5つ)

訳文がこなれておらず(ほとんど直訳)、読みながら自分なりに日本語に再構成する必要があるので非常に疲れる。また、笑いを発生させる題材を喜劇から引用しているので、引用喜劇の内容をしらないと非常にしんどい。しかし、それらを克服し、読破すれば笑うという現象を理論的に把握したい人にとっては非常に参考になる。
魔羅節
魔羅節
新潮社
price : ¥420
release : 2004/07

おえりゃせんのぉ?

小学校の登りん棒で性感に目覚めたスケベの女王シマコが、明治時代の岡山を舞台に生と性の営みを綴った情念の物語。読む前の、怨念に満ちた土着性のエロティック小説という印象とは異なり、主に貧窮に抑圧された女性が夢とも幻想ともつかぬ彼方の世界を彷徨う姿を描いている。各短編のタイトルは作者のサービスであろう。

シマコの親友で、やはりスケベの女王シマムラとの対談を多く読んでいるので、もっと哄笑を誘うエロ話かと思ったが、本作はこれはこれで楽しめる。岡山弁をもっと強く出して土着性を更に強調しても良かったと思う。私にとっての最大の収穫は、昔(大昔)のTVドラマ「三匹の侍」で長門勇が「おえりゃせんのぉ?」というセリフで一躍有名になった事を懐かしく思い出した点。

生と性と死、現実と幻想の狭間を微妙なバランスを取って読者を妖しの世界に運ぶ作品。
青空の休暇
青空の休暇
幻冬舎
price : ¥560
release : 2006/08

夫を待つ日々を繰り返す妻の辛さを感じる本

真珠湾攻撃に加わった元日本兵戦闘機パイロットの75歳の老人「白河周作」が主人公。
主人公は、3年前に妻に先だたれ、3人の息子の家を転々として生活している。
戦友仲間に誘われ、50年ぶりに真珠湾を訪れ、真珠湾攻撃で片足を失った元アメリカ兵や、日系アメリカ人と出会い、また、妻の日記を読み、自分の人生の意味を振り返る。
主人公は、日記を読むことによって初めてわかる妻の苦悩と、言葉が足りなかったことで生じたミスコミニュケーションを後悔するのだが、時代背景によって生じている部分もあるし、現代でも十分起こりうることもある。
仕事が忙しく、毎晩遅くなり、妻にいつも待たせている方は、本書にて、待つことの辛さを読み取って欲しい。
氷点 (続 上)
氷点 (続 上)
角川書店
price : ¥483
release : 1982/03

真実の愛

殺人犯の娘と間違われ、養母に冷たく遇され、自殺にまで
追い込まれた陽子ですが、彼女は他の登場人物たちと比べると
それほど不幸ではないと思います。彼女の場合は生まれが
特別だったわけで、そのために苦痛を味わっても、それは
彼女自身のせいではなかったからです。生まれ持っての罪と
いうものにこの続編で彼女は苦しんでいますが、それは人間なら
誰しもが持っているものです。人に好かれる容姿や真っ直ぐな
心を持って生まれたことを、彼女は感謝すべきなのでは、と逆に
思ってしまうほどなのですが。それに若い頃の苦労は彼女の
その後の人生の糧にもなったのではないでしょうか。
啓造や夏枝、恵子などのほうに私はより深い同情を感じてしまいます。
それはおそらく、私自身も彼らのように過ちを犯したり、その
罪の深さに苦しんできたりしたからでしょう。真の「愛」を
持った人間になるために、つまづき、苦しみ、模索しながら
歩む道、そのものが人生なのだと思います。
光ってみえるもの、あれは
光ってみえるもの、あれは
中央公論新社
price : ¥620
release : 2006/10

花田くんに要注意

著者の小説としてはフツーな感じでぐんぐん読み進めますが、主人公の友人の花田くんに注目すると、それもかなり怪しくなります。全体的に会話は村上春樹のように軽やかに進むので、あの独特の間が好きな人にはかなりいいでしょう。主人公はなぜかほれられる、というのも共通しています。

