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著者別
江戸川乱歩傑作選
江戸川乱歩傑作選
新潮社
price : ¥460
release : 1960/12

乱歩は夏に読むべきだ

乱歩は小学生以来だけど、未読の作品があったので購入。・・・案外覚えてなかった。

収録作『二銭銅貨』の最初の一文、大したものだ。ちょっと忘れられない文句だなぁ。
『芋虫』を推して言うわけじゃないが、探偵小説的なロジカルな部分よりも、表現や着想に如何にも"日本文学"らしさを感じるのは私だけではないはず。

これを読んだのは去年の夏。うだるような暑さの中、陽炎の中に乱歩を見た。
逆説の日本史〈10〉戦国覇王編―天下布武と信長の謎
逆説の日本史〈10〉戦国覇王編―天下布武と信長の謎
小学館
price : ¥1,628
release : 2002/10

信長の偉大さが分かる本!

本書を読了して感じられることは、井沢氏も後書きにて叙述されているよう
に、織田信長は世界史級の人物・英雄であるということである。
ともすれば残虐極まりない暴君として描かれがちな信長像は、なるほどそれは
決して間違いではなくとも、一面的な見方に過ぎないことが了承されると思う。
譬えば、あの悪名名高い比叡山焼き討ちも、信長には其れを断固として行うに
足りる合理的理由があったことも、本書の記すとおりである。
ただ一つ残念なことがあるとすれば、光秀の反逆の理由に説得性がやや欠けることだ。
しかし、それを差し引いても本書には十分な価値があるだろう。
Y十M(ワイじゅうエム)~柳生忍法帖 3 (3)
Y十M(ワイじゅうエム)~柳生忍法帖 3 (3)
講談社
price : ¥540
release : 2006/03/06

仇討ち第2ラウンド

原作・山田風太郎+作画・せがわまさきという、傑作『バジリスク』を生み出したコラボレーションによる第2弾。『柳生忍法帖』を原作にしています。
いわゆる「仇討ち物」といわれるジャンルに属し、ごく普通の女性たちが、武芸の達人たる仇達を如何にして打ち倒していくかが最大の見所となっています。
前巻で最初の敵を全員の協力(?)で討ち果たし、今巻は仇討ちの第2ラウンドとなります。標的は「長槍」使い。前回の「鎖鎌」同様、リーチのある得物相手に如何に距離を詰めるか、仇討ち指南役たる柳生十兵衛が授けた策が見所です。
ちなみに、前回は女7人+十兵衛VS.敵1人という対決でしたが、今回は女1人+十兵衛VS.敵2人という対決の構図となっています。十兵衛はあくまで黒子としてのサポート役ですので、仇討ちのメインは「お鳥」という女性になるのですが、この女性、原作で「丸々と太った美女」と表現されており、「お笛」と共にムードメーカーの役割を担っているのですが、せがわ氏がコミック化にあたり原作の描写に忠実にデザインしており、一風雰囲気の変わった"美女"となっています。彼女が十兵衛に授けられた"術"を使う様はある意味ユーモラスで、血生臭い復讐劇の中でちょっとしたアクセントとなっていまが、これはこれで趣のある、充分な見所だと思います。原作の魅力を損なわずにコミカライズしているせがわ氏の描写力、構成力は相変わらず見事です。
順調に進んでいるかに見える仇討ちですが、いよいよ仇側の反撃が始まります。今巻ラストにその端緒が見て取れますが、実に悪役らしく、陰険で無残、その上陰虐な策を弄してきます。これに対して十兵衛と女たちはどう対処するのか。先の展開が非常に期待できますね。
王妃マリー・アントワネット (下巻)
王妃マリー・アントワネット (下巻)
新潮社
price : ¥580
release : 1985/03

人は誰でも殺人者に

国王一家を処刑するための革命運動の中で、国王擁護派に属するフイヤン派のマラーが国王反対派に属するジロンド派の修道女アニエスに刺殺されたり、過激派のジャコバン派の人々が国王派やジロンド派の人々を次々に殺していったことから、国王派に対する怒りや反乱の熱気は、殺人者ではない人々をも人殺しに駆り立てようとすることがわかった。革命というのは怖ろしいものだと思う。
玄鳥
玄鳥
文藝春秋
price : ¥470
release : 1994/03

心の機微というもの

ずいぶん前に、人に薦められるままに購入し、
ずっとそのままになっていた本。
だが、最近、読んでみて驚いた。

「何でここまで人の心がわかるんだろう?」
これが心に浮かんだ言葉だった。

うれしい、とか、悲しい。好きだ、とか、嫌い。
そんな言葉では割り切れないもの、
言い表せない何かを作者は的確に捉え、表現する。

このように表現されたものに接すると、
「そう、そう」とうなづくことはできても
自分でその感情を表そうとすると、あまりに茫漠としていて
言葉に詰まってしまう…。
そんな淡く繊細な心の揺れ、機微とでもいうようなものが
ここには描かれている。

小津安二郎の映画を観たときにも感じたのと同じものが、
この作品にはあった。とてもよい作品です。




杏っ子
杏っ子
新潮社
price : ¥820
release : 1962/06

芥川龍之介全集〈7〉
芥川龍之介全集〈7〉
筑摩書房
price : ¥1,050
release : 1989/07

「侏儒の言葉」に見るアフォリズムの文学性

 原著『侏儒の言葉』は、すでに昭和2年(定価2円20銭)に発行されている。それも雑誌「文藝春秋」に大正12?14年発表した文章に著者自身がさらに手を加えたものである。以来80年を越えてなお、平成人に響く言葉があるかどうか、試みにいくつかを抜粋してみよう。

   人生
 人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わなければ危険である。

   危険思想
 危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である。

   天才
 天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである。只この一歩を理解するためには百歩の半ばを九十九里とする超数学を知らなければならない。

   政治的天才
 古来政治的天才とは、民衆の意志を彼自身の意志とするように思われていた。が、これは正反対であろう。むしろ政治的天才とは、彼自身の意志を民衆の意志とするもののことを云うのである。この故に政治的天才は、俳優的天才を伴うらしい。ナポレオンは「荘厳と滑稽との差は僅かに一歩である」と云った。この言葉は帝王の言葉と云うよりも名優の言葉にふさわしそうである。

 これらの言葉が永遠の真理であるとは言えないにしても、人生の機微を穿った名言として現代にも通じるものがある(雅)
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (16)
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (16)
講談社
price : ¥550
release : 2003/02/21

計り知れぬ強さ・伊藤一刀斎。

14巻?18巻では、佐々木小次郎が生まれてから武蔵に出会うまでの物語が語られる。
育ての親・鐘巻に剣を教わりたがる小次郎。しかし鐘巻は、小次郎に「お前には剣を教えない」と言う。小次郎はそんな鐘巻に襲い掛かりその都度、鐘巻に返り討ちに遭う日々を送る。
そんな時、鐘巻を伊藤一刀斎が訪ねてくる。鐘巻よりも剣才があり、名も知られている伊藤だが、未だに鐘巻を師と仰ぎ、自分が鐘巻の一番弟子であると公言する。伊藤は、弟弟子の小次郎の中に虎を見てその虎を目覚めさせようと小次郎を挑発する。
小次郎が海辺を歩いていると、伊藤を捜す吉岡一門とすれ違う。中には、若き日の伝七郎、植田もいた。伊藤は、これは良い機会とばかりに小次郎と吉岡一門とを戦わせる。
小次郎は二人を切り、伝七郎と対峙する。しかしその時、伊藤は、刀に対する恐怖の全く無い小次郎の様子を見て、小次郎の足に刀を突き刺し、小次郎に刀で切られる痛みを経験させる。それは小次郎がまだ赤ん坊の頃に沢庵がやったのと同じ行為だった。小次郎の脳裏に痛みの記憶が蘇る。小次郎は恐怖を覚えるが、まだ戦いを止めようとしない。小次郎は戦いを楽しんでいた。
伊藤も戦いを止めない。口ばかり達者で度胸の無い伝七郎は、父・拳法の名前を再三再四叫んで、戦いを避けようとするが、耳の聞こえない小次郎に父の威光は通じない。伝七郎は自分を奮い立たせ、遂に小次郎との生死を賭けた決闘を覚悟する。
武蔵が剛なら小次郎は柔。小次郎には不思議な魅力を感じる。この頃の伝七郎はあまりにふがいないが、あえてその成長ぶりを見せる漫画、作者は凄い。
娘に語るお父さんの歴史
娘に語るお父さんの歴史
筑摩書房
price : ¥798
release : 2006/02