花田くんのあやしさは読めばわかりますが、主人公と似たもの同士でありながら行動派な彼には好感がもてます。しかも内省的。主人公の彼女が「ただの少女」なのに比べて、この友人には妙に存在感があります。特に後半部分の描写はおもいっきり同性愛的に読めてしまいました。
チョコレートコスモス
チョコレートコスモス
毎日新聞社
price : ¥1,680
release : 2006/03/15

天才とはそれぞれの形がある

私はこの作品を読んで久しぶりに夢中になって貪り読んだ作品でした。
一人一人のキャラクターが濃く尚且つ魅力もありました。
私自身、演劇と言う者を全く見た事がなかったので凄い新鮮な感じで読みました。
人と言うものはいつ何時化ける者か分からない、日々精神して生きていく中で空手の世界から身を引いてその空手の型から抜け出して劇団に入り芸の魅力にささやかなんだけど取り付かれていく所なんかが面白く描かれていました。
人自身の真似から演出まで全てをこなす芸に長けた人間とはこうなんだなと言う事を様様に見せ付けられた作品でした。
一次審査のオーディションの飛鳥の考えるアイデア、演出、演義が素晴らしく描かれていて甚く驚嘆してこの作品に嵌りました。
この作品の終わり方だったらまだまだ先まで描けそうなストーリーだったので是非続編を書いて欲しいです。
さよならバードランド―あるジャズ・ミュージシャンの回想
さよならバードランド―あるジャズ・ミュージシャンの回想
新潮社
price : ¥900
release : 1999/01

1950年代、、、

1999年にこの本を読みました。随分前ですね。村上春樹氏は著者のBILL CROWの JAZZ ANECDOTESにも訳をつけています。村上春樹自身ジャズ喫茶を経営していただけあって深い訳になっています。1950年代のジャズの黄金時代にジェリーマリガンのベーシストとしてそこそこは知られていたビルクロウの楽屋話のような本です。パーカー、エリントン、、マイルスディヴィス、モンクなど錚々たるメンバーのちょっとした話です。あの時代は良かったなあ。バートランドの子守唄を聞いてみよう、、、と。
トリアングル
トリアングル
中央公論新社
price : ¥620
release : 2006/09

古典文学のように

短歌が随所にちりばめられ、小説と短歌のバランスが絶妙でした。
このあたりはまるで古典文学のよう。
文章だけでは描ききれない心情が短歌で見事に表現されているんですね。

この作品ではタイトルどおりの三角関係を描いているわけですが
文章の淡白さとはうらはらに
濃密な恋愛感が語られているように思われます。
かなり私小説的な部分もあったのではないでしょうか。
この作品の主人公のような恋愛感を否定する人も多いでしょうが
意外と共感した人も多かったのではないでしょうか?
私は共感したひとりです。
黒蜥蝪
黒蜥蝪
東京創元社
price : ¥567
release : 1993/05

顔に降りかかる雨
顔に降りかかる雨
講談社
price : ¥660
release : 1996/07

バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (15)
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (15)
講談社
price : ¥550
release : 2002/10/23

不安な童話
不安な童話
新潮社
price : ¥540
release : 2002/11

ブレイブ・ストーリー (2) 幻界
ブレイブ・ストーリー (2) 幻界
角川書店
price : ¥560
release : 2006/05/31

宮沢賢治童話集―心に残るロングセラー名作10話
宮沢賢治童話集―心に残るロングセラー名作10話
世界文化社
price : ¥1,155
release : 2004/02

ホリー・ガーデン
ホリー・ガーデン
新潮社
price : ¥500
release : 1998/02

STAR EGG 星の玉子さま
STAR EGG 星の玉子さま
文藝春秋
price : ¥1,050
release : 2004/11/03

取り替え子(チェンジリング)
取り替え子(チェンジリング)
講談社
price : ¥650
release : 2004/04

人の砂漠 (新潮文庫)
人の砂漠 (新潮文庫)
新潮社
price : ¥740
release : 1980/12

楽毅〈4〉
楽毅〈4〉
新潮社
price : ¥700
release : 2002/04

生きることの難しさ

信じる人を間違えたり、判断を一つ間違えるだけで
大国が滅亡してしまう時代。
正しく生きようとした楽毅をしても
暗君のために国を追われてしまう。
人は疑い深くて、嫉妬深いものだと感じた。
武霊王、孟嘗君も最善をつくしたのだが。
すべては天命なのか。

全編を通して生きることの難しさが
描かれています。

松本清張傑作短篇コレクション〈下〉
松本清張傑作短篇コレクション〈下〉
文藝春秋
price : ¥700
release : 2004/11

短編にも名作有り

上、中、下とすべて読みましたが、地方紙を買う女が最もわかりやすく、おもしろかった。長編に有名な小説が多く、昔夢中で読んだ経験があるが、推理小説の原点とも呼べるこんなすばらしい短編を新聞小説に書いておられたなどと、恥ずかしながら宮部みゆきさんにご紹介されるまで全く知らなかった。
読後感さわやかなこんな話を通勤途上の短い時間で味わえるなんて、やはり清張氏は天才だと思う。
戦争責任・戦後責任―日本とドイツはどう違うか
戦争責任・戦後責任―日本とドイツはどう違うか
朝日新聞
price : ¥1,470
release : 1994/07

具体的な事実から戦争・戦後責任を考える

 本書は、日本とドイツの戦争責任・戦後責任の取り方に関する基本的な概観を与えてくれる本である。簡にして要を得ており、この問題に関心を持つ方にはお勧めの本である。

 ただ、いくつか問題点を挙げるなら、第一に日本(植民地支配と戦争責任が中心)とドイツ(ナチズムの責任中心)の責任の取り方を、そのまま比較してよいのかという問題がある。第二に、戦後史全体の流れとの関連で、この問題は位置づけられるべきかと思う。そうしないと、現在のヨーロッパでの極右の台頭を、きちんと位置づけられなくなろう。

 いずれにせよ、具体的な事例に即して書かれているため、非常に参考になる。

平成三十年 (下)
平成三十年 (下)
朝日新聞社
price : ¥714
release : 2004/01/17

頭の悪いおっさん

この人は一見まともなことを言っている様だが、とんでもなく頭が悪く、官僚時代なにをしていたのか気になる。文章をよく読むと一人善がりで調査もせず、何かの資料を基にしている。こんな人に騙されてはいけない。注意、注意。
よい匂いのする一夜 (講談社文庫)
よい匂いのする一夜 (講談社文庫)
講談社
price : ¥470
release : 1986/06

内容は良いのに…

ちょっと字が小さくて読み辛いですね少し。
そのせいか他のエッセイ類に比べて読んだ印象がカタい気がします。
ちょっとページ数が薄いせいもあって読後感想が弱い一冊。
だが内容は流石氏のエッセイ。
文章が非常に判り易く巧い。流れるようだ。
字を大きくして少し厚めに編集し直す。
そうすればもっと読み易い一冊になるだろう。

他社はやってますが。見習う謙虚さが欲しい。
非常に惜しい一冊。

星三つ。

飢餓海峡 (上巻)
飢餓海峡 (上巻)
新潮社
price : ¥620
release : 1990/03

雰囲気

昭和二十二年九月二十日。
猛烈な台風により、青函連絡船「層雲丸」の転覆事故が発生。
多くの乗客が亡くなる大惨事となる。
同日、函館から120kmほど離れた町で強盗放火殺人事件が発生。
質屋の一家が皆殺しに遭う。また、台風の影響で火の勢いは強まり、
町の多くを焼き払うこととなる。

作品はこのような舞台から始まり、そしてさらなる展開を見せていく。
作品を全体を包んでいる雰囲気が素晴らしく、容易に作品に入り込む
ことができるだろう。
アフターダーク
アフターダーク
講談社
price : ¥1,470
release : 2004/09/07