娘に語れる歴史はあるのか

私と同世代の重松さんが、娘に語るお父さんの歴史とは?
戦争の悲惨さ、戦後の貧しさを語る年齢でも無く、白黒テレビ?カラーテレビへ、アポロの月面着陸、オリンピック、大阪万博、高度経済成長、それに伴う公害、交通事故の増加等々、日本が、世界が加速度的に移り変わっていった時代。
科学という未来を信じ、突っ走ってきた結果、経済大国となった日本。その一方で無くしてしまった物も多いのも事実です。

同世代の人には懐かし事柄が散りばめられていて面白いのですが、自分の娘が、この小説の中の娘のように素直に興味を持って聞いてくれるか疑問が残るのですが(家だけでしょうか?)

ぶつぞう入門
ぶつぞう入門
文藝春秋
price : ¥500
release : 2005/08/03

ひとそれぞれ

仏像の見方には、ひとそれぞれあり、人生いろいろ、仏像の見方もいろいろ、という最近の日本のトレンドを先取りしている感じで、とてもすばらしい。 奈良に住んでいて、結構仏像は見ているほうなので、サイモン的ブツゾーの見方っていうものに触れることができて、「ああ、そうなんか」「そういう見方もあるんか」と感じることができる私は幸せ。 さあ、来週は、新薬師寺の十二神将を、また見に行こう。

先週、興福寺で、ポール・サイモン(?)に会いました。
葬送〈第1部(下)〉
葬送〈第1部(下)〉
新潮社
price : ¥540
release : 2005/07

ドラクロワの絵を見たくなる小説

 第一部のクライマックスは、ドラクロワが壁画を完成させて見渡すところである。この場面の作者の筆致は細密かつ重厚であり、読者に絵画についての興味を引き起こさせる。それにしても、ショパンとドラクロワの会話は繊細で上品、そして二人の苦悩を感じさせて心地よい。
O・ヘンリ短編集 (1)
O・ヘンリ短編集 (1)
新潮社
price : ¥460
release : 1969/03

短編集の古典

古本屋に行くと必ず2,3冊は目にする「Oヘンリー短編集」。そんなにオーソドックスなものなら、1冊は読まなくては!と購入しました。

Oヘンリーは、生涯を通じて、短編ばかりを書き続けた作家なのですね。どの作品にも必ず小粋なおちがあり、楽しませてくれます。

物語の導入部分に日本人にはとっつきにくい古きアメリカの文化や慣習についての描写があり、翻訳がストレートに伝わってこないところで、星ひとつ減です。
シティ・オヴ・グラス
シティ・オヴ・グラス
角川書店
price : ¥441
release : 1993/11

お値段に難あり。

The New York Trilogyのうちの最初の本作品は、三部作の中で一番長い作品であることを差し引いても、このお値段は高いです。

オースターの(正確に言えばP.Auster名義での)処女小説にあたるこの作品は、最後の最後(それこそ最後のページで。未読の方は読むとわかります)で物語をある意味で投げてしまったところで、本一冊としてまとめるには、ちょっと無責任にすぎるのではないかと思います。
そこを考えると、Ghosts, The Locked Roomと続いて、初めてこの作品は一つのものとして完成すると考えるのが妥当でしょう。
そうじゃなくてはGhostsは短すぎますし。
その点からすれば、City of Glass単品での製品化はただのバラ売り以外の何でもないんじゃないかと、どうしても気になってしまうのです。

作品のできについて言えば、オースター好きにはもちろんお勧めです。
また、英語学習という観点から言えば、文章自体は平易だけれど、ここそこに難しい単語(英検一級レベルから、果てはGRE教本に載ってるような単語まで)が混ぜられていて、なかなか読みごたえがあります。
コロンビア出、文学の修士課程も「経験」しているオースターの英語はとても勉強になります。

結論としては星2つ。
お値段がこれで600円を切っていたら、4は間違いないのに。。
星新一 ショートショート1001
星新一 ショートショート1001
新潮社
price : ¥31,500
release : 1998/12

星新一氏

私が高校生時代から星氏のショートショートが好きで愛読しており、最近、この作品集の存在を知り購入を考えているけど、価格的にちょっと厳しいかな?と悩んでおりやす。

高丘親王航海記
高丘親王航海記
文藝春秋
price : ¥470
release : 1990/10

もっとお元気な頃に執筆して頂きたかった...

 云わずと知れたザ・「渋沢達彦の遺作」です。
 病床にありながら、このような起承転結のしっかりした幻想的な連作ものをお書きになれたのは凄いとは思うものの、文中、余命幾許もないご自身と高岡親王の姿を重ね合わせているような、それでいて突き放した理性的な観察者としての目がいつもあるような気がして、ある意味やり切れない気もします。
 不思議な文物や、歴史の中の一コマが、東方見聞録だか西遊記を思わせる昔の神話的で荒唐無稽な東南アジアを行く親王方の目に触れると言えば、多分にロマンティックな響きもありますが、今まで渋沢氏が数々のエッセイの中で俎上に取り上げてきたネタの一部のみを切り取り、旅行記に仕立て上げたともいえると思います。腐っても渋沢なので、かなり使い古した題材を使っていても、とても面白い読み物にはなっていると思うのです。
 それでも...幻想的で多分に散文的過ぎる余り、ストーリー全体よりも一シーンの色彩のみが強烈に脳裏に焼けついてしまう、お若い頃の小説が好きだった身としては、幻想や表現の暴走が無い極力無駄を省いた文体で構築された堅牢な楼閣といった風情のこの著作に対して、無条件でサイコーと云えないのです。悲しいことに。特に、それが主人公の死に集約する為に使われ、そして氏の遺作となってしまった事を考えると、複雑な思いで一杯なのでした。
 願わくば、もっとお若い頃に、幻想やエロティシズムの暴走をコントロールしきれない頃に、この連作を書いて頂きたかったと、ヒネたファンは思うのでした。さぞや荒唐無稽で、エロで、グロで、耽美だったでしょうに。
仰臥漫録
仰臥漫録
岩波書店
price : ¥525
release : 1989/05

人間の声

病床六尺、墨汁一滴に続きこの本を手に取りましたが、正岡子規の生の声が綴られているような気がします。壮絶な死に臨む一人の人間の慙愧に耐えない声が聞こえてくるような作品です。妹に看取られながら日に日に衰弱してゆく中、精神、魂を振り絞るような声です。明治において若くして現代詩を確立した正岡子規が、もう少し夭折する事無く生きていたならば、日本の詩歌の歴史も変わったものになっていたでしょう。人間としての器量が大きかった方であることが解ります。
悪の華
悪の華
集英社
price : ¥580
release : 1991/04

新感覚の「悪の華」

ボードレール「悪の華」は旧くは上田敏から、堀口大学、鈴木信太郎・・・数々あれど、現代の感覚に一番、しっくり来るのはこの安藤訳ではなかろうか、と私は思います。詰まらない現実から、どうやって抜け出すか?からだを痛めつけてまで詩作したボードレールのほとばしる言葉の数々に胸、打ち、痛みます。恐らく今後、こういった芸術家は、出て来ないでしょう。何遍も繰り返し読んで行きたい詩集です。
寺田寅彦随筆集 (第4巻)
寺田寅彦随筆集 (第4巻)
岩波書店
price : ¥693
release : 1963/01

金平糖の角を真面目に議論する偉大な物理学者

コンペイトウの角が出てくる物理学的理由をまたまた、あれやこれやと議論しているが、本当に楽しい著者である。「科学と文学」では科学者の生活やら仕事を分かりやすく解説。こんなに月日が経っても科学者の生活がまったく変わっていないことに笑ってしまう。「科学者とあたま」はすべての大学生がいちどは読むべきである。いや、すべての大学入試の問題文に使えば、受験生の適性は一目瞭然であろう。問題は、こうした氏の記述を理解するには、科学の世界過ごして随分と失敗を重ねながら気づくような、レベルの高いことを記していることであろうか。氏の記述は簡潔、簡明であるが、しっかり理解するには集中的な思索が必要な気がする。かといって、氏の著作が分かりにくいというわけではなく、とっつきやすいのだが、その実、奥が深い、ということである。
バジリスク―甲賀忍法帖 (3)
バジリスク―甲賀忍法帖 (3)
講談社
price : ¥560
release : 2004/01/20

!!