ゆっくり歩いてたくさん水を飲む

近年の村上作品の特徴である形而上学的な三人称の語りが、この作品では全体を通してとても色濃く用いられている。

内容としては、現代を生きる我々にとって、目を背ける事の出来ない問題が掲げられている。情報化社会の只中で、何を信じて生きていくのか。一夜を細かい時間で区切って、一冊で描ききるという手法は新しく、妙にリアルを感じて、それが逆に怖かった。

また、村上作品には、良くも悪くも、博識なキャラクターが、文学や哲学について語る場面が印象的だが、この作品ではそういった場面が皆無であり、そしてマリの読んでいる「分厚い本」のタイトルが最期まで明かされず、マリが「ファミレスでじっと本を読んでるのも、だんだん辛くなってきたみたい」と言うなど、今までに無い現実的な描写が印象的だった。

村上氏は某文芸誌で、この『アフターダーク』について、「出来るだけ簡単な文章で、出来るだけ複雑な話を書く」と言っていたことが強く印象的だったが、正にその通りの作品だと思う。もう少し評価されてもいい作品。一晩で読み通せる長さも現代的。
剣客商売〈8〉狂乱
剣客商売〈8〉狂乱
新潮社
price : ¥540
release : 2002/12

とにかく面白い

この剣客商売という本は、私が読んだ本の中でもとても面白い部類に入ります。本物の剣客物だと思います。しかもただそれだけに終わるのではなく、人の心の複雑さや、哀しさ、そして素晴らしさが解る本だと思います。どの世代の人も一度は読んでみるべき本だと思います。
マクベス
マクベス
岩波書店
price : ¥525
release : 1997/09

緊迫

 武将マクベスは三人の魔女の予言と妻の薦めに従い、王を暗殺して王位につきます。

 一度王になると今度は狙われる不安につきまとわれ、同僚や近親を次々と殺害して罪を重ねていきます。流血の鬼と化したマクベスも終には討伐軍の手によって死にます。

 マクベスの内面にある野心と良心の闘いをおりまぜて、シェークスピア悲劇の中でも緊迫した場面が最も多い作品です。
嘘は罪
嘘は罪
文藝春秋
price : ¥660
release : 2006/06

女は、というより人生は見かけによらない

ミステリーのジャンルに「日常の謎」というのがありますが、
これは日常の謎・大人の恋バージョンと言えるものかもしれません。
なぜ、若い男が通りすがりの中年の女性にバラの花束を渡したのか。
夫の愛人と仲良くなろうとする妻の、本当の目的は何なのか。等々。

12の物語は、日常でありがちなシーンで静かに始まり
意外な展開を経て、人の心の深さや危うさをあらわにします。
どれも短いストーリーなのに、スリリングで読み応えがありました。

ずっと昔、「恋文」を読んで「けっ!」と思って以来、
連城氏の小説は避けていたのですが、
本書を読んで、かつての自分はこの人の小説を読むにはあまりにもガキで
描かれていることを理解できなかったのだ・・・と痛感しました。

というわけで、酸いも甘いもかみ分けた大人にお勧めの短編集です。
バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (7)
バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (7)
講談社
price : ¥550
release : 2000/07

獣から人間へ。

子供の頃から父親・新免無二斎に強くなることを強いられてきた武蔵。凶暴そのもの。捕らえようとする村人を悉く殺す。山に隠れた武蔵を捕らえるために多くの村人の命が犠牲になった。そんな状況をみかね、坊主・沢庵が武蔵捕獲に乗り出す。沢庵はおつうを連れて山に入る。味方なき武蔵。会う人間はみんな敵。村人、辻風黄平、..次々と武蔵の命を狙う。疑心暗鬼の中、山でおつうと再会する。抱きついてくるおつうに武蔵の殺気は消える。武蔵は幼馴染のおつうによって遂に捕らえられた。
沢庵によって木に吊された武蔵は「殺せ」とばかり考える。生きる意味を見出せない武蔵。人を殺すことしか生きる目的を知らない武蔵に対し、沢庵は別の生きがいを与える。
海上の道
海上の道
岩波書店
price : ¥735
release : 1978/01

民俗学かぁ、、、

農政学から常民、、すなわち平民の伝統的生活を学問の対象にした柳田国男の作品。日本文化が沖縄から南島伝いに伝播したという自説を展開している。沖縄には稲作文化が無く、この説は多分に植民地政策と結びついていたものだろうと考えられる。蝸牛考;カタツムリは近畿から地方へ広がった名称。あほ馬鹿分析のオリジナルのような本。遠野物語、日本の昔話、木綿以前の仕事など併せて読んでみるのも面白い。
満鉄調査部―「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊
満鉄調査部―「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊
平凡社
price : ¥735
release : 2005/09

シンプルな入門書


本書は満鉄関連の著作の多い、
早稲田大学大学院教授の著作である。
近年、調査研究においては外すことのできないシンクタンク、
その元祖としての満鉄調査部の歴史を
シンプルな新書一冊にまとめている。

満鉄は単なる一会社ではなく、その調査部も
現在の調査部とは比べものにならないほどの機能と
役割を果たしていた。

筆者の『満州と自民党』を併せて読むと、
満鉄という会社が戦後日本に果たした
大きな役割が理解できるだろう。

街道をゆく〈22〉南蛮のみち 1
街道をゆく〈22〉南蛮のみち 1
朝日新聞社
price : ¥588
release : 1988/10

遥かな国・遠い国

フランスからスペインへピレネー山脈をいく。いつもの深い洞察や思索が。

バスクは孤独である。孤独であるゆえに強く、孤独であるゆえに世界中にいく。
バスクはスペインでもフランスでもない。
国家は後から、やってきた。
戦うザビエル。日本は断りもなしに(?) 大天使ミカエルに献じられた。
GHQの問い合わせ、「本願寺は、悪人になることを勧めているというが本当か?」

全体を通して流れるトーンは、遥かな国、遠い国・・。

人間臨終図巻〈3〉
人間臨終図巻〈3〉
徳間書店
price : ¥760
release : 2001/05

これも買い

第三巻、老年期の人を扱うわけで、醍醐味に欠けるかと思ったが、よい意味で期待を裏切られた。
長く生きることの意味について考えさせられた。
東郷平八郎に関する視点は山田氏独自のものだろうと思うがハッとさせられた。
現代社会の倫理を考える〈3〉ビジネスの倫理学
現代社会の倫理を考える〈3〉ビジネスの倫理学
丸善
price : ¥1,995
release : 2002/07

リスク管理について考えさせられる1冊

「倫理学」と言う言葉から、学問的かつ哲学的なイメージを持っていた。
しかしながら、本書を読んで「倫理とは非常に身近で重要なことなのだな」という認識を持つようになった。

本書は、大きく分けて「理論」と「実践」との2つの内容に分かれている。
前半の「理論」部分では、倫理学の分類や考え方について述べられている。
比較的わかりやすく記述され、初めて「倫理学」にふれる人にも抵抗なく読むことができるだろう。
後半部分は以下のようなケースに基づく討論会を収録した形となっている。