色々な忍術が見れて面白い。「こいつはこんな忍術を使うのか」って読むたび思います。その中で、この巻の室賀豹馬の忍術にはびっくりした。早く続きが読みたい1冊です。
わが手に拳銃を
わが手に拳銃を
講談社
price : ¥1,890
release : 1992/03

一気に読みます!!!!

文庫の「李歐」はこの作品を下敷きに全面改訂しているわけですが・・・
作者の高村さんは「我が手に…」は初期の作品のため構成・設定など甘さがある、という風に考えており、そのため文庫化に伴って大幅に書き直した、と何かで読んだ覚えがあります。

構成の完成度は確かに「李歐」の方が高いかもしれないですが、私はこちらの方が好きです。なんていうか、勢いやスピードに関してはこちらの方が上じゃないかな。
くわえて、「李歐」は構成をしっかりさせた分、意外性やどんでん返し的な要素が薄まっていますが、こちらはエピローグの数ページの展開が!!!!

一彰の言葉と共に、ラストシーンが映像のように脳裏に浮かぶはず。

芥川龍之介全集〈5〉
芥川龍之介全集〈5〉
筑摩書房
price : ¥882
release : 1987/02

大導寺信輔の半生?或精神的風景画

 本全集第5巻には、36編の短編が載せられているが、その中から注目すべき、大正14年(1925)発表の「大導寺信輔の半生」のみを取りあげる。
 数少ない自伝的作品で、自分の精神形成の根底にある生い立ちについて語っている。その世界は陰鬱で自虐的でもあり、告発的でもある。作中の信輔は作者龍之介の分身であることは間違いない。
1、本所 母の実家のある本所。ここは感じ易い信輔の心に無数の追憶的風景画を残した。そこは自然に乏しかったにせよ、美しい自然を愛するようになった。ある朝、隅田川の百本杭にからまった死骸があったのを忘れられない。
2、牛乳 体の弱かった母の乳を吸ったことがなかった。瓶詰めの牛乳のほかに母の乳を知らぬことを恥じた。叔母の乳を吸っていた女の子に嫉妬を感じた。
3、貧困 彼はいつか貧困に対する憎悪そのものを憎んでいた。このような二重の憎悪は二十歳前の彼を苦しめ続けた。
4、学校 彼は試験のある度に学業はいつも高点だった。が、いわゆる操行点だけは一度も6点を上らなかった。彼に与えられたのものは、畢竟落莫とした孤独だった。
5、本 小学校時代から本に対する彼の情熱は始まっていた。あらゆるものを本の中から学んだ。人生を知るために街頭の行人を眺めなかった(雅)
菜の花の沖〈6〉
菜の花の沖〈6〉
文藝春秋
price : ¥580
release : 2000/09

嘉平とリコルドが語らうシーンに心が洗われた。

 高田屋嘉平とリコルドが一晩中船上で語らうシーン。筆者がここで終えてもいいというシーン。ここにこの本の良さが凝縮されている。心がすっきり洗われる思いがする。
日本の社会戦略 世界の主役であり続けるために
日本の社会戦略 世界の主役であり続けるために
PHP研究所
price : ¥777
release : 2006/11/16

これからの日本の目指すもの

堺屋太一さんの歴史観を踏まえた近未来への洞察力が大好きで、多くの本を読み漁っていますが、この本の内容にも脱帽です。堺屋さんが以前から言い続けていた「知価革命」にむけて日本全体の進むべき道を早く変換していかないと、日本が世界から取り残されて行きそうです。官僚や政治家はもちろんのこと国民一人一人が日本の将来について真剣に考える時期に来ています。最近景気が回復してきたと伝えられていますが、本当に日本が方向転換を果たすためには、もっともっと苦しい時代が待ち受けているような気がします。それでも我々の子孫の時代まで日本が繁栄し、世界でレーダーシップを取るためには今は耐えるときだと思います。より一層、身を引き締めて頑張っていこうという気になる本でした。
ビラヴド
ビラヴド
集英社
price : ¥950
release : 1998/12

奴隷制度の傷が痛く伝わる一冊

ケンタッキー州から夫をおいて子供と共にオハイオ州に義理の母の家に逃げた逃亡奴隷の物語である。セスという主人公は奴隷主がセスと子供の居場所を突きとめてやってきた時に小さな小屋の中で自ら自分の子供を殺してしまう。子供に奴隷になるより死んだ方がましだと思った母の選択であった。生まれたばかりのその子には名前がまだついていなく、墓石にビラビッドと書いて葬り、牢屋に入った。それから何十年後に出所したセスのところにビラビッドと名乗る謎の女性が現れて、セスは気が狂ったかのようにビラビッドに尽くす。奴隷制度がいかに人々を傷つけ、解放されたあとも奴隷の時にレイプされた記憶にうなされ、奴隷という過去に苦しめられる様が見事に描かれている作品である。
梶井基次郎全集 全1巻
梶井基次郎全集 全1巻
筑摩書房
price : ¥924
release : 1986/08

名文の成れの果て

 この本の致命的な欠点として文章を全て現代仮名遣いに変えてしまった事が上げられる。

 確かにそのほうが小さい子供などでも読めるようになり万人向けするという意味ではいいのかもしれないが、その所為で作品が持つ雰囲気が損なわれ、語り継がれるべき名文はただの文字の羅列へと落ちぶれ見る陰も無い無残な姿をさらしてしまっている。
 いったい何の権利があって編集者はこんな醜悪な真似を過去の名作に対して行ったのか問い詰めたい。これは紛れも無い故人への冒涜である。

 せめてタイトルには判りやすく「現代仮名遣い版」と銘打って欲しかった。このようなものを「全集」などというのはあまりにも無礼である。
新・平家物語〈1〉
新・平家物語〈1〉
講談社
price : ¥777
release : 1989/04

こんな壮大なスケールを小説家した吉川英治さんに感激

 この本を、高校時代に読みました。平家物語というと平清盛が主役ですが、もう一人の主役は源義経。平安時代末期の宮廷と鎌倉の武士政権樹立までを描く、壮大なスケールの物語。
 頼朝や義経など、単発の本はよく読みますが、この物語はそれらをひとつにまとめたのですから、吉川英治さんの才能に驚かされるばかりです。
 「祇園精舎の鐘」から始まる物語は、高校生だった僕には古典の学習にもなりました。学校の授業の平家物語は、つまらなくなりましたが、吉川・平家は熟読でした。
 長い話だけに、なかなか進まない展開や宮廷での退屈な物語は、得てして作品自体を台無しにしてしまいがちですが、この本は最後まで息つく間もなく読んでしまったような気がします。


「自分のために生きていける」ということ―寂しくて、退屈な人たちへ
「自分のために生きていける」ということ―寂しくて、退屈な人たちへ
大和書房
price : ¥1,575
release : 1997/05

まるでカウンセリングを受けてるような

順を追って著者が質問に答えていく形で話が進行していくので、本を読んでるっていうよりは自分が著者のカウンセリングを受けてるような気分になります。嗜癖に悩んでる女性だけじゃなく、なんとなく自分の人生がしっくりこなくて、いつも小さな不満を抱えがちな女性にも、この本は役に立つかもしれません。
フロイト全集 (22)
フロイト全集 (22)
岩波書店
price : ¥4,410
release : 2007/05

信長と秀吉と家康
信長と秀吉と家康
PHP研究所
price : ¥570
release : 1992/08

これこそが歴史だ!