「慰安旅行で男性社員が風呂場で女子社員の入浴をのぞきました。さ、どうしますか?」

「海外に工場を建設しました。しかし少年・少女が学校に行かずに労働に従事しています。法律上は問題ありません。このまま従事させますか?」

倫理とはとても難しい問題であり、我々の身近に常に存在するものだということを痛感した。

エデンの東(下)
エデンの東(下)
早川書房
price : ¥2,415
release : 2005/04/21

深い感動を与えてくれるスタインベックの傑作です

下巻は、双子のアロンとキャルの成長とその心の葛藤を中心に小説は展開していきます。舞台もサリナスの町へと移っていきます。老いたサミュエルの死を始めとして登場人物の多くが亡くなっていきます。とにかく、どの登場人物にもスタインベックの人間への深い洞察が感じられ感動です。特に善人よりも悪人がその心の中の複雑さにおいてより魅力的に描かれています。
 下巻のテーマとなっているのは「カインとアベル」の話の中に出てくる「ティムシェル」(訳では『治むること能ふ』となっている)と言う言葉です。
 この言葉は最後にアダムによってささやかれます。
 本当に深い感動を与えてくれる小説です。感動だけでなく登場人物の一人、中国人のリーのように小説に書かれている言葉に引かれて、思索の海に漂うことになると思います。
毒舌・仏教入門
毒舌・仏教入門
集英社
price : ¥520
release : 1993/03

面白い本ですが、仏教入門ではありません。。。

タイトルの仏教入門をそのまま期待された方はがっかりする本だと
思います。これは今和尚が天台の行事の戸津説法として檀家の
ご老人達に語った説法集です。天台の歴史や、伝教大師のお話が
少しは紹介されますが、どちらかと言えば檀家に対してお坊さんが
サービスで語ってるお話なので、柔らか過ぎるというか。。。

和尚の辛口の説法を期待している人にはガッカリの本かもしれません。
また、今和尚なりの仏教入門を期待している人にはもっとガッカリの
本だと思います。(私はその意味で飛んでもガッカリでした。。。)

しかしながら、今東光ファンとして和尚が戸津説法で何をしたかを
知りたかったとすれば、非常に面白い本です。説法をはじめるお香の
儀式を小馬鹿にしたり、最後は天台の教義を顕と密で分けるべき等、
そのほかのお坊さん達は飛び上がったであろうような行動や発言をし、
アマチュアのご老人達には面白い話を、プロのお坊さんには痛烈な
批判を与える、離れ業をとげています。

ですので、仏教入門を期待された方にも、辛口説法を期待された方にも、良い意味でジャブをかましてる面白い本です。ぜひお読みになってください。
新訳 ヴェニスの商人
新訳 ヴェニスの商人
角川書店
price : ¥420
release : 2005/10/25

斎藤茂吉歌集 (岩波文庫)
斎藤茂吉歌集 (岩波文庫)
岩波書店
price : ¥693
release : 1978/01

風の万里 黎明の空〈上〉―十二国記
風の万里 黎明の空〈上〉―十二国記
講談社
price : ¥660
release : 2000/10

己の道を歩むとき

陽子の治める慶に話が戻ってきました。
戴冠したものの、いまだに異世界の仕組みになじめていない陽子は腐敗した官僚制度の中で孤立し泥沼にはまっていた。
それを自覚して打開するために市井の生活に降りてしまう。
一方芳では父王を討たれ農村に追われた公主が周りを恨みながら生きていた。
そして百年以上前に流されてきた海客の少女もまた、主となった女仙のもとで卑屈な生活を送っていた。
その三人が他人の道と交差しながら自分の道を切り開いていく様子が微笑ましく描かれている。
当初は引っ込み思案だった女子高生の陽子があまりにも少年っぽく変貌してしまったのが不思議だけど、まあ年齢的にそんな時期でもあるしね。
三人の道が交わり、お互いに成長しつつまた新しい歴史が刻まれていくのでしょう。
冬の伽藍
冬の伽藍
講談社
price : ¥880
release : 2002/06

思わずもらい泣き?

小池真理子を読むのはこれで3作品目くらいですが、
過去の痛手を抱えながら、医師”義彦”を愛する半面、同じく医師の義父にどうしようなく惹かれる主人公の気持ちに深く入り込んで共感できた。
(義父がなかなか魅力的に感じました。)

ストーリーはどんどん切ない展開になっていきますが、
絶望的な中でも再会し、抱擁し合う彼らの姿が目に浮かぶような。。
そんな、もらい泣き作品でした。




泥棒日記
泥棒日記
新潮社
price : ¥740
release : 1968/01

人生芸術

ジュネは自分が捨て子であること、犯罪者であること、男娼であること、そして仲間に対してさえ裏切り者であることに誇りを持っている。何故ならコレらは本質的に美しいからだそうである。チンピラのアンチ・テーゼとは次元の違う、発生その物からネガティブであることを強調するという、文学でしか有り得ない芸術形態だ。