どの時代のどの国でも教科書とは理解しにくく読む気が失せるものばかりだ。教科書で感性は養われないということを教育のプロたちは考えるべきであろうことを痛感させられる本書は、まさに安土桃山時代を壮絶に生き抜き滅びた武将の「いいとこ」を抜粋してわかり易く書かれている。池波正太郎の小説に駄作はなく、読者を引き込むその手法は比類なきものであるが、こういった歴史上の偉人たちを解説させても右に出るものはいないだろう。死を悟った秀吉が家康にあてた手紙で「(息子のこと、)たのみます、たのみます。」というところ、とても感動した。
ブレイブ・ストーリー (3) 再会
ブレイブ・ストーリー (3) 再会
角川書店
price : ¥600
release : 2006/05/31

のほほんだけじゃダメかしら?
のほほんだけじゃダメかしら?
集英社
price : ¥480
release : 1999/06

主人公は

オーケンが好きで全てとは言いませんが執筆作品はほぼ読んでいると思います。
この作品は昔読んだのですが、借りて読んでいて忘れていたため買って読み直しました。
最近のリンダリンダ〜、〜神菜〜、ロッキンホース〜という作品を読んだ後だと、
やっぱり荒削りな感じはします。
しかし、やっぱりオーケンはオーケンです。
羽毛布団?みたいなあったかさは変わりません。
本人もあとがきで述べていますが、この作品の主人公は彼の周りにいる一般の女性たち。
ミュージシャン(作家)といわゆる一般人という組み合わせながら、
この作品では一般人である方々の方が変わってます。
大槻ケンヂとともにいち読者になりきり、自分のものとは少し違う(SM女王、UFO信者、追っかけ少女・・・)他人の人生を覗き見るのもまた一興です。
贈られた手―家族狩り〈第三部〉
贈られた手―家族狩り〈第三部〉
新潮社
price : ¥500
release : 2004/03

かぞく

 主役級、脇役級の人間の対立が魅力だった巻。どちらの側の意見も感情も提示されていてお互い必死で向き合っているだけに、考えさせられる。
 物語自体の進展から考えるとそんなに早いわけじゃないんだけど、すでに三部という長さを感じさせないほどおもしろい。
日本海軍、錨揚ゲ!
日本海軍、錨揚ゲ!
PHP研究所
price : ¥480
release : 2005/08/02

帝国海軍を客観的に考証する、快著。

 帝国海軍がいかに戦い、如何に滅んでいったのか、阿川氏、半藤氏の軽妙なやり取りの中にほのぼのと
漂っているものは、寂寞か、諦念か。
 かなりの無念さも入っているようだ。
 大体、対談というものは読んでいて面白い物ではないが、この対談は数少ない成功例の一つと言えるだろう。
 錚々たる提督たちを一介の士官だった阿川氏と当時中学生だった半藤氏があるいは賞賛し、あるいは
切って捨てる。
 その月旦が明快だ。
 既に鬼籍に入っていらっしゃる皆さまに現実に会っておられるお二人の人物評は今となっては大変貴重だ。
 いわゆる大本営発表のイイカゲンさについても、半藤氏は実際に「大本営発表では、駆逐艦は33隻喪失、
実際は131隻喪失、‥」「一方、アメリカの空母は97隻撃沈、実際は10隻‥」などと数値を挙げて
述べておられる。
 ウン、こりゃ確かに負けるヮ、と私も思う‥。
 情緒的な話に終始していないところがいい。
 後の方に載っている、戦後すぐの11月の帝国議会での最後の陸軍大臣・下村定大将の発言がまたいい。
「軍の指導者が間違っておりました。‥陸軍は解体いたします。過去の罪責について、私どもは事実を
もって償うことはできません。‥誠に残念でありますが、‥どうか、従来からの国民各位のご同情に
訴えまして‥国を想い、身を挺して戦った純忠なる軍人の功績を抹殺し去らないこと、ことに幾多
戦没の英霊にたいしまして、深きご同情を賜らんことを、この際、切にお願いいたします。」
 満場がシーンとなり、次に大拍手が起こった、と書いている。
 私も拍手したい。


J-POP進化論―「ヨサホイ節」から「Automatic」へ
J-POP進化論―「ヨサホイ節」から「Automatic」へ
平凡社
price : ¥725
release : 1999/05

日本の流行歌はJ-E-B折衷・三つ巴の歴史

 著者は安室奈美恵の曲作りを「B(ブラック)なリズムに、J(日本風)なうたをのせ、E(ヨーロッパ風)なコードで飾る」と公式化する。この百年の日本の流行歌は、元来がJなのにEに惹かれ、限りなくEに接近するものの、Jの素性は隠せず、そうこうしているうちにEがBを取り込むようになり、なんか知らないけどそのBとJは結構似たもんだった、みたいなJ-E-B折衷・三つ巴の歴史なのである。E-J関係は時代によって本国-植民地関係だったり、それが都会-田舎関係に転化したりと、その関係性を変化させていく。いずれにしてもJにEやBを貪欲に取り込んできたのが日本の流行歌なのだ。J-POPって言葉が生まれる前までは、“オリジナルを持たないパクリ文化こそが日本のオリジナリティ”みたいな、劣等感なのか自慢なのかわかんないけど、そうした自覚をみんな持っていたように思う。ところがJ-POP以降は、欧米のミュージックシーンの停滞もあるけど、ちまたに流れている日本の流行歌がまるで日本固有のものであるかのように、あるいはオリジナルがどこにあろうが関係ないって素振りのある種の“こだわりのなさ”が感じられる。特に21世紀に入ってのここ数年なんて、ミュージシャンの音楽への入り方が、最初から欧米音楽じゃなくてJ-POPみたいな感じになってきてるし(あるいはジャズもロックもレゲエもJ-POPも並列みたいな)。この欧米に対する劣等感の欠如ってのがいいことなのか悪いことなのかわかんないけど、いつの時代でも結局制度としてしか音楽を聴かざるを得なかった世代からすると、今の一見自由でフラットに見える日本の音楽シーンが果たして豊穣なものなのか不毛なものなのかはよくわからない。そうそう本書に関しては、譜面のまったく読めない者にとっては、飛ばし読みにしてもかなり退屈。駆け足すぎるし、この著者はどんどん読者を置いていくタイプですね。
美しい星
美しい星
新潮社
price : ¥580
release : 1967/10

軽いタッチで異人論の深層へ導く・・・

 文化概念としての天皇を重視していた三島由紀夫氏は、たとえそれが幻想であっても、天皇を伝統的に確立された文化として中心に据えておかねば、日本というアイデンティティが成り立たなくなるという危機感を抱いていた人でしょう。
 『美しい星』は三島氏にしては軽いタッチの大衆小説といった趣きの作品ですが、そこに描かれている「社会(世界)への違和」と「自己の身体への違和」という二重の違和感に圧殺されかかった家族が、実は自分たちは宇宙人なのだという確信を抱き、宇宙に救いを求めるさまは象徴的です。
 宇宙人とは現代における他者=異人とも言える存在であり、我々が「地球人」というアイデンティティを確立する際には彼らの力が必要なのかも知れません。国家や天皇、文化について語った三島氏が見つめていたものを探る上で、ちょっとしたヒントが見つかる小説です。
わたしが・棄てた・女
わたしが・棄てた・女
講談社
price : ¥520
release : 1972/12

不誠実

今までいろんな小説を読んできたが、最近たんに殺戮やグロテスクなものを書くだけのものが多い。そういうのを書くのは、何かを浮かび上がらせるためなんではと思うのだが、尻切れトンボで終わるものばかり。

でも、この作品は、不誠実をとりあげることで、愚鈍で間抜けだけど、とてもとても大切で美しいことを浮き彫りにしていると感じました。

読んで感涙でした。
レッド・オクトーバーを追え (下)
レッド・オクトーバーを追え (下)
文芸春秋
price : ¥650
release : 1985/12

潜水艦の閉塞感

「レッドオクトーバー」がたくさんの人に愛され、
大ベストセラーとなったのは、
現実にありうる、と思わせるリアル感があったからだとおもう

そこには万能な超兵器などはなくて、
実際の論理に則して動きを制限された潜水艦と、
そこに乗務する人の、圧迫感、閉塞感、緊張感といったものがある

下巻に入り物語も佳境へ 潜水艦戦で魚雷も飛び交う

しかし、リアルな背景の上に描かれているのは人
たくさん出てくる個性的な登場人物に引き込まれました 
おもしろかった

今度は、英語版を読んでみたい。

宮本武蔵 最強伝説の真実
宮本武蔵 最強伝説の真実
小学館
price : ¥460
release : 2006/12

「どっちが強いと思う?」が出発点の一冊

井沢元彦の歴史ものの中では、わりにサラッと書かれた人物伝である。
資料があまりない、というところからそうならざるを得なかったということだろう。
なぜあえて、手持ちの資料の少ない宮本武蔵を書いたのか、については、織田信長のような強力な独裁者と比較しながら、武蔵のような確かな技術をもつアウトローこそ現代に生きる手本となるからだ、といっているがちょっとこじつけがましい。
私は、井沢の宮本武蔵を読んで、むしろ武蔵は「学者タイプ」だったのではないか、と思った。それも文献をいじくっているのではなく実践的な学者、現代でいえば哲学だったら中島義道先生あたり、なのではないかと思う。
井沢によると、現実には武蔵の人生はとても成功した人のそれとはいえなかった。
根暗で、非社交的で、引きこもりがち、それだけならニートで終わる。
武蔵が歴史に名を残したのは、ひとえに「五輪の書」ゆえである。これがなければ、埋もれていった剣豪であったに違いない。
己の習得した技術を書物に残して他人に伝えたい、ここのところが、もう「学者タイプ」だなあ、と思うのだ。剣を極めた、というだけで自己満足してもいられず、かといって、よろしく立ち回って出世するような世間知も政治力もなく、武蔵が求めたのは「後世に伝えたい」ということだった。このへんは、いじらしい。
井沢は特に柳生宗矩と比較しながら、武蔵を持ち上げる手法をとっている。井沢から見ると、柳生こそ「現世利益」であり「よろしく立ち回って出世」の人であって、「しゃらくさい」といったところなのだ。男の子だなあ。でも、夫にするなら、武蔵よりやっぱり柳生になってしまうけどね。なんだかんだいって武蔵を持ち上げたかっただけなんだなあ、と、少しカワイイような気もする。だって、「武蔵」にこだわるような男の子は、「○○と××、闘ったらどっちが強いと思う」と手に汗握った少年時代がスタート地点に決まっているもの。
上海迷宮
上海迷宮
徳間書店
price : ¥920
release : 2006/09

国内はネタ切れか・・・・・。

飛鳥で外国旅行に興味が出たのか今回の浅見君は中国、上海が舞台です。
ついに日本ではネタ切れかと考えますが・・・・。
日本と上海で起こった2つの殺人事件を追って上海へ。
それほどの名推理もいらなかったのでは・・・。
上海の情景、美味い物の紹介もたっぷり入れて、やっぱり旅情ミステリーでしょう。
割と気楽に読めました。

わたくしの旅
わたくしの旅
講談社
price : ¥520
release : 2007/04/13

わが子に教える作文教室
わが子に教える作文教室
講談社
price : ¥756
release : 2005/10/19

わが子に教えられるはず。

作文は、苦手なまま大人になった。
実は、そんな人はとても多いはず。
そんなとき、この著者のように「読書感想文は難しい。」
ので、気にせずさっさと忘れるようにいってくれる人がそばにいたら、
きっと苦手意識は持たなかったかもしれない、
と、この本を読んで思った。

この本で印象に残っているのは、
作文に文学的感性を求めず、道徳教育を持ち込まず、
ほめてほめまくる。
この本にあることを子供と一緒にやったら、
親の文章力も確かに上がるかもしれない。
悪への招待状―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ
悪への招待状―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ
集英社
price : ¥693
release : 1999/11

歌舞伎の魅力あふれる世界

 歌舞伎を通して江戸の風俗を味わう好読物である。

 それも爛熟期の江戸ではなく、大きく変わろうとしている頽廃の香り高まる幕末の江戸なのだ。世は風雲急をつげ、世相は乱れ、庶民は日夜遊興に耽ることばかりを考えている。今の日本では考えられない世界だ。だが、魅力ある世界だ。そういう点で、江戸というのは特異な時代である。その当時にしても上方(大阪、京都)とはまったく違った世相だったのである。
 本書を読めばそういった事情が手にとるようにわかる。その上歌舞伎の傑作「三人吉三」の魅力ある世界にもどっぷりと浸れるのだ。このアクの強い物語の運命的なことといったら因果というものを、これでもかとわからせてくれる。現代でも充分に理解できるおもしろさだ。

 作者の語り口も平易でわかりやすい。これなら、中学生ぐらいの子でも読めるだろう。

『坊っちゃん』の時代 (第4部)
『坊っちゃん』の時代 (第4部)
双葉社
price : ¥630
release : 2003/01

坊ちゃんの時代(第四部 明治流星雨)。レビューも第四部

(第3部のレビューから続く)

この第4部では、天皇暗殺を計画したとして多くの社会主義者と無政府主義者が逮捕された「大逆事件」とその前夜を扱っている。主人公といえる人物は事件の首謀者の一人とされた幸徳秋水や菅野須賀子だろうが、この作品は「思想」そのものと「国家」が主人公といえそうである。

関川はあとがきで大逆事件を取り上げた理由を『この事件の明治知識人に与えた衝撃と影響の大きさははかりがたく、昭和20年の破滅へとつながる道はこれによって定められたのであるから、明治精神史を描くなら不可欠であると見とおしたためだ』と記しているが、この指摘は的をえていると思う。大逆事件については様々の本が出版されているのでここでは触れないが、後にこの事件はでっち上げということが明らかになっている。

関川はこれもあとがきで『事件そのものと主人公の性質による束縛から、作品にユーモアという重要な要素に欠けた憾みは大いに残った』と記している。確かにそうだが、だからといって陰惨なのではない。

それは、拷問などそういう陰惨さを強調した場面が殆ど描かれていないこともあるが、やはり、谷口ジローの細やかなタッチで描かれた絵(人物も背景も含めた全て)ではないかと思う。なかでも、感情の起伏が激しい菅野須賀子と対照的に、厳しい場面でも穏やかに描かれている秋水の表情がそれを象徴しているような気がする。もっとも、秋水は実際そのような人物であったようである(私生活は豪快だが…)が。

(最終第5部のレビューに続く)