ジュネの生涯もさることながら、彼の哲学というか生への理念のような物も一般人とはかけ離れている。イヤ、他の文学者や芸術家と比べてさえ、あまりに稀有である。自分の情けなさや、醜悪さ、弱さ、気持ち悪さ、ダメさ、汚さ、というようなネガティブな精神要素を、まるで第三者を評するかのごとく冷静にフェアーに観察し、それを徹底的に暴露する。そして、真に素直な心境というのは、たとえそれが背徳的な非道徳的な物であろうとも、人を傷つけることはなく、むしろヒタスラ共感を招く効果があるようで、それが彼の小説の魅力の基本になっているようにも思われる。実際ジュネの文には「恥」というような感じは少しも含まれてない。

さらに物語を終始覆っている独特の文体が示すように、彼の詩美な文体には(訳者の力量も手伝って)所々ダンテなどを思わせるような古典的で崇高な不陰気が漂い、ただでさえ艶かしいストーリーをいっそう魅惑の妖艶さへと引き上げている。そして同性愛。同性愛をカッコよく描いた文学スタンスってのはこの辺から確立されたのではないかと思われる。もちろん単なる平和な同性愛者ではない。彼が愛する男たちは本質的に「悪」の要素を孕んだ連中なのだ。

ジュネはコクトーによって発見され、サルトルによってその存在を弁護されるが、ジュネ自身は自分の生涯を肯定されることに感謝やなにかをまったく感じなかったそうである。そしてそういったジュネの感性を集結した「泥棒日記」。ジュネはこの作品を逆にサルトルとボーヴォワールに捧げている(半ば皮肉を込めて)。そして作品は日本に紹介され、石川淳、三島由紀夫、坂口安吾といったヤバイ物語を書かせたら指折りの面々に激賞され、その後の作品の翻訳は堀口大學などが手がけていることから見ても、ちょっとこれは純情な騒がれ方ではないということを感じざる得ない。しかし扱っている内容が、内容だけに、どんなに素晴らしい傑作でも表に出して公式の場で賛辞されることはマズ有り得ない。そこがまたアングラっぽくカッコいい。

僕はこの作品にて初めて、ゲイ・カルチャーに羨望を抱きました。
盗賊会社
盗賊会社
新潮社
price : ¥380
release : 1985/08

星作品の中でも、特に……

本書『盗賊会社』は、星作品の中でも特に一編一編が短い。
一作品が4〜5ページほどしかない。
ほんの数分で読み終わってしまう作品が、こんなに面白いと思えるのが星作品。
30編以上もあるから、お買い得と言えばお買い得。
個人的に、星作品のベスト5に入る作品です。
ちびまる子ちゃん (6)
ちびまる子ちゃん (6)
集英社
price : ¥410
release : 1990/01

名作

ほんとに面白いです。
シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス
シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス
筑摩書房
price : ¥861
release : 2004/01/11

残虐性を兼ねた悲劇

この作品を一言で言うなら残虐的な悲劇といえるであろう。
解説を提供している由井哲哉さんの言葉を引用させていただくと、
『シェイクスピアはこれ以降『タイタス』ほどの残虐な芝居を書いておらず』
といわれているように、私が知る限りでも悲劇といわれる『ハムレット』や『ロミオとジュリエット』などの4大悲劇には見られない残虐性がこの作品にはある。

しかし残虐性があるのに、不思議と読みやすい。
それはおそらくこの物語の主役が悲劇の被害者であり、かつ元凶だからであるといえる。
そしてこれは主人公タイタスだけでなく、この本に出てくる人物全てにいえることである。
この悲劇を生み出す中心人物の1人后妃タモーラでさえ、加害者であり被害者なのだ。
故にだれか1人を憎むこともできず、誰か1人に同情することができない。
おそらく作品に対し、残酷だと感じながらも誰も憎めず、誰も応援できないが故にこの作品に対する嫌悪感等を持ちえないのではないかと思う。