小説 十八史略〈4〉
小説 十八史略〈4〉
講談社
price : ¥770
release : 1992/04

第4巻は三国志の時代から、南北朝時代そして隋による南北統一までをカバーしています

第4巻がカバーするのは、三国志の時代から、南北朝時代そして隋による南北統一までである。三国志の時代に特に力を入れており、本書の半分以上を割いている。三国志に関しては、本書だけで十分にその骨格を掴むことができるのではないか。この時代に関しては数多の本があるので、この時代を極めたい人はそれを参考にするとよいだろう。私自身が三国志の時代の全体を通読したのは本書だけであり、後は視覚的に中国の傑作TVドラマを楽しんだだけ(今は宮城谷昌光氏版三国志の完成を待ち望んでいます)。それぐらい、本書での三国志の部分の記述は充実している。その三国の一つ魏は台頭する司馬一族の晋に取って替わられ、晋は内紛もあって北方異民族に抗することができず、ここに南北朝時代が始まる。晋及びその後継者たる南朝政権は貴族社会であり、政治面が落ち着かない中で、政治からわざと身を引いて奇抜さを競う風が広まり、その中から今に至る中華文化(文芸・書等)の基礎が築かれたことは見逃せない。(もっとも五石散という麻薬の流行という悪弊も招いたが。)宗教の点でも儒教の権威の低下とともに仏教や道教が流行し、王室でも信仰されるに至った。北朝では道・仏の対立が起こり、廃仏令が出されたのも北朝が最初である。北朝は元来異民族の王朝なのに出身地を捨て、漢化政策を積極的に邁進する点が、第6巻に登場する遼などの征服王朝との違いになる。さすがに本書はこういった南北朝時代の重要性をしっかりと記述している。中国史に馴染みの薄い人にとっては新鮮な発見となるだろう。当時の文化人の代表として陶淵明のためにわざわざ一章を費やしているのに注目してほしい。彼もまた、政治の表舞台での活躍と隠逸・詩作の間で揺れた時代の具現者なのである。
カエサルを撃て
カエサルを撃て
中央公論新社
price : ¥780
release : 2004/05

面白い、しかし下品?

「ガリア戦記」や塩野七生さんの「ローマ人の物語」から、英雄カエサルの鮮やかな戦略・戦術のイメージしかありませんでしたが、本作はガリアの英雄ウェルキンゲトリクスの視点から書かれていて、戦況をウェルキンゲトリクスとカエサルの内面の変化に結び付けた辺りに著者のセンスを感じました。ただ場面が切り替わるごとに性描写を組み込む必要性は無かったと思います。
真田幸村〈下〉
真田幸村〈下〉
学陽書房
price : ¥882
release : 2005/11

古寺歩きのツボ―仏像・建築・庭園を味わう
古寺歩きのツボ―仏像・建築・庭園を味わう
角川書店
price : ¥760
release : 2005/04

古寺への愛

舌鋒鋭い「逆説の日本史」とはまったく趣の異なる書である
子供のときから古寺歩きが好きだという著者の古寺への愛情が本書の全体の底流となっているのがわかり、心が温まるようである。
本書は仏教の基本からお寺、仏像の見方をわかりやすく暖かく教えてくれる。本書を持って古寺をめぐりたくなるのだが、読むだけでなんとなくめぐったような気にさせてくれる。
古寺、仏像、仏教に少しでも興味のある方にお勧めの書である

日本を創った12人
日本を創った12人
PHP研究所
price : ¥760
release : 2006/02

如何にして現代日本の姿にたどり着いたか

まず、とにかく視点が興味深い。

日本を創った、というタイトルから、国としてのシステムを創ったというようなイメージをまず持ったが、内容はそうではない。

今の日本人が持つ慣習、社会の常識、そして一般的な考え方。これらは遥か昔の時代から現代までの間に生まれた幾つかの統治体制や世間に広まった学問などの積み重ねにより醸成されてきたものだという。
文化や習慣は一朝一夕では形成されず、幾重にも違う文化・習慣が重なり、混ざって出来上がっていくものだということを実感した。

本書で挙げられた12人は、現代日本人の特徴に多大な影響を与え、日本を、というよりも、日本人を創ったと言える人々である。
今後ますます多様化する国際社会で国として発展していくためにも、日本という国の基礎となる部分はどのように形成されたかをまず知ることが重要だと思う。
そのためには本書を読むことをお勧めします。
ペルソナ―三島由紀夫伝
ペルソナ―三島由紀夫伝
文芸春秋
price : ¥1,937
release : 1995/10

三島の作品がもう一度読みたくなる本

三島の美しい文体は、どこから生まれたのか?それを探るヒントがあるのではないかと思う。
作品が生まれた時代の背景や、三島の状況などを想像しながら読むことができるので、読みつくしたはずの三島作品をもういちど読みたくなる一冊。
菜の花の沖〈4〉
菜の花の沖〈4〉
文藝春秋
price : ¥580
release : 2000/09

千島列島

〜嘉兵衛が冒険者・航海者としての本領を発揮し、千島航路を開拓します。
航海なんてエンジンをかけてスクリューを回せば海ならどこでも行ける
と思っていた私には、岩礁を波から推し量り、
海面の動きを数日観察して海流を見極める、というのは新鮮な発見でした。

そして高橋三平や最上徳内、近藤重蔵らに惚れ込んだ嘉兵衛は
幕府御用の印を受けて一蓮〜〜托生となる決意をします。

現在でももめている千島・樺太・カムチャッカの領土問題に絡めた
重要な余談もあります。〜

ターン (新潮文庫)
ターン (新潮文庫)
新潮社
price : ¥620
release : 2000/06

変わらないもの

 同じ時間が何度も繰り返される。そんな風に"時"を扱った物語です。
 不思議ですよね。同じ時間が何度も繰り返されるって。だって現実の世界には、確かな絶え間ない変化というものがあります。一秒たりとも、同じものなんて無いでしょう。同じように見えても、それは何がしかの変化を経ている。
 この物語の中では、何も変わりません。ただただ同じ時間が繰り返されるだけです。
 ですが、この中にも変化はあったのだと思います。主人公の記憶は、リセットされないから。そして小さな変化が積み重なって、ある日突然、閉鎖した時間空間の中に大きな変化が生じる。
 変わらないものなどないのだと、しみじみ思った一冊です。
舞姫,うたかたの記,文づかい
舞姫,うたかたの記,文づかい
一友社
price : ¥1,344
release : 2007/01/31

間違いなく名作

ドイツ人少女と日本人の青年との出会いと別れを描く三編が収録されています。

「舞姫」の舞台はベルリンで、絵柄が少女漫画らしく繊細で、とても綺麗でした。
話の筋はご存じの方も多いと思いますが、主人公の青年は、ひとりの人間としての恋愛感情と、国家のために働かなければならないエリートとしての立場との板挟みになり、苦悩します。
出した結論はいただけないですが、今でもこういう悩みは変わらないな?と共感しながら読めました。

「うたかたの記」は、とにかく絵が丁寧で、マリイという少女が大変魅力的です。
昔は貧しくてすみれの花売りをしていたマリイは、今は美しいモデルに成長しています。
花売り時代に助けてくれた日本人青年の巨勢と再会し、幸せになれるかと思いきや、国王との暗い因縁がよみがえり…
叙情詩のように美しく、はらはらできる作品でした!

「文づかい」は森の中のお城が舞台で、悩めるお姫様の物語です。
結婚を強制されて苦しみ、仕事を見つけて結婚しないで自活する道を選ぶ…
現代の女性の悩みと変わっていないと思います。

森鴎外という作家は有名ですが、作品を読んだことはないな、と思って読んでみたのですが、古くさくなく、とても面白かったです。
三作とも絵が綺麗で読みやすかったです。
真田幸村〈上〉
真田幸村〈上〉
学陽書房
price : ¥882
release : 2005/11

バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (13)
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (13)
講談社
price : ¥550
release : 2002/03/22

この世界、登場人物全てが主役

 僕は個人的に今のところこの13巻が一番好きです。単純に辻風黄平こと二代目宍戸梅軒が好きだからというのもあるのですが、全ての巻にもいえますが特に、この巻と20巻の登場人物の存在感の凄さは圧倒的です。
 この作品に主役は必要ない。このバカボンドという世界に生きる全ての人間が主役なんだと、この13巻を読んで強く感じました。しかしだからといって武蔵の存在感は薄まるばかりか、どんどん強くなるばかり…もう井上 雄彦は天才としかいえません。
個人的な体験
個人的な体験
新潮社
price : ¥500
release : 1981/02

【商品詳細】

27歳の予備校講師鳥(バード)は、結婚して間もなく子供が生まれようとしているのにいまだアフリカへの冒険旅行を夢見ているようなモラトリアム青年である。そこに、とうとう子供が生まれた、それも頭に異常のある障害児だという知らせを受けて、バードは今後いっさいの行動の自由が奪われたと絶望し、アルコールに、そして女友だち火見子との性交渉に逃避する日々を送ることになる。その間に子供が衰弱死して責任から解放され、火見子と連れ立ってアフリカに出発することができればというのがバードの期待だったが、その土壇場にきて、彼はこうした態度が自己欺瞞であり、自分の人生を台無しにしてしまうと自覚し、赤ん坊を引き受ける決断をする。障害を軽減する手術が成功して退院できることになった子供と妻を連れたバードは、確かに自分が変わったこと、大人になったことを感じる。 戦後新世代の旗手として華々しく登場した大江健三郎は、初期作品においてまず、閉塞した社会状況に抵抗し、そこから脱出しようとする若者たちを描いたが、1964年に書き下ろしたこの長編(新潮文学賞受賞)において、状況から逃げるのではなく、積極的に引き受けるようとする成熟、自立した青年像を提示し、中期創作への道を踏み出した。現在作曲家として知られる長男光の誕生をきっかけとして生まれたこの作品は、その後の大江と光の親子関係の発展をたどっていく一連の物語の出発点でもある。(大久保喬樹)

大江をさらに読んでみたいきっかけとなった作品

大江の小説は難解である。しかし、少しずつでも大江と格闘する中で、彼の作品の持つ意味が理解できてきたような気がする。大江に関心を持ち始めて、10年以上たってから、手にしたこの作品。読み終えた後
確実に、自分の中の魂が再び生きる方向のベクトルへと向かっていることに気がついた。個人的体験以降の小説の中で大江自身の想像力による2つの実験が試みられる。1つは障害を持った子を引き受ける事を放棄してしまった場合、怪物アグイーがその代表作といえよう。また、障害を持った子どもを引き受けて行くことを決意していく場合、洪水は我が魂に及びなどのその代表作であろう。大江を知るためには、この個人的体験は絶好の入門書なのである。私は10年かかってこの作品と出会ったが、大江に初めて入門する人はこの「個人的体験」から読むことをおすすめする。
地ひらく〈下〉―石原莞爾と昭和の夢
地ひらく〈下〉―石原莞爾と昭和の夢
文藝春秋
price : ¥760
release : 2004/09

水の上を歩く?―酒場でジョーク十番勝負
水の上を歩く?―酒場でジョーク十番勝負
集英社
price : ¥630
release : 1993/01

時代を超えて今も輝く、至言のジョークの数々…

この本は、銀座の名店、アイリン・アドラーという酒場で、プレイボーイ編集長島地氏と繰り広げる166編のジョーク集である。

世界各地からの直輸入や、民度の高かった時代の日本におけるジョークで、それらはどれも、刹那にキラリと光るウィットを孕んでいる。

勿論、ジョークの間に心に残る戦争映画、とか、コンコルドの乗った話、キャビア、トンブリの話、など飽きる事の無い話題が目白押しである。

望外の『赤い夜』というショートショートも収録されている。文豪が従事した、ベトナム戦争のワンシーンが題材である。

僕の最もお勧めしたいのは、本作の共著である島地氏の捧げている後書きである。
『編集者マグナ・カルタ九章』という、心のモットーを文豪から頂いた話や、
文豪と初めて会った、島地氏35歳の時、『35歳をベトナム語でバ・メ・ラムという。人生の真夏日の事だ。』から始まる話、
プレイボーイに連載をお願いする為に、文豪の家で昼からウォッカをあおりつつ粘る話、
そして文豪のお葬式の話…
文豪の限りなく近くで、文豪からスピリチュアルなものを最も受け継いだ一人の男が、
如何に文豪をリスペクトしていたかが本当によく分かり、思わず落涙してしまうこれも一つの珠玉である。

何も言わずに読んで頂きたい作品だ。☆は当然、5つである。

STAR SALAD―星の玉子さま〈2〉
STAR SALAD―星の玉子さま〈2〉
文藝春秋
price : ¥1,500
release : 2006/10

玉子さんと、ジュペリにまたあえた!!

玉子さんと、愛犬ジュペリが還ってきた!!
息子も、親のワタシも、前作『STAR EGG』の大ファンなので、
喜び勇んで、本屋さんへ直行、その夜に読み聞かせしました。

今回は、不思議な不思議な、野菜星への冒険の旅。
「玉子さん、ボクの野菜嫌いを知ってるのかな?!」とは息子の弁。
画はますますカラフルになって、ホントに素敵!

ただ、欲を言うと、文章がちょっと前作に比べて、ひねりに欠けてる気が…
或いは、子供には難しすぎる、というクレームでもあったのでしょうか?!

確かに、息子の「どうして?…どうして?」攻撃に答えるのは、根気が要りますが、
そのぶん、本気で付きあう楽しみがあります。
同じ宇宙に、この地球に、奇蹟的に生まれ合わせた人間同士として…

続編、期待してますよ、森 博嗣さん!!


東北新幹線「はやて」殺人事件
東北新幹線「はやて」殺人事件
光文社
price : ¥580
release : 2007/05/10

作品に重みが感じられない

久々というよりも何年ぶりだろうか、西村京太郎の小説を読んだのは。
読んでいて、まずは小説の内容よりも次のことが気になった。
「     」
 と、○○○は、いった。
昔からこの言い回しは目立ってしょうがない。
また、この作品はやたらと句読点が目立つ。あまりにも文章を区切りすぎている。
こういう書き方は素人の作家にも良くある。人気作家といえど、このような書き方を素人は真似するべきではない。

さて小説の内容であるが、産業廃棄物の不法投棄をテーマにした社会派的な視点と、それに絡んだ殺人事件が興味を引く。
東京の大都会から始まって、東北新幹線「はやて」の車内及び十和田湖と、次々起こる殺人事件の関連性が面白い。

最後の結末は殺人犯に関して少し曖昧なところがあり、また産業廃棄物処理業者に対する制裁が詳しく書かれていない。
こういうところは作品の重要な要素であり、読者に満足させる内容にしなければならない。

全体的に作品に重みが感じられないのが残念だ。
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (12)
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (12)
講談社
price : ¥550
release : 2001/11

鎖鎌の恐怖

 鎖鎌の達人が登場するこの巻。鎖鎌という武器の特性をかつてここまでうまく表現できたものがあろうか?曲線的な動き、素早さ、そして遠心力の恐怖。これをじっくりと、それでいてスピードまで味わえるのは漫画の長所を理解しきった作者の力量によるものだろう。
 ああ、鎖鎌ッ!!
夜の樹
夜の樹
新潮社
price : ¥580
release : 1994/03

この短篇集を読まずしてカポーティは語れません。

ノンフィクションの傑作「冷血」や、やや難解な「遠い声、遠い部屋」。それに言わずとしれた「ティファニーで朝食を」。どれもカポーティの代表作ですが、彼の原点はこれら短篇にあると思います。ゴシックホラーテイスト溢れる「ミリアム」から、ノスタルジーを感じさせる「誕生日の子供たち」や、その他影も曇りもない「昼の文体」、背筋がひやりとする様な「夜の文体」の作品が、バランスよく収められています。そしてこれらの作品群には一貫して透明な空気の粒を感じさせる瑞々しさ、繊細な硝子細工を思わせる叙情的なものを感じます。どれも20代のうちに書かれたものばかりという事で、早熟ながらその文章の完成度には改めて驚きました。
別出版社から出ている村上春樹訳の「誕生日の子供たち」の短篇集に含まれる作品と重複してるのもありますが、少し位かぶっていても両方買っておいて損はない筈。
私にとっては人生の中でもベスト5に入る位手放せない短篇集です。
恋愛小説
恋愛小説
新潮社
price : ¥420
release : 2007/02