私自身この作品は人が死ぬときにとてもあっさりと死んでしまい少し物足りないと感じていたが、
これは訳者あとがきを見て、むしろシェイクスピア劇の完成度の高さを知る要因となった。
詳しくは実際に作品を読んだ後に訳者あとがきを見ていただきたいのですが、人があっさりと死ぬことがこの作品の残虐性をより強め、作品に一本の柱を作り、より完成した作品にしているといえます。

私はこの訳者のシェイクスピアを何冊も読んでいますが、とてもすばらしい翻訳者です。
訳者あとがきも読み応えがあり、レビューを書く上で参考にさせていただきました。
また、作品を一通り読んだ後にあとがきを読むことでよりこの作品がおもしろくなりました。
ぜひ一度、他の翻訳版を見た方でも、文庫本で値段も高くは無いのだから読んでみてください。

波王の秋(とき)
波王の秋(とき)
集英社
price : ¥840
release : 1998/11

日本の海洋冒険小説

クライマックスの、大海原での海戦の場面は、ものすごい迫力とスピード感です。北方謙三の「破軍の星」での北畠顕家の東北から京への行軍に勝るとも劣らないシーンです。
もちろんクライマックスだげでなく、テーマ自体が非常に面白いです。
本来海洋国家であるはずの日本で、なぜか数少ない”面白い”海洋冒険小説です。
ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)
ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)
幻冬舎
price : ¥520
release : 1998/08

現実世界から解離する快感を得たい人に


小川洋子さんの既刊を全て読みました。

『博士の愛した数式』だけが、この作家には珍しく、
誰にでも受け入れやすい内容だったのだ…と思わされました。
その他の作品は、どこか現実世界から離れた幻想的な設定が多く、
いかにも芥川賞と泉鏡花文学賞を取った作家さんという印象を受けました。

美しい言葉を選ぶセンス、文章のテクニックは、流石です。
しかし読後は、船酔いをしたような気分になり、気が滅入りました。
「純文学」とは、「分かる人にしか分からないものだ」と思ったりしました。

でも、もし私が、少女の頃のあの鋭敏な感性を、今でも持ち続けていたら、
酔いしれるような感動を得られただろうにと思います。



エデンの東(上)
エデンの東(上)
早川書房
price : ¥2,415
release : 2005/04/21

文学はつまらない

そんな先入観を持っている人にこそ読んでもらいたい一冊です。きっと文学を見る目が変わるでしょう。
スタインベックの力強く有無を言わせない文章の力は読む者に本を閉じさせません。無意味に言葉を弄ぶことが文学と勘違いしている作家には心底から見習って欲しいものです。
自分の居場所のみつけかた
自分の居場所のみつけかた
大和書房
price : ¥1,575
release : 2006/04

落ちこんだとき,何度も読みかえしたい本

斎藤学氏の久々の本。
氏はこれから著述業に重点を移すとのことで,これからはもっと読めると思うと,ファンの私としてはとても嬉しい。

本の雰囲気は,「自分のために生きていけるということ」(大和書房)に似ていると感じた。つまり,一般向けでとても読みやすい。
でも,斉藤氏の辛口の語り口が好きな私としては,少し「優しすぎる」かな,と思えてしまう。

まえがきの『どうしたらこの「心の中の母子関係」を改善できるのかと迷う毎日なのですが、その中から突然元気になる人々が少なからずいて、びっくりさせられます。どこがどう変わったというのでもなく、「まあ、このままの自分でいいや」と言い出すのです。居直るというか、「人として生きるのは苦しいが、その苦しいところが楽しい」といった心境のようです。こうした人々についていつか書いてみたいと思っていました。』に惹かれて読み始めたが,最後の章でそのような人たちが登場する。
彼らがどうしてそう思えるようになったのかを,もっと詳しく知りたかったと思ったので,星は4つ。でも,とても満足。







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