苦くも心地よい余韻

元はサントリーとのコラボレーションということで、物語の中にウィスキーやブランデーが登場します。時に切なく苦くもありますが、強い酒をロックで飲んだ後のような静かな余韻が心地よく感じました。このタイプの短編集の良いところは、普段読まない作家の作品にも触れられるということ。川上弘美さんの作品が読みたくて手にとりましたが、他の作家の長編も読んでみたいと思いました。
縫製人間ヌイグルマー
縫製人間ヌイグルマー
メディアファクトリー
price : ¥1,470
release : 2006/11

胸を熱くさせるヒーローの話

あの帯の熱い文句に胸をうたれ本書を手にしました。内容も帯の文句に偽りないものです。熱い話に飢えている人は是非読んでほしいです。ダ・ヴィンチ連載時にあった挿絵は無いですけどもしかしたら文庫本に付くのかもしれません。
ニューヨーク散歩―街道をゆく〈39〉
ニューヨーク散歩―街道をゆく〈39〉
朝日新聞社
price : ¥399
release : 1997/03

ニューヨーク散歩ー街道をゆく

アメリカ素描の方が、読んで面白いと感じます。ドナルドキーン氏とのお話など日本での
対談で充分です。司馬氏が、あのエネルギッシュな独特の匂いを持つニューヨークに何を見たかが書かれず残念この上ない。同氏は、やはり東洋が好きだったのでしょうか?
星新一ショートショートセレクション〈1〉ねらわれた星
星新一ショートショートセレクション〈1〉ねらわれた星
理論社
price : ¥1,260
release : 2001/11

子どもに読ませたい

酒を飲むロボット「ボッコちゃん」
環境問題的視点を持つ「おーい,でてこい」
大人社会の欺瞞に気づかせる「約束」
ライバルに対する嫉妬心を描いた「妖精」
戦争が人類を滅ぼすと警告する「神々の作法」
など19編から編まれています.
子どもにはレベルが高いような話も含まれていて驚きました.
だからこそ子どもに読ませたい本でもあります.
難しい漢字にはルビが振られています.総ルビではありません.
豆腐小僧双六道中ふりだし
豆腐小僧双六道中ふりだし
講談社
price : ¥2,100
release : 2003/12/20

【商品詳細】

江戸時代に出版された黄表紙などで人気を博したという妖怪「豆腐小僧」が、自らの存在理由を求めて旅をする。豆腐を載せた盆を手に、ただ立ちつくすだけの妖怪である自分は、豆腐を手放すと、ただの小僧になるのか、それとも消えてしまうのか。男女の色恋に赤面し、自分以外の妖怪におののいてしまう軟弱さにもかかわらず、胸に去来するのは「消えたくない」という強い思い。お盆の豆腐を落とさないように気遣いながら、豆腐小僧の珍道中がはじまる。 著者は、『嗤う伊右衛門』や『覘き小平次』など、怪談話を斬新な解釈で現代に蘇らせる一方、『どすこい(安)』などのパロディー小説も手がけてきた京極夏彦。本書では、史実のうえでも来歴のはっきりとしない妖怪の自分探しをテーマに、自由な発想と膨大な知識を駆使しながら、幕末を舞台とした冒険物語へと仕立てあげている。講談調のひょうひょうとした語り口と、豆腐小僧のとぼけた味わいが、おかしみを誘わずにはいられない痛快作だ。 特徴的なのは、豆腐小僧が自我に目覚めていく過程を軸にして、妖怪とは何かを順序だてて解説している点である。地震を説明するための妖怪「鳴屋(やなり)」や、死を悟った人間のけじめとして現れる「死神」。そのほか、狸や狐など、その由来や役割が、コミカルな物語に託して論じられる。しかし、そこから垣間見えるのは、人間が感得しなければ、消えてしまう運命を背負った妖怪たちの悲哀だ。本書には、近代化とともに失われていった日本人の心とは何かという深遠なテーマも映し出されているのである。(中島正敏)

妖怪入門

無知な豆腐小僧という妖怪をナビゲーターとして、「妖怪とはなんぞや」ということを、面白オカシク学ぶ本。
筋は特別面白いことはないと思うが、語り部のくだけた噺家口調のおかげか楽しく最後まで読める。

妖怪と幽霊との違いが良くわからないという人には勿論のこと、キャラクター造形に興味がある人にもオススメできる内容。

ただ、紅葉豆腐っぽい装丁にしたために、少々値が張るのが痛い。
遊び心と調和がとれない値段だけが残念な本ではある。
明日のあなたへ―愛するとは許すこと
明日のあなたへ―愛するとは許すこと
集英社
price : ¥530
release : 1996/10

心が疲れたときの処方箋

高校時代、シスターに「氷点」を薦められたことが毛嫌いの原因となり、ずっと避けていた三浦綾子氏の著書。しかし、人生も四半世紀をとうに過ぎて紆余曲折を経験してから、手に取ると格別なものであった。
一つ一つのエピソードが時に幸せな状況に傲慢になっていたり、不幸に酔いしれている自分の心に染み入ってくる。

その時々の心模様によって、胸に響くエピソードは様々だが、読後には自分がこの世に産まれ育ってきたことを素直に感謝出来る。
何度読み返しても、涙が溢れてくるのに、心の中に愛が溢れてくる素晴らしい一冊だ。

アッコちゃんの時代
アッコちゃんの時代
新潮社
price : ¥1,575
release : 2005/08/30

バブルの時代の女王の恋愛。

 バブル時代に億万長者と数々の浮世を流した女性の話。
東北出身の地上げの帝王の早川をはじめとして、有名店の二代目の
息子との不倫、結婚やIT社長との恋愛と、さんざんマスコミを騒がした
バブル時代の女王のアッコのストーリー。
有名店「キャンティ」の経営者の二代目でプロデューサーの五十嵐と
不倫して妊娠したアッコは結婚して、籍を入れたのだが、結婚とは形だけで、
夫婦揃って、不倫して恋愛を楽しんでいた。
息子は実家の母に預けて、なかば放任で育っていた。
そんな中、既婚のIT社長と不倫して、再婚話が持ち上がったが、、、。
なんともリッチな内容ですが、非常識としか思えないのは私だけでしょうか。



王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法
王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法
新潮社
price : ¥1,155
release : 2004/01/30

びみょー。

王国その1の続き(当たり前か)。





人を癒すことのできるお茶を入れられるおばあちゃん。



純文学である。=退屈。



サボテン公園に行く。

真一郎くんと恋に落ちる。



私のアパートが火事になり、サボテンが焼けてしまう。





ばななさんの人生観が語られている。



ストーリーらしいストーリーはないと思う。



やはり純文学を感じる。







速読で読んだからか、あまり楽しめなかった。

アマゾンでの評価は高い。

でも僕は良さをあまり分からなかった。







おしまい。
町奉行日記
町奉行日記
新潮社
price : ¥700
release : 1979/03

この本を読んで周五郎を知ってください

 周五郎の発刊する単行本で、私は個人的にこの作品が最高に好きです。

 単行本タイトルにもなる「町奉行日記」は、ドラマ化もされてご存知の方もいるかもしれませんが、江戸から新規に赴任した町奉行が、壕外という藩の権力が及ばない場所を、自らの力で浄化する、推理あり人情ありお笑いありの、痛快小説。

 どんな人でもきっと楽しめます。

 本書には全部で10の短編が収められています。どれも力作で、外れはありません。周五郎をあまりよく知らない人でも読んでみてください、きっと好きになります。

蛇を踏む
蛇を踏む
文藝春秋
price : ¥410
release : 1999/08

わからなくたっていいんです

「蛇を踏む」は≪ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。≫
「消える」は≪このごろずいぶんよく消える。≫
「惜夜記」は≪背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった。≫

・・・と、三編ともいきなり「!?」と思わせる書き出し。

あまりにも抽象的な内容に、
最初から最後まで頭の中の「!?」は消えなかったのですが、
これが川上弘美の魅力なんですよねー、つまり確信犯。

あとがきで本人自身がこれを“うそばなし”と言っているし、
真剣に作品の主題を考えるような